国立研究開発法人 宇宙航空研究開発機構(JAXA)航空技術部門のDMM.make 3Dプリントサービス活用事例。新しい機能を持ったドローンを研究開発する中で、3Dプリンターで造形をはじめられたきっかけや弊社サービスをご利用いただいている理由などをご紹介いたします。
国立研究開発法人 宇宙航空研究開発機構(JAXA)航空技術部門に関して
航空技術部門では、我が国航空産業の振興、国際競争力強化に資するため、社会からの要請に応える研究開発、次世代を切り開く先進技術の研究開発および航空産業の持続的発展につながる基盤技術の研究開発を実施しています。
3Dプリンターで造形を始めたきっかけ、背景
新しい機能を持ったドローンを研究開発する中で、市販品では実現できない形状・構造を持った部品を作る必要がありました。最初は金属加工等によってそのような部品を製作してきましたが、効率が悪く、コストもかかるため、代替できる方法を探していました。そういった中で、3Dプリンターの技術発展により、複雑な形状を持った部品を安価で精度よく生成できるようになったため、3Dプリンターによる部品の試作、製作を行うようになりました。
3Dプリンターを導入する前の工法
市販品のドローンの機体フレームや部品を流用し、それらを自作/外注した金属部品や木材部品で接続して組み立てを行っていました。
3Dプリンターを導入する前と以前の工法を比較して変化したこと
市販のドローン部品の流用では、形状に柔軟性がなく、使えるパーツにも限りがあり、さらに金属部品だと重量の増加の問題もありました。3Dプリンターを用いることで、部品を自由な形状で、かつ軽く設計できるようになり、製作の利便性が向上しました。また試作して問題を洗い出し、再度製作するというプロセスにおいて3Dプリンターを使うことで、プロセスの高速化やコスト軽減を行うことができています。
DMM.makeを使い始めたきっかけ
家庭用の3Dプリンターを導入して使用することで、ある程度の要求を満たした部品を製作することが出来ていましたが、部品の精度、3Dプリンターのメンテナンスの手間等の問題を抱えていました。そこで、産業用の3Dプリンターを使い、高精度かつ安価で部品を製造可能な業者をインターネット検索で調べているときに、DMM.makeを見つけ、試作を依頼しました。
DMM.makeを使い続けている理由
高価な3Dプリンターを購入することなく、自分でのメンテナンスも不要であるため、自分の研究にとってコスト、作業量の観点からコストパフォーマンスが良いことが分かり、定期的に利用しています。
DMM.makeでの造形物
ドローンに搭載する図1のようなロボットハンドや機体部品を造形しています。ロボットハンドは、DMM.makeの3Dプリンター(MJF)により素材、PA12を用いて製造することで、剛性を保ったまま軽量化することができました。さらにロボットハンドの内部には造形によりギアが形成されており、一つのモーターでハンドの全ての指を開閉することが出来るようになっています。また、ロボットハンドはドローンが着陸する時の着陸脚を兼用しており、着陸する時は図1(左)のような開いた状態で、地上に接地します。また図1(右)のようにハンドをすぼめた状態にすることも可能です。

3-08,2018.
今後の展望
3Dプリンターでは稼働が必要な部品を自由な形状で、かつ軽量、安価に製造することが可能であるため、今後もドローンの部品の製造を3Dプリンターを使って行いたいと思っております。