【動画でわかる】4Dプリンターとは?事例紹介やものづくりの未来

4Dプリンター:“変化する”ものづくり

3Dプリンターは縦・横・奥行(XYZ軸)のプリンティング技術を実現しました。4Dプリンターおよび4Dプリントはそこへさらに「時間軸」という概念をくわえ、時間の経過や環境との相互作用による物の変形までをデザインしたものづくり技術といえます。

2013年にSkylar Tibbits氏(マサチューセッツ工科大学 Self-Assembly Lab 創設者・共同所長)がTEDにて「4Dプリント」についてスピーチしたことにより、注目を集めました。

4Dプリンティングの背景にあるアイデアは 複数の素材でつくられた3Dプリントに ― つまり複数の素材を使えるということです ― 新たな能力を与えるというものです
その能力とは変形能力であり パーツが立ちどころに 自力で ある形から別の形に 直接変形できるようになるのです (中略)
パーツをプリントしさえすれば 別のものに変形します

引用:TED「スカイラー・ティビッツ:世界を変える4Dプリンティング 」(日本語訳:Tomoshige Ono 日本語訳監修: Yuko Yoshida)※略は編集部によるもの

このプレゼンテーションでは、「時間による変化」というよりも「自己組織化(Self-Assembly)」に焦点が当てられています。

4Dプリントのデモンストレーションとして発表したのは、造形物を水に入れると文字に変形するという簡易なものでした。
その一方でSkylar Tibbits氏は、水量にあわせて形状が勝手に変形する水道管の開発を通じて、工業・インフラ場面での活用もできると示唆していました。

参考:TED Talk Skylar Tibbits: The emergence of “4D printing”
Self-Assembly Lab

輸送などのメリットも:平面から熱や水に反応することで立体へ

海外の大学では、医療インプラントとしての活用や自動組立式の家具への実用化が目指されています。
これは小型・平面で印刷された物体が自動で変形することにより、かさばらず保管や輸送に便利で、また人が組み立てをおこなう手間も省けるというメリットがあります。

コンパクトな状態の人工衛星をロケットに積んで、宇宙空間で展開する……といった使い方も考えられますね。

4Dプリントには最終形態から逆算して、物性や周囲の環境からの影響をプログラミングした設計が重要だと言われています。

参考:ITmedia NEWS「家具が自動で組み上がる未来も? 世界で広がる「4Dプリント」研究」

3Dプリンティングと4Dプリンティングの違い

また慶應義塾大学教授の田中浩也氏は以下のように3Dプリントと4Dプリントを対比しています。

3Dプリンティング 4Dプリンティング
Static (静的) Dynamic (動的)
Printable (プリント可能) Programmable (プログラム可能)
Mesh/Solid (メッシュ/ソリッド表現) Point/Line/Mesh/Voxel (さまざまなデータ表現)
従来製造技術の代替 未知の製品の実現

参考:田中浩也「4Dプリンティングと未来都市」

また科学技術予測・政策基盤調査研究センターの論考によれば、4Dプリンティングでは知能材料(スマートマテリアル)を用いるとされています。
たとえば、吸水して膨らんだり塩水では収縮したりする「ハイドロゲル」や「形状記憶ポリマー」などが挙げられています。

通常3Dプリントする時は変色や膨張などを考慮して設計し、造形物が完成時から変化しないような印刷を目指しますよね。
そのような特性を逆手にとり、むしろ活かしていこうとする考え方です。

参考:古川 英光・蒲生 秀典(2021) 「3Dプリンティングから4Dプリンティングへ-デジタルファブリケーションの新たな展開-」『STI Horizon』科学技術・学術政策研究所 (NISTEP) 7(2)

4Dプリンターの国内活用事例

2023年には「NEDO先導研究プログラム/マテリアル・バイオ革新技術先導研究プログラム」に山形大学の4Dプリント研究のプロジェクトが採択されたように、日本国内でも研究機関を中心に4Dプリンター、4Dプリンティング技術の開発は発展しています。
その一例を見てみましょう。

インクジェット式4Dプリントで雑貨やファッショングッズ

元は平面で薄く軽い造形物が、水に触れることにより、折り紙のように自ら折り畳まれていきます。
帽子や立体型のレターなど独特の形状が美しくファッショナブルですね。

菌糸を3Dプリント、強化し、土に還る建造物へ


こちらは明確に「4Dプリント」と示されてはいませんが、時間の経過による変化が特徴的です。
菌糸の成長とともにブロックが結合し合い、建造物としてはより強固な素材へと変化します。
また生分解性プラスチックを利用しているため最終的には土にも還ります。サステナブルの観点からも画期的といえるでしょう。

参考:TECTURE MAG(テクチャーマガジン)「3Dプリントからの新しい”庭づくり” 慶應SFC田中浩也研究室による作品展「みらい作庭記 II」11/3-11/6 ウォーターズ竹芝にて開催」

3D/4Dプリンターが新しい価値を作り出す

3Dプリンターは、たとえ工場がなくても、いつでも誰でもものづくりができる世界を実現しました。
3Dプリンターを起点として、人々のクリエイティビティが刺激され、新しいものづくりの世界が広がっていくのにはワクワクしますね。

DMM.makeでも「3Dプリント×NFTアート」など新しいことにも次々と挑戦しています。
みなさんの3D/4Dものづくりアイデアもぜひ教えてくださいね。

最新情報をチェックしよう!