物性表DL付き! 開催レポート『3Dプリンター活用展・セミナー・交流会』

2022年6月3日、4日に『【DMM.make 3Dプリント】3Dプリンター活用展・セミナー・交流会』をDMM.make AKIBAにて開催いたしました。多くのお客様にご来場いただき、盛況の内に終了することができました。お立ち寄りいただいた皆様、誠にありがとうございました。

展示会全体としても2日間にわたって個人・法人のお客様合わせて400名を超える来場数だったこともあり、どのブースも開始から終了までほとんどの時間お客様で賑わっておりました。

展示会の内容

取り扱い素材のサンプル品展示

各種素材のサンプル品の展示と素材の特性や使用用途を説明いたしました。

当日各素材の物性表を配布したところ、「こういうのが欲しかった」「わかりやすい」とのお声をいただきました。当日お越しになれなった方は、簡単なアンケートにお答えいただけますとダウンロードできます。是非ご覧ください。

サービスをご活用のお客様の造形品を展示

製作者様も展示会に在中され、来場者様に直接ご説明いただきました。

スタッフにその場で直接相談

弊社スタッフや加賀工場のスタッフにその場で直接で相談できる窓口を用意しました。「相談してよかった」「他の素材も使ってみたい」という声をいただきました。

協賛いただいている株式会社日本HP様からはHP Multi Jet Fusion (MJF)方式で造形した樹脂製パーツサンプル品を展示いたしまいた。

素材の特性に関するセミナー

まだ皆様に良さを伝えきれていない素材の特性、適した使用用途、素材別造形精度・仕上がりの差などについてご紹介いたしました。ご紹介した素材はシリコン、NEXA、MJF、アクリルUltra Mode、チタンでした。セミナーの動画はこちら

株式会社日本HP様より「HP Jet Fusion 3Dプリンターによる新しい製造の可能性のご紹介」をいただきました。セミナー動画はこちら

来場者様同士がフランクに話せる交流会

セミナーご参加後に来場者様、出展者様、スタッフでコミュニケーションをとれる場として交流会を行いました。コロナ禍のため飲み物のみでしたが、制作活動に関してジャンルや業界が違う方と情報交換をいただきました。

なお、DMM.comのプレスリリースでも当日の様子を公開しております。

製作者様と造形品のご紹介

製作者様と造形品を一部ご紹介いたします。素材を選んだ理由、作品紹介、3D設計のコツは製作者様自身に書いていただきました。

氏名:石田兵衛様

https://www.instagram.com/hyoue_artglobe/

作品:One may dance without holding an umbrella in the rain. It is freedom.

造形素材:アクリル(Ultra Mode), ナイロン

素材を選んだ理由:使い慣れている素材ということと、パーツの精度を求めたかったから。

3D設計のコツ:なるべく出力の限界値を超えないようにしている。

作品説明:雪や雨の交差点をテーマにしているシリーズ。雨の中、傘を持っているのに使わずに歩く子供、同じくスーツのままのバイク乗り。昔別々の街で見た記憶を元に製作してみました。

氏名:武蔵模型工房様

ブログ http://musashimokei.blog.fc2.com/

twitter https://twitter.com/MusashiMokei

作品:Nゲージ鉄道模型(津軽鉄道・高松琴平電鉄・秩父鉄道)

造形素材:アクリル(Ultra Mode)

素材を選んだ理由:高精細に出力できるため

3D設計のコツ:見た目と強度のバランスを取ること。 実物をそのまま小さくしただけでは強度面で耐えられない部分があるため、実車のイメージを壊さずに補強する事を心がけています。

作品説明:

【津軽鉄道】1928年に製造されたナハフ1200形車両で、車体・台車・床板全てをアクリルUltra Modeで造形しました。車体は展開した状態で造形し、組み立てる方式としています。

【高松琴平電鉄】志度線で2000年頃まで走行していた電車です。旧型電車に多く見られた車体側面のリベットや、台車・床下機器の細い配管類まで綺麗に再現できました。

【秩父鉄道】カラフルな秩父鉄道の電気機関車です。車体と台車をアクリルUltra Modeで造形しました。正面デッキ部の細い手摺も折れる事無く造形する事ができました。

氏名:大岡俊彦様

作品名:サドルプロファイルキーキャップ(rev2)

造形素材:PA12GB(MJF)

作品説明:自作キーボードのキーキャップです。平面PCBでも立体キーボードになるような構造になっています。親指部を低く、人差し指側を高くして指の動く曲面に合わせた形になっています。詳しくは:3Dキーキャップ「サドルプロファイル」に至るエルゴノミクスの話; oookaworks.seesaa.net/article/484585466.html

素材を選んだ理由:#2000でサンディングしたあと蜜蝋仕上げすると、GBの手触りが気持ち良いので。

3D設計のコツ:手で触るキーキャップなので、精度と手触りです。

作品名:キーボード空中庭園「バビロン」

造形素材:ナイロン

作品説明:キーボードを打つ高さは机の高さでよいのか?伝統的なピアノを弾く腕の位置(構えた時に前腕が水平)になるような、机からクランプで懸架して、自作キーボードを載せられるような仕組みがこの「バビロン」です。これで自宅でもカフェでも、ピアノの高さでキーボードが打てる!

素材を選んだ理由:ナイロンの弾力性。安価なこと(1万円超えますけど)。

3D設計のコツ:この作例ではケーブルをどこに這わすかですね。

作品名:オールコンベックスキーキャップ

造形素材:クリアアクリル

作品説明:キーボードのキートップって、凹んでいるのが正解? 僕はそうは思いません。「撫で打ち」をするのなら、指の動線の邪魔をしない形の方がいいのでは? 手首を中心とした曲線に指が動けるようになるには、凸型のほうが打鍵速度があがる、合理的な打鍵曲線を描けるのでは? 実際撫で打ちをするならこちらが打ちやすいです。奥半球を撫でるように打ってみてください。

素材を選んだ理由:アクリルの表面の手触りの気持ちよさ。親指キーはコンパウンド仕上げです。

3D設計のコツ:手に触れるものなので、精度と手触りです。

氏名:堀居賢司様

Twitter https://twitter.com/kFG5MfQpjdQwuXC

作品名:オリジナルアクションフィギュア「赤鬼 Red-Ogre」

造形素材:PA12GB(MJF)

作品説明:趣味で設計したオリジナルのロボフィギュアです。

立像を身体の各部位で分割し、組み立てキット風に造型→塗装→関節をプラ棒で繋いで組み上げてあります。

「デスクに沢山並べられるサイズで」「主要関節が可動してポージングを楽しめる」「完全に自分好みの」フィギュアを目標に作りました。

素材を選んだ理由:部品の強度が優れており、造型費用が手頃な為

3D設計のコツ:主要関節が可動する事・塗装を施す事を前提に設計しているので、各部の数値は造型誤差と後加工を考慮してしております

作品名:チタンナイフ「彩」

造形素材:チタン

作品説明:チタン製のデザートナイフの素地を造形し、そこから研磨→柄部分に漆芸の螺鈿技法にて装飾を施した、当方の金属加工技術と漆芸技術を組み合わせた作品です。

素材を選んだ理由:板材からの切削で作るよりもコストパフォーマンスに優れると判断した為

3D設計のコツ:螺鈿装飾を施す柄の模様は使用する素材の厚みに合わせ、仕上がりが平滑になるよう設計してあります。

作品名:オリジナル甲冑フィギュア

造形素材:PA12GB(MJF)

作品説明:甲冑型のフィギュアを各部位ごとに分割して造形し、本物と同様に漆塗りで仕上げて組み立ててあります。

他のフィギュアと同様、主要な関節が可動するように作ってあるため、大きくポーズをつけることが可能です。

素材を選んだ理由:漆の乗りがよく、強度もあるのでこちらを選択しました。

3D設計のコツ:可動の妨げにならず、かつ塗装のぶんの余裕をもたせて設計しております。

氏名:akemin(@akemin21805719)様

Twitter https://twitter.com/akemin21805719

作品名:機械式腕時計(3D PRINTED WATCH)

造形素材:PA12(MJF), Agilusゴム, チタン

作品説明:3D PRINTED WATCHのプロトタイプ。ケース、文字盤、針、中枠、裏蓋、尾錠に合金チタン。

リューズにAgilusゴム(ショア度95)。ムーブメントは2針手巻きを使用しています。

ケースサイズは39mm、ラグ幅19ミリ、重さは本体、尾錠、皮ストラップ合わせて38gとなり、非常に軽量に仕上がっています。素材を選んだ理由:合金チタンは軽量、耐腐食性、堅牢性が優れているため。Agilusゴムはリューズの巻き心地を考慮して。

3D設計のコツ:素材を選んだ理由と同じ

氏名:すずめ模型様

HP : https://suzume-model.com

Twitter :  https://twitter.com/st_model8

作品名:3Dプリント製鉄道模型

造形素材:アクリル(Ultra Mode), PA12(MJF), フルカラープラスチック, マルチマテリアル

作品説明:3Dプリントで鉄道模型の車両を製作しました。今は廃線になってしまった姫路モノレールやかつて実験線で使われたリニアモーターカー、海外の軍事用車両や鉱山用の機関車といった大手メーカーからは出ていない欲しい車両を中心に製作しています。アクリルやPA12(MJF)、フルカラープラスチックなど複数の素材を適材適所の考え方で適用しています。

素材を選んだ理由:アクリル : 細かいディテールと塗装の必要な部分に適用しています。 フルカラープラスチック : 塗り分けの難しい部分に適用しています。 マルチマテリアル : 他素材と組み合わせる必要があり、かつゴムの特性が必要な部分に適用しています。 PA12(MJF) : 独特の質感をそのまま活かしたい部分に適用しています。

3D設計のコツ:素材の組み合わせによって嵌合が異なるため、割り当てる素材を考えながら設計しています。

氏名:Porco様

作品名:穿刺針ハブの試作品

造形素材:アクリル(Ultra Mode)

作品説明:特殊な穿刺針のハブの試作品。金属針を挿入、接着するための部品です。下部にM3のネジを切って、別部品に捩じ込む形状になっています。

素材を選んだ理由:透明で、細密な寸法再現と、ある程度の強度を得るため

3D設計のコツ:試作では、射出成形金型で再現可能な形状を意識しています

作品名:特殊穿刺キャップモデル

造形素材:アクリル(Ultra Mode)

作品説明:特殊な注射器の部品として、モデル検討のために設計。内側に突起と、ネジ山が切ってある。後日試作用に金型を製作した際、ほとんどこの図のデータをそのまま利用して設計することができた。

素材を選んだ理由:微細な形状の正確な描写と、ある程度の強度が必要だったため。

3D設計のコツ:射出成形の金型で流用できるような形状であること。

作品名:蝶番(ちょうつがい)

造形素材:ナイロン

作品説明:3D CADソフトで、可動部品を作る練習をするために設計した。汚いメモで形状や寸法を決め、後は直接CADソフトに作図して、そのまま造形を依頼した。この練習により、ナイロン素材の特徴、使い方などを理解することもできた。

素材を選んだ理由:ナイロンは素材の中では廉価で強度も強く、実用的な物に使えると考えたため。

3D設計のコツ:SLS方式によるナイロン造形は精度がやや低いので、公差を念頭に入れて設計する必要がある。

作品名:かめの甲

造形素材:ナイロン

作品説明:一枚のメモ紙を立てて見られるような台を作りたいと思い、設計した。写真の通り、うまく設計できたつもりだったが、ある程度大きなメモ紙になると、風に弱いことがわかり、頓挫。小さめの紙なら結構使えると思うが。写真のように表面を塗装すると、結構な風合いが得られることがわかった。

素材を選んだ理由:丈夫で壊れにくく、価格も低い。

3D設計のコツ:曲面を組み合わせると、見た目が面白くなることが印象的だった。

氏名:ARUPaPa様

http://www.arupapa.jp/

作品名:本取り棒プロトタイプ(コミー株式会社 PAT.P)

造形素材:PA12GB(MJF), Agilusゴム, AGILISTA AR-G1H

作品説明:高い所の本を踏み台や脚立を使わずに取り出すことができる本取り専用のマジックハンド

素材を選んだ理由:PA12GB:強度と組立工数の削減、Agilusゴム:硬度違いによる保持力確認、AGILISTA AR-G1H:握り易さ

3D設計のコツ:サポートを少なくし意匠面をきれいに仕上げる。また、組立工数・締結部品が少なくなるように工夫している。

氏名:オオタキヨオ様

https://www.instagram.com/otakiyoo/

作品名:Cubes 6 Necklace

造形素材:チタン

素材を選んだ理由:軽くて丈夫

3D設計のコツ:構造、歪み

作品名:Cutlery rest Hyperboloid

造形素材:チタン

作品紹介:構造のカトラリーレスト

素材を選んだ理由:軽くて丈夫、食品対応化

3D設計のコツ:構造、歪み

作品名:Void Cutlery Rest

造形素材:チタン

作品紹介:線のみで構成されたカトラリーレスト

素材を選んだ理由:軽くて丈夫、食品対応化

3D設計のコツ:構造、歪み

氏名:Daily Craft Keyboard様

https://shop.dailycraft.jp/

Twitter https://twitter.com/dailycraftkbd

作品名:自作キーボード用キーキャップ、ケース、ノブ

造形素材:PA12GB(MJF)

作品説明:既製品のキーボードに満足できず、手に優しいキーボードを自分で設計し、販売するようになりました。

展示のキーボードwings42は通常のキーボードのピッチより狭くしてあります。(19.05mm→縦17mm,横18mm)指の移動が少なく、とても快適なのですが、平らに近いキーキャップだと滑る事があります。それをなくすために、キーボード全体をすり鉢状となるようにキーキャップをデザインしました。滑ってしまうことがなく、狭いピッチながら快適に打鍵をすることが可能になりました。

素材を選んだ理由:試作は自宅のFDMで3Dプリントしていたのですが、積層痕が見た目にも手触り的にもよくありません。 ヤスれば感触は良くなるのですが、手間もかかりますし、見た目もイマイチです。 PA12GBの磨きは見た目も感触も良いので、直接手に触れるキーキャップには最適の素材です。

3D設計のコツ:細かいパーツを作ることが多いので、最小肉厚を気をつけています。

 

来場者様の声

各種サンプル展示は90%以上、相談窓口の対応は85%以上の方にご満足いただけました。誠にありがとうございました。

来場者様より「いつもは触れることのできない素材を触ることができてよかった」「また来たい」という声をいただき、主催者として大変励みになりました。

まとめ

展示会を主催しDMM.make AKIBAで開催するのは今回が初めての試みでした。至らぬ点も多々あったかと思いますが、普段はお会いできないお客様と直接やり取りができ、弊社にとって大変貴重な経験となりました。ありがとうございました。

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