お客様の要望に応えて3Dプリントサービスを活用 株式会社グーテンベルク

株式会社グーテンベルクの山口勇二様よりお話を伺いました。3Dプリンターの製品開発を手がけるなかで、3Dプリントサービスを活用されている事例をご紹介します。


山口勇二様 プロフィール
株式会社グーテンベルクの3Dプリンター開発リードエンジニア。
「はるかぜポポポ」名義で各SNSでも3Dプリンターの改造、使いこなし方について公開しています。
note:https://note.com/newspeak/
Twitter:@N3uuSp3ak

材料や質感、サイズなど光造形や粉末造形が向いている造形物を依頼されるケースがあった。

納品までの一連の流れをスピーディーに対応できた。

他の受託造形サービス会社と比べて、自動見積りで価格や納期がすぐわかるので、レスポンスの速さに助けられています。また割り増し料金による特急対応なども可能で設備の空き具合などを気にする必要がないのもうれしい点ですね。

大田区発ベンチャー! 高速出力の3Dプリンターを開発 株式会社グーテンベルク

グーテンベルク様の概要をご紹介いただけますか?

弊社は2023年2月で3年目を迎えたものづくりベンチャーです。3Dプリンティングを主軸として事業をしており、G-ZERO」という出力速度の速い3Dプリンターの開発・製造・販売までを手がけています。


高速造形が可能な3Dプリンター「G-ZERO」
弊社は大田区にある旋盤加工業者の株式会社極東精機製作所の一画を間借りして、3Dプリンターの開発製造や加工をおこなっています。

そちらの極東精機の鈴木社長に協力いただいて、他社とのコラボレーションや製品開発も手がけています。

そういった取り組みのなかで、極東精機の関係取引先で鋳物を取り扱う花岡金属と「3Dプリンティングとの用途開発やコラボレーションができるのではないか?」とお話をいただきました。

どのようなコラボレーションが実現したのですか?

消失鋳物やロストワックス*と呼ばれる方式でコラボレーションいたしました。
3Dプリンターで出力した樹脂部品の型を造形して、コーティング後に中の樹脂を加熱して取り除き、そこに金属を流し込んで金属の物体を作り出そうという取り組みです。

御社のG-ZEROで出力したロストワックスとして使える樹脂に、セラミックなどの素材をコーティングするのですか?

はい、耐火性のセラミック粉末等の混合物をコーティングして、表面を乾燥させます。
その後加熱してロストワックス用の樹脂を取り除いて(脱蝋工程)、空白部分に金属を流し込むことで、欲しい形の金属物を取り出すのが今回の取り組みです。


ロストワックス工程の概要
これまでは、金属の型を削ったあとにワックスを流して形状を取る必要がありましたが、3Dプリンターを活用するのでその手間が省けます。
複雑な形状でも簡単に作り出せて、なおかつ納期的にも大幅に短縮できることが大きなメリットですね。

すばらしいですね。
通常と比べて、どれくらいの日数を短縮できますか?

基本的に金属の金型を作る工程が短縮できます。
ものにもよりますが、合計2ヵ月ほどの工程が1ヵ月程度になります。
通常はワックス用の金型を発注して1ヵ月ほど、さらに実際に金属の部品を取り出すまでにもおおよそ1ヵ月ほどの時間が必要でした。
弊社であれば、ワックス用の金型の作成を1〜2日程度に短縮できます。

それほどの日数をカットできるのは大きな特徴ですね。

3Dプリンティングを活用すれば、低コストで一度に多くのバリエーション検討ができるのもメリットです。
金型を起こす場合は費用や日程面でバリエーション検討が難しいですが、3Dプリンターなら一度に多くのバリエーションを短い期間で作り出せます。
最終的な開発期間を大幅に短縮できるのも大きな特徴だと思っています。

バリエーション検討で非常に大きな強みがありますね。

大きな強みになると思っています。
切削でもワックスを削れなくはないですが、それも切削加工に出さないといけないなどの課題があります。
そういった手間や時間をかけずに、最終的にはワックスを使う鋳物屋さんの工程の横に置いていただくことを想定して取り組んでいますね。

なるほど。
普段のお取引先様は、鋳物屋さんや加工屋さんが多いですか?

我々の造形の後の工程、すなわち鋳物屋さんや加工屋さんの一角に「G-ZERO」を置いていただき、「納期を短く、高速で」製品開発・製造をしていただくことに貢献したいと思っていますが、現時点では2割程度でしょうか。

鋳物屋さん以外だと、どのようなジャンルのお客様が多いですか?

大手の会社さんの開発部や研究部から個人事業主の方もいらっしゃって、本当にいろいろな業界の方にご購入いただいています。
ドローンやロボット関係の企業さんだとか、ベンチャーも多い印象ですね。
他社のプリンターを30〜40台導入していて、最終的に弊社の3Dプリンターを5台に集約していただいた案件などもありましたね。

造形の準備に多少はオペレーターがついて回らないといけないので、さすがに30台ともなるとコントロールしきれないんですよね。
「30台を1人で管理するのは大変でも5台くらいならできそうだ」と…結果、人件費や設置場所、さらには開発期間を短縮できたそうです!

1/6に集約とはすごいですね!

最近はかなり幅広いお客様からもニーズをいただくようになりました。
たとえばメガネメーカーや光学レンズの廃材をアップサイクルした製品を作られている企業様などもあります。

なるほど。本当に様々な業界で活用されているのですね。

グーテンベルクの製品は、ものづくりをしているメーカー全般にご活用いただけるだろうと考えています。
生産工程改善や納期の短縮を目的に、産業全体に幅広く貢献していきたいですね。
製造業全体で扱いやすく、場所を選ばずどこにでも設置できて、消費電力やサイズ感も許容範囲内に収まるようなマシンを開発中です。

御社は3Dプリンター業界でも話題を集めていますね。
2023年2月の展示会「TCT JAPAN」にも出展されており、「造形スピードが速い!」と話題を呼びました。

はい、先ほどお話しした金型製造も展示しており、多くのお客様にマシンや技術を直接見ていただきました。

「TCT JAPAN」開催レポートはこちら

*ロストワックス(技法):原型となるワックスを石膏などで型取りし、加熱をしてワックスを除去した空間に金属を鋳込んで金属製品を作る鋳造方法。3Dプリントにおいては、このワックス原型をプリントし活用することがある。

G-ZERO開発者・山口勇二様と3Dプリンターの出会い

ちなみに山口様と3Dプリンターの出会いはどのようなものでしたか?

昔、入り浸っていた工作スペースのオーナーが、アメリカから30万円ぐらいの3Dプリンターを買ってきて、「使ってみてよ」と声をかけてもらって。
調べながら、そのマシンを使い倒していたら、自然と3Dプリンティングに詳しくなりました。

そこからグーテンベルクへ入社して3Dプリンター開発にいたるまでには何があったのでしょう?

前職では、工作スペースの運営だとか、いろいろな事業に手広く取り組んでいました。
そうしたなかで、「3Dプリンターを作ってみない?」と話をいただいて、やり始めたら意外と良いよいものができあがってしまったんです。

「じゃあ、グーテンベルクでやっていきましょうか」という話になって、役員にまでなってしまって今にいたります。

なるほど。
「3Dプリンター好きが高じて」という流れだったのですね。

おっしゃるとおりです。
3Dプリンターっておもしろいですよね! 何かしら毎日3Dプリントしていましたし。

価格が高いマシンを使ったこともありますが、いろいろと不満も出てきて、「自分で作ったほうがいいマシンを作れるのでは?」と感じていました。
「100万円のプリンターを買って使うぐらいなら、同じ100万円を使って自分で3Dプリンターを作ろう!」と頭の片隅にあったタイミングで誘われたので、「よし!やったるか!」となりましたね。

3Dプリンターにのめり込むと、市販のマシンだと物足りなくなってきますよね(笑)

そうですね(笑)
自分でも3Dプリンターを購入しましたが、使っていくうちに不満がでてきて、自分で改造するようになりました。
やり続けているうちに勘所がつかめてきて、その経験が今のマシン開発に活かされていますね。

「頼ってきてくれたお客様の期待に応えたい」スピード重視でDMM.makeに発注

3Dプリンターを自社開発・販売、受託造形までしているグーテンベルク様ですが、この度DMM.makeをご利用いただいたきっかけは何ですか?

弊社のサービスでお客様にお応えするのが難しい場合にDMM.makeを活用しています。

最近ではFFF方式*の3Dプリンターが大活躍していて、お客様から3Dプリントについていろいろなご相談をいただく機会も増えました。
ただ、お話をしていくなかで、他方式の3Dプリンターが向いている材料や質感のご注文や、サイズが合わなかったりするケースも多くあります。

とはいえ、せっかく我々を頼ってご相談いただいているので、なんとかお断りせずに「我々で解決できることは解決していこう!」と思いました。
我々の3Dプリントの知識や技術を活用して、御社の受託サービスを利用しております。

*FFF方式(フィラメント溶解製法):プリンターが熱したプラスチックフィラメントを押し出し、そのフィラメントが積層される造形方式。

造形サービスを利用される際、DMM.makeを選んでいただいた理由は何ですか?

やっぱり、他社に比べて見積もりが早いからです。自動見積もりで価格や大体の納期もすぐにわかります。
支払いも非常に簡単なので利用しています。

やはり見積もりや納期のスピード感は重要ですか?

そうですね。お客様もなにかお困り事があって、我々のところに急ぎで駆け込んできてくださいます。
そこから先の納品までの一連の流れをスピーディーに対応したいと思っているので、DMM.makeのレスポンスの速さには助けられています。

ありがとうございます。
注文から造形・発送を担当している加賀工場の担当者も喜ぶと思います。

企業や学校での「教育」にも意欲。グーテンベルク社のこれから

グーテンベルク様の今後のプリンター開発や展望をお聞かせいただけますか?

直近は「大きなサイズの3Dプリンティングをしたい」というご要望をかなり多くいただいています。
現状は250×200ミリメートルぐらいのプリンターですが、それよりも大きなものを作りたいと思っています。

我々は造形が終わるまでのスピード感を売りにしているので、そこは今後も外せない大事なポイントだと考えています。
実用的かつ許容できるスピード感を保ちながら、大きなサイズの造形ができるような3Dプリンターの開発に着手している状況です。

スピード感が解決されたら、大きな需要になりそうですね。

3Dプリンターの開発や装置を作って売る以外に、お客様への3Dプリントの教育も必要だと考えています。
3Dプリンターはあくまでツールなので、最終的にはお客様にそれを使って造形物を作ってもらわないといけません。

「教育」といいますと、企業に向けて3Dプリンターの使い方などをご紹介するのでしょうか?

たとえば、弊社で事例集を作って、お客様の業務内容を掘り下げながら「こういう部分で3Dプリンターが使えそうだね」とご提案したいと考えています。
社内で使えそうだと思ってもらえれば、弊社の3Dプリンターをご購入いただけるかもしれません。
お客様候補の方々に3Dプリンターが役立つことを知っていただいて、3Dプリンターの活用方法を浸透させていく活動に力を入れていきたいですね。

私たちとしても3Dプリンターをあらゆる場面で使っていただけるような活動をしていきたいですね。

「マシン開発だけでなく素材面にも力を入れていこう」とも話しています。
現状ですと、大塚化学にご協力いただいて、樹脂に合わせたチューニングをしたりしています。
たとえば、お客様から異方性を求められることも増えてきましたが、これはまさにFFF方式で実現しやすいことの1つです。
軽量かつ特定方向にだけ剛性が強い素材や印刷方法を開発したり、その素材を使いこなしたりする部分にFFF方式の可能性がかなり残っているのではないかと考えています。

非常におもしろい取り組みですね。


大塚化学のポチコンフィラメントで造形した部品(白色部分)を使ったロボット
さらに、教育現場での3Dプリンターの活用にも力を入れていこうと考えています。

たとえば蒲田の近くにある工業高校から依頼が来て出張授業をおこなったり、専門学校へのイベント出展をおこなったりもしました。

学校と接点をもったことで気付いたことがありました。普通の授業であれば約1〜2時間の授業時間で、生徒さんは20〜30人くらいです。
生徒さんがモデリングしたものを「授業中に見せたい」あるいは「翌週に渡したい」となると、普通の3Dプリンターでは速度的に不可能ですよね。

先生が一晩中3Dプリンティングをするわけにもいきませんし、「造形スピードの速い3Dプリンターがあったらいいよね」というニーズがありました。

普通のプリンターだと造形までにかなりの時間がかかってしまいますよね。

そこで握りこぶし程度の大きさの造形物が30分〜1時間程度で作れるとなれば、話がだいぶ変わってきます。
一般企業でも似たような話があるので、やはりスピードが速い3Dプリンターは求められているように感じています。

これまでの教育用の3Dプリンターは低価格で簡易であることを求められていた印象がありましたが、お話を聞いていて、速さというのも教育面で重要なポイントだなと考えさせられました。

5〜6時間経っても、手のひらサイズのものしか作れないと、造形物のサイズ感とともに生徒さんの発想力も小さくなってしまいます。
それはもったいないことで、作りたいものを作りたい大きさで出力できる3Dプリンターで作ってあげたいと思っています。
先生方にも喜んでいただいています!

今後はロボットコンテストなどで頑張っている団体やハッカソンのような場に貸し出すそうかなんていう話もあります。
「うちの3Dプリンターを使って、絶対勝ってよ!」って(笑)

3Dプリンターを使いこなせる人材の育成は業界としても課題ですね。
これからも共にこの業界を盛り上げていけたらと思います!
本日は貴重なお話をお聞かせいただきありがとうございました。

株式会社グーテンベルク
ホームページ:https://gutenberg.co.jp/

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