カオスクリエイションの事業内容について
本日はお時間をいただきまして誠にありがとうございます。
早速ですが、笹原様の自己紹介と会社の業務内容からお教えいただけますでしょうか。
笹原様:カオスクリエイション株式会社で代表取締役をやっております、笹原香織と申します。
事業内容としてはデザイン全般を手掛けておりまして、「何もないところから形にしていく」ことをやっています。
具体的には紙媒体からホームページ制作、最近ですとプロダクトのデザインも手掛けております。
ありがとうございます。ウェブサイトを拝見しましたが、かなり手広く事業を手掛けておられるのですね。
笹原様:そうですね。商品のマーケティングに関わる部分でもご相談いただくようになりました。
要は「その商品を売るためにどういったことが必要なのか」という点にフォーカスして事業に取り組み続けています。
笹原様は学生の頃からデザインを学ばれてきたのでしょうか。
笹原様:はい。高校からずっとデザインを学び続けていて、専門学校もグラフィックデザイン科を卒業しました。
そこから広告代理店とか出版社といった、デザインに関わる仕事をやり続けています。
いわゆるデザイン業務から、他の事業を手掛けるようになったきっかけはなんだったのでしょうか。
笹原様:最後に就職した会社が倉庫を持たないメーカーで、携帯電話関連のアクセサリー全般を取り扱っていました。
そこで扱う商品は、主にドン・キホーテさんや東急ハンズさん、ヤマダ電機さんといった量販店が主な売り場だったんです。
販売員が常駐しているわけではないので、パッケージ自体が魅力を発信できていないと商品を売るのが難しいことに気がつきました。
なので、「お客さんに商品を買ってもらうためにはどういったデザインが必要か?」ということを考え続けるようになりました。
そういった観点や経緯があり、チラシやパンフレット、名刺、ホームページなどのご相談もいただくようになりました。
商品企画や商品自体のデザインもやっていたので、プロダクト開発のご相談も増えました。
チャレンジ精神で「じゃあ、やってみます」というところから少しずつご相談が増えていった結果、今のような形で事業をやらせてもらっています。
なるほど。売り場のことまで意識してデザインができる人はそう多くないので、笹原様を頼る声は多そうですね。
笹原様:ありがたいことに、多くのご相談をいただいております。
売り場を持っている会社さんは「売れてなんぼ」の世界です。
商品一個一個の単価が安いこともあって、量を売らないといけないんですよ。
そのためには商品の特徴だとか、お客さんにとっての利便性を問いかけていかないと、なかなか買う気にはなってもらえないですよね。
トライアンドエラーが当たり前なので、一発で売れることはなかなかありません。
この部分を変えたら売上が変わったとか、そういった情報をお客さんとキャッチボールしながら、どんどんブラッシュアップしていくことが多いですね。
手元供養のためのアイテムを3Dプリントする
今回3Dプリントでご利用いただいたものについて教えてください。
笹原様:DMM.makeに発注させていただいたものは、おうちに置いても見た目を損なわないお墓です。
とある石材屋さんと昔ながらの付き合いがあるのですが、最近はお墓を持たない人や埋葬の仕方が増えていて、お墓屋さんの商売が大変という問題があるみたいなんです。
なるほど。たしかに最近ですと、おうちに仏壇を置くスペースがなかったり習慣がないといったことや、お墓じまいという言葉を聞くようになったり、文化そのものが変わってきているイメージがあります。
笹原様:そうですよね。
すごい著名人や多くの人が眠っている大きな霊園でも、いざお墓を建てるとなると費用や維持費のことがあり、売上が減ってきているという悩みがあるそうで。
お墓事業はすごく難しい業界なんですが、そこで石材屋さんが昔から考えていたことが「手元供養」というものなんです。
それはどういったものでしょうか。
笹原様:お墓はお骨を収めるところで、仏壇とは位牌を収めるところです。お墓を持つということは、管理やお墓参りが必要ですし、仏壇を置くのもスペースや日頃の供養が必要で、現代には難しいこともある。そこで、もう少し手軽に自宅でお墓参りができ、仏様を供養するのが「手元供養」の考え方です。
気軽におうちに置ける、お墓のような役割を果たすものがないだろうか? という悩みを聞いて。おうちに置いていても自然で、ひと目でお墓とはわからないデザインにしてみたらどうだろうという発想で、「リトルメモリアル」というものを企画しました。
最初、色のついていないデータを拝見したときに「これはなんだろう?」と我々の中でも話題になりました(笑)
家にも置ける、カジュアルなお墓としてデザインされたんですね。
笹原様:そうですね。
最初は人向けだったのですが、人の骨を扱うにはとてもデリケートなことが絡むこともあって難しいようでして……。
なので、最近はペットを飼っている人も多いので、いまはペット向けの自宅墓として動き出しています。
なるほど。プリントされたボトル状のものに骨が入っているイメージでしょうか。
笹原様:骨自体ではなく、骨から作ったダイヤを置くものです。
いまの技術ですと、フッ素を使うことで骨をダイヤに加工できるんですね。
スイスでやっている事業らしいのですが、これがうん十万円と値段がかかるらしいんです。
ただ、石材屋さんはそういった事業も推していきたいようで、「骨で作ったダイヤを置いておける何かが欲しいよね」ということで始まったプロジェクトです。
形状は香水のボトルからインスピレーションを得ました。
現在はボトルの形状をしていますが、今後のブラッシュアップ次第では大きく形を変える可能性もあります。
どんな形状になっても世に出してみないとわからないので、とにかく一度やってみようということで取り組んでいるところです。
DMM.make で三面図から3Dモデルを作る
笹原様:第一弾はエンジニアの方が3Dプリンターを購入して、説明書を読みながら3Dデータを作ってくれたのですが、私が思い描くようなものは作れませんでした。
3Dデータを作るだけでも時間がかかってしまって、素人には3Dプリンターのデータを作ることのハードルが非常に高いと感じたんです。
「デザインまでは良いが、どうやって現物にするか?」というところで、「ここはもうプロにお任せするしかない」という判断になりました。
そこでインターネットを使っていろいろと検索していたら、上位でDMM.makeを発見したんです。
他にもいくつか候補はあったのですが、DMMのお名前が大きいことと、実績を拝見して細かいところや造形フローがしっかりしていると感じました。
「ここなら安心してお願いできるんじゃないか」と思いDMM.makeに依頼させてもらっています。
ありがとうございます。最初はモデリングを担当したエンジニアの方が3Dプリンターを購入されたのですね。
笹原様:そうですね。
エンジニアなのでちょっと頑張ればできるんじゃないかという安易な考えで一緒に始めました。
でも、3Dモデルのハードルがあまりに高くて結局は作れませんでした。
では、現在はどのようなフローで3Dモデルを制作しているのでしょうか。
笹原様:私がデザインをして、そのデザインからデータ上で三面図を作っています。
「DMM.makeは三面図から3Dモデルの図面を製図できる」と書いてあったので、「これはお願いするしかない!」ということでお願いしました。
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実際に造形してみてわかること
三面図から3Dモデルができて、その立体のクオリティはいかがでしたか?
笹原様:ほぼイメージ通りでした。
その一方で、実際に作ってみないとわからなかったこともいくつかありました。
それは具体的にどういった点でしょうか。
笹原様:今回私が発注したものは、骨で作ったダイヤやペットの毛だとか、いろいろな物が置けるようにデザインしてあります。
お骨を収納したアクセサリーも入れられるような小物入れ部分も作ったのですが、その深さが想像よりも深かったんです。
届いた品物は石材屋さんと一緒に見たのですが、このままだと男性は取りづらく、浅くしないと機能しないという話になりました。
また、今回のデザインだと台座にスポッとかぶせるような状態になっているのですが、それが下から外れてしまうこともありました。
なるほど。3Dモデルでは問題なくても、実際に造形すると少しイメージと違っていた部分があるということですね。
笹原様:そうですね。
透明度も気になっていたので、DMM.makeの担当者と何度かやり取りをしながら進めました。
ただ、磨きをかけないと反対側が見えるほどの透明度にならないとか、作ってみないとわからなかったことがいくつかありましたね。
担当者と2〜3回はキャッチボールをして、「より完璧な状態に近付けるというのが可能だな」と感じました。
初めて届いたとき、石材屋さんと一緒に「こんな完成度で出てくるのか!」と感動しましたよ(笑)
今は第二弾のデザインを出していて、今回は商品化に向けて完璧な形にしてOKが出れば受注生産くらいのレベルでやっていけるなと思っています。
透明性を重視した3Dプリント素材の選択
今回は素材としてクリアアクリルをご利用いただきましたが、透明度や中身が見えることを意識して選ばれたのでしょうか。
笹原様:そうですね。
ただ、クリアアクリルだと研磨加工をしないと反対側が見えなくて、DMM.makeでは研磨加工を請け負っていないという連絡をもらったんです。
ちょうどいまお願いしている第二弾は、サンプルでかなりの透明度があった「タフ・透明タイプレジン」で依頼していて、その完成品を見てから今後のことを決めようかと思っています。
笹原様:次の第三弾は、研磨する必要がないようなデザインにしようとも考えています。
研磨しなくても製品化できそうであれば、タフ・透明タイプレジンやクリアアクリルではなく、金属でもいけるんじゃないかと思っていますね。
私にとって可能性が無限大なので、DMM.makeをとても頼りにしています。
ありがとうございます。手元供養に向けたプロダクトとして、どんどん新しいバージョンを作っていこうとお考えなのですね。
ちなみに、バージョンが変わるとどのような部分が変わるのでしょうか。
笹原様:いまはボトルを連想させるような形になっていますが、ペットをモチーフにした形にしてみるのもよいかと思っています。
犬や猫、うさぎ、ハムスター、最近はネットの記事で見かけたカブトムシとか。
ペットの生まれ月やチェスのコマのようなデザインで、シリーズ化できたら良いなと考えています。
DMM.makeに対する要望
三面図からの3Dモデル制作や素材の相談などをご利用いただいていますが、弊社のサービスに対するご要望などはございますか?
笹原様:基本的には大満足なのですが、たとえば、メールかなにかで事前に完成品の画像見せてもらえると良いのかなと思いました。
あと、わがままをいえば、研磨加工を請け負ってもらえると助かりますね(笑)
そうですよね……。
手元に届いてから別の業者に出すというフローでは、時間がかかってしまいますもんね。
笹原様:いまはレジンで発注しているので、その完成品を見てから研磨の必要性を考えていこうと思っています。
素材によって研磨できる・できないがあるので、研磨の選択肢が増えると良さそうですね。
笹原様:そうですね。
「すべてDMM.makeでまるっと解決してもらえると心強いな」と思います。
でも、納期が早くて驚くほどでしたし、三面図から3Dデータも起こしてもらっていますし、基本的には大満足しています。