飲食店向けデリバリー用ロッカーのネームプレート制作でDMM.makeのチタンを活用 株式会社ユーボ

2022年9月5日

サービス最終製品一点物・少量・オーダーメイド
DMM.make 3Dプリントサービス 法人様 導入活用事例

株式会社ユーボの玉井秀成様よりお話を伺いました。株式会社ユーボ様は主に飲食店向けのピックアップロッカーを制作されています。オーダーメイドやカスタムメイドで受注し、今は飲食店向けのデリバリー用ロッカーがメインです。今回はロッカーに取り付けるロゴやネームプレートを作る際に3Dプリンターを活用されている事例をご紹介いただきました。

※この記事内のコメントや評価は、インタビューに応じた企業様の個人的な感想や意見であり、当社の公式な見解や保証を示すものではありません。

お客様プロフィール

DMM.make 3Dプリントサービス 法人様 導入活用事例

株式会社ユーボ玉井 秀成

IoTクリエーター。DECOチョコ、ネスレ社チョコラボキットカット、グリコ社スマイルビスコなど、行列の出来るウェブ・カスタマイズアプリの立ち上げから運用を経験。

課題

平面と立体とでは見た目や印象がだいぶ違うので、ロゴの扱いは慎重にならざるを得ない。文字がリアルになった瞬間に、文字が尖っているか尖っていないかだけで、そのロゴの印象が大きく変わるため、ネームプレートや会社のロゴは板金で表現できるものではない。

効果

ネームプレートを取り付けることでハードウェアとしてのオリジナリティをさらにアップできる。板金でできないことが3Dプリントでは表現できる。

お客様の声

国内大手であるということ、展示会で要望をいろいろ伝えたところ「チタンが良い」と教えてもらえたので、DMM.makeを使っています。満足度はかなり高いです。

事業内容について

本日はお忙しいところ、貴重なお時間をいただきましてありがとうございます。
早速ですが、御社のお仕事内容からお聞かせいただけますでしょうか。

玉井様:我々は主に飲食店向けのピックアップロッカーを制作しています。
いわゆるオーダーメイドやカスタムメイドで受注していて、今は飲食店さん向けのデリバリー用ロッカーがメインになっています。
飲食向けのロッカーというのは、たとえば、お弁当の注文を受けて出来上がったものをロッカーに入れておいて、ウーバーイーツや出前館の配達員さん、一般のお客さまへ商品を間違えることなく安全に受け渡しができるというものです。

なるほど、ありがとうございます。
出来上がったお料理やお弁当をロッカーに入れて、あとはお客さまや配達員さんが受け取れるというものですね。
ロッカーを開ける際には鍵が必要かと思いますが、スマートフォンでパスコードを通知するカタチになるのでしょうか。

玉井ロッカーを設置される飲食店さんによって、さまざまな事例があります。
QRコードを使われるパターンや、ロッカーに備え付けのモニターでパスコードを手入力してもらうパターンなど、いろいろですね。

今のところはお料理ですとかお弁当だけを取り扱っているのでしょうか?

玉井様:現在は飲食店さんが多いですね。
金沢にあるジュース屋さんはロッカーだけを導入されたり、都内でも有名なスープ専門店さんにはお持ち帰りやウーバーの配達員さん用に導入してもらったりしています。
ほかにもパン屋さんやクラウドキッチンさんなどでトライアル導入いただいて、最近だと表参道や中目黒、池袋、地方だと仙台、金沢などご依頼をいただきました。
飲食店以外だと、レンタルCD屋さんでサンプリングを提供する際に使われたりもしましたね。

いろいろな用途が考えられそうですよね。
クラウドキッチンというのは初めて聞いたのですが、どのようなサービスになるのでしょうか。

玉井様:クラウドキッチンは、宅配専門の飲食街みたいなイメージですね。
一般のお客さんが座れるようなスペースは設置されていなくて、フードデリバリーをメインにしている感じです。

ありがとうございます。
ちなみに、食品を中に入れておくということは冷蔵的な機能も付いているのでしょうか。

玉井様:今のところは付いていません。
すべて常温なので、あらかじめ受け渡し期限が設けられるようにしています。
生物などは時間が経つと危ないので、事前に設定しておいた時間内に取りに来てもらうイメージです。
期限切れになるとロックがかかってドアを開けられなくなるので、スタッフさんに声をかけて対応してもらうカタチになります。

冷蔵機能をつけるような事例はこれまでにあったのでしょうか。

玉井様:製品として販売はしていませんが、参考出費みたいなカタチで冷蔵メーカーさんと組んで、冷蔵庫にロッカー機能を取り付けたパターンはありました。
我々はアプリ的な方面が強いので、冷蔵ロッカーは冷蔵庫屋さんと組んだほうがノウハウもあるし良い製品が作れるんですよね。

なるほど。ちなみに、一番大きなサイズはどれくらいになるのでしょうか。

玉井様:お客さまのご要望によって変わってきますが、大きいものだと横がだいたい3メートルくらいですかね。
高さは人の高さに合わせているので、基本的には大きくても1.8メートルくらいだと思います。

カスタムメイドのロッカーを御社にオーダーした場合の納期や価格帯はどれくらいになるのでしょうか。

玉井様:タイミングにもよるんですが、基本的には1.5ヶ月くらいでお届けできているかと思います。
価格帯もピンキリで、お客さまのご要望に合わせてカスタマイズするカタチなので、これといった金額が出せないんですよね。
基本的には「お問い合わせいただいてから」という感じでお願いしています。

3Dプリンターの利用目的

ここまで御社のお仕事内容からお聞かせいただきましたが、ここからは3Dプリンターに関わる部分についてご質問させてください。
御社が手掛けるロッカーには液晶パネルなどさまざまな部品がありますが、どのような部品で構成されているのでしょうか。


玉井様:我々が製造するロッカーは、ロッカー自体が大きなIoT機器になっていて、インターネットとつながっています。
中に小さいサーバーを入れてモニターを映し出していて、画面を見ながら操作するものやタッチパネルでドアを解錠するものなどがあります。
あとは電子錠が付いているものがあったり、LEDのライトが付いていたりとか、そういったパーツで出来上がっています。

イメージとしては、駅などに設置されているコインロッカーのようなものになるのでしょうか。

玉井様:JRの駅などに置いてあるような大手のロッカーは、頑丈でいかにも守備力が高そうな見た目で超重厚な感じですよね。
我々はカスタムメイドというところがセールスポイントで、見た目が鉄っぽい感じではなく化粧板の木だとかでお客さまのお店に合う印象のロッカーを作っています。
これからお店を作ろうとして、内装から一緒に作り上げようというときに雰囲気を合わせられるのが強みかなと思っています。

たしかに御社のホームページを拝見すると、今までにないようなスタイリッシュなデザインのロッカーばかりですね。


ちなみに、3Dプリントはどの部分でご活用いただいているのでしょうか。

玉井様:ロッカーに取り付けるお客さまのロゴやネームプレートを作る目的で利用させてもらっています。
弊社はカスタムメイドでお作りしているので、DMMさんの3Dプリンターで作れるようなネームプレートを入れることで、よりオリジナリティが出せると考えています。
現状はお客さまが見る画面に飲食店のロゴを出しているだけなので、ネームプレートを取り付けることでハードウェアとしてのオリジナリティをさらにアップできると思うんです。
今後は「ネームプレートも付けませんか?」というのがアップセルになるのではと思って、積極的に取り組んでいこうと思っています。
ネームプレートの見本 (チタン・チタン(磨き))

ありがとうございます。
これまでロゴやネームプレートを採用されていなかったのには、なにか理由がおありなのでしょうか。

玉井様:平面と立体とでは見た目や印象がだいぶ違うので、ロゴの扱いは慎重にならざるを得ないよな、という認識がありました。
文字がリアルになった瞬間に、文字が尖っているか尖っていないかだけで、そのロゴの印象が大きく変わってくるんです。
そのあたりの調整をするのが今後の課題かなと思っていて、それと同時に大手ではできないような仕事なので、そこは面白いところだなぁと感じています。

ロゴやネームプレートをご依頼いただく際の素材は何を選ばれているのでしょうか。

玉井様:現状の選択肢はチタンだけかなという印象です。
現状はオーダーメイドで一点物を作ってお渡しするカタチなので、その中に組み込めたら嬉しいなと感じています。
その会社のロゴとして雰囲気が合うのであれば可愛らしい透明レジンでも良いかなとは思いますが、現状は金属の質感や重厚感で見た目も締まるので、一点物として作るならチタン一択で良いかと考えています。

大量生産でご依頼いただくケースは少ないのでしょうか。

玉井様:ないこともないですが、そこまで多くはありません。
今後、我々の事業が進んでいって大量生産するようになったら、そのためのモックとして使うだろうなと考えています。現状は1点ものとして進めているので素材などバリエーションを増やしていきたいです。
ネームプレートの見本=Resin C1 /Resin A1 Pro /PA12 ナチュラル /PA12 グラファイト磨き /PA11 ナチュラル(MJF)

3Dプリンターを使うきっかけやDMM.makeを選んだ理由

ロゴやネームプレートを作るために3Dプリンターを使おうと思ったきっかけはなんだったのでしょうか。

玉井様:社内のモックをアップデートするとき、モニターの大きさが変わったのでそれに合わせてパネル部分だけを変えたいと思ったことがありまして。
それまで鉄のパネルなんかは板金屋さんに外注していたのですが、3Dも試してみようかと。
そのときは3DCADを使って自作したんですが、久々に使ってみたらすごく面白かったので、そのままネームプレートも3Dプリンターでやってみたというのがきっかけですかね。

制作中のロゴデータ

3DCADはそのときにご自分で勉強されたのでしょうか。

玉井様:2010年くらいに自分の趣味で、おもちゃの機関車を3DCADで作ったことがあったんです。
ネームプレートや会社のロゴなんかは板金で表現できるものではないので、それ以外の方法を模索している中で3Dプリンターを思いつきました。

3Dプリンターを取り扱う業者はいろいろありますが、その中で弊社をお選びいただいた理由はなんだったのでしょうか。

玉井様:展示会に行かせてもらったのが大きかったですね。
3Dプリンターは前から知っていて、昔ながらのイメージしかなかったんですが、展示会でチタンが出力できることを初めて知りました。
そこで優秀な営業の方々がいろいろと紹介してくれて、我々の要望であれば「チタンを使うのがベストですね!」と勧めてくれたので利用させてもらっています(笑)

実は玉井様と私どもの出会いは展示会がきっかけなんですよね(笑)チタンでの造形はご満足いただけましたか?

玉井様:満足度はかなり高いですね(笑)

ありがとうございます。もう「弊社一択」という感じだったのでしょうか。

玉井様:昔使ったところで「ShapeWays」を知っているくらいで、ほかは全然知りませんでした。
当時使ったのはレーザーを当てるやつですごく固くて良かったんですが、積層型は全然ダメで、積層線が出て剥がれてしまうレベルだったんです。
なので、ネームプレートを作る際もレーザーで固めるものを想定していたんですが、紹介してもらったチタンは想定していたレベルを軽く超えてきました(笑)
自分で他社を調べるのは時間がかかって面倒くさいので、国内大手だし展示会でいろいろと教えてもらったこともあって、ほぼほぼ一択でDMMさんを使わせてもらっています。
Resin A1 Proを株式会社ユーボ様で染色

ネームプレートを導入する目的が「他社との差別化」と仰られていましたが、実際にお試しいただいて、他社との差別化ポイントになり得そうでしょうか。

玉井様:さらになると思っています。
もともと、カスタムオーダーメイドという路線で3Dプリントと目的が合致しているので、相性はすごく良いと考えています。
現時点では大量生産のものがないのでわかりませんが、今後は用途も増えていくんじゃないかと思います。

ネームプレートをパネルに取り付け後のイメージ

DMM.makeに対する要望

現時点で、弊社のサービスをご利用いただいて不満点やご要望などはございますか?

玉井様:利用し始めたばかりということもあって、現時点で特に不満はありません。
データをアップロードして造形不可となった場合でも、JPEGなどで直接線を引いてダメだった箇所を丁寧に教えてくれるのでものすごく助かっています。

ありがとうございます。フィードバックがあるのは、やはり大きなポイントなのでしょうか。

玉井様:素人目線だと、どこの何がどうダメだったのかがよくわからないんですよね。
それをすごく丁寧に指摘してくれるので、慣れていない人からすると非常にありがたいポイントだと思います。

それは良かったです。細かな部分で気になる点などはございませんか?

玉井様:しいて挙げるとするなら、チェック機能を合格した後に「よくよくデータを見てみたら造形不可でダメでした」という返答がきたことがあります。
その時点だとすでに決済が終わってしまっていて、返金処理といったカタチになるので、経理的に嫌な顔をされたことがありました。
そこまで大きな問題ではないですが、そのあたりの精度が上がると、お互いの現場で働いている人が楽になるだろうなと思います。

これは大変失礼いたしました。今後の参考にさせていただきます。

玉井様:僕みたいな素人だと修正があって当然で、板金屋さんに発注するときも似たようなことがあるんです。
板金だと1枚の板から曲げでつくるので、出来ること出来ないことに明確なルールがあって、それをクリアするために何十回も試行錯誤することも多いんですが、それらを取っ払って自由な形を創造できるのが3Dプリンターという認識でいます。
なので、今後のことも踏まえると、色分けだとか部品のアセンブリ(組み立て)を求められることもあるでしょうし、ウェブ上で素人がとっつきやすい入り口が求められるだろうなと。

初心者の人でも取り組みやすい入り口というと、具体的にどのようなものを想定されていますか?

玉井様:組み立ての知識がない人でも、ウェブ上でパーツを選んでいけば自由に組み立てができて、実際にそれが商品として購入できるようなサービスです。例えば、ミスミフレームズというアルミフレームの筐体設計ソフトは、ある程度決まった部品のみですが、自由なサイズを指定できるので、専門的な知識がない人でも、アルミフレームの箱や枠組みを簡単に作ることができます。
DMMさんでもこういったサービスがあると面白いし、3Dプリンターの敷居が低くなると思っています。

ウェブ上で丸とか三角のオブジェクトが用意されていたり、マウスのドラッグで楕円に引き伸ばせたり、パワーポイント的なイメージですね。
ありがとうございます。参考にさせていただきます。

今後の展望について

最後の質問になりますが、今後の御社の展望などがあればお聞かせいただけますでしょうか。

玉井様:現状は飲食店さんが主なお客さまとなっていますが、今後は食べ物以外でたくさんの業界に弊社のサービスを広げていきたいと思っています。
我々が作っているのは「鍵がついているロッカー」ではなくて、思想としては「ショーケース」なんです。
店舗の内装の一部として、お客さまに箱そのものや中身を魅力的にお見せすることができれば良いなと思っています。

なるほど。ロッカーボックスというものではなくて、空間をデザインする取り組みというイメージですね。

玉井様:そうですね。ただ単に自動販売機のような味気ないものにはしたくないので、ショーケースのような一点物にしていきたいという想いがあります。
中に入れるものは高級バッグでも自動車でも良いのですが、「商品をお客さまに受け渡す瞬間」が一番難しいタイミングで、一般のお客さまの中には「作るのはロボットで良いけど、渡すのは人間が良い」という人もいます。
“作る工程の効率化”があっても“受け渡しの効率化”は後回しにされてしまうことが多いですが、その部分で「どこまで消費者の体験を幸せにできるか」というのが狙い所かなと考えています。

大変貴重なお話をありがとうございました! 今後ともどうぞよろしくお願いします。

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