DMM.comとミマキエンジニアリングが2022年7月から募集をかけていた3Dプリントコンテスト「DMM.make × Mimaki Clear 3D Print Contest」の受賞作品が決定されました。
https://lp.make.dmm.com/makemimaki_contest
コンテストは、ミマキエンジニアリングが新たに開発した従来品より透明度が増したピュアクリアインク「MH-110PCL」を活用した実用品、アート作品を募集し多数の応募をいただきました。
本記事では受賞作品に加えて、他の応募作品をご紹介してまいります。
コンテスト概要
テーマ
「透明を現す」
新しい透明素材は従来の素材と比べて黄色味を抑え、ガラスやアクリルのような透明表現が可能になりました。実用的な物からアート作品までジャンルを問わず、この新しい透明素材を活かした作品を募集します。
募集期間
2022年7月28日(木)ー8月31日(水)
賞
・最優秀賞
DMMポイント10万円分、ワコム 13.3インチ 液晶ペンタブレット 液タブ Wacom One 13
・優秀賞
DMMポイント2万円分、ロジクール MX MASTER 3S
・DMM賞
DMMポイント2万円分
・ミマキ賞
無料3Dプリント造形権
それでは、最優秀賞から応募作品、審査員のコメントをご紹介していきます。
最優秀賞
作者:樋口義幸さん
作品名:ペンギ・バースとマンタ・ループ
概要:メタバース空間上の動きのあるNFTアートを実空間に触れるオブジェクトとして立体彫刻化を目指した作品。回転する台座に乗せることで、スマホアプリで撮影してアニメーションとして鑑賞することができます。
優秀賞①
作者:小林武人さん
作品名:WOOOZ、水龍の目覚め
概要:3Dプリンターならではの幾何学的な造形、フルカラーの3Dプリンターならではの色彩のデータを作成いただいた作品。小林さんからは2作品の応募をいただきましたが、どちらも透明の素材の魅力を存分に引き出した作品ということで合わせて優秀賞の受賞となりました。
優秀賞②
作者:渡邉陽太郎さん
作品名:「晴れの日、 雨の日」 ドリンクカップ
概要:グラスの厚みにさまざまな景色が配置され、正面と奥の景色を重ねて鑑賞することもできる作品。そのアイデアの素晴らしさや商品化のイメージもしやすく優秀賞の受賞となりました。
DMM賞
作者:すずめ模型さん
作品名:世界最小のモノレール模型
概要:兵庫県姫路市で運行されていたモノレールをZスケール(1/220)で再現した作品。クリアインクで車両の内部を充填することで、通常では造形が難しい内部の内装や窓ガラスなどを表現可能になり、また一体で造形することで嵌合の調整や組み立てなどの後加工も不要になりました。
ミマキ賞
作者:長村英俊さん
作品名:x, y, t
概要:通常2次元で表現されるセルオートマトンという計算モデルの時間軸をZ軸に見立てて立体的に表現した作品。クリアインクで封入することで、ミマキの3Dプリンターの精細さのポテンシャルを発揮した作品になりました。
その他応募作品
作者:岡田宏行さん
作品名:▲投影自由曲面レンズ
概要:光を通すと三角形のパターンを壁面に投影できるレンズです。光学的な計算で透過性や面造形の精度を検証しました。
作者:大森玲さん
作品名:踊り子と兵隊
概要:童話作品のシーンでお城の上の透明なドームの中でバレリーナが踊る様子を3Dプリンターで再現しました。お城の中にLEDライトを入れると透明樹脂に照らされてきれいにライトアップされます。
作者:麦茶さん
作品名:逆ケンタウロス透明骨格標本~座
概要:半獣半人の一般的なケンタウロスの残された部分を組み合わせた逆ケンタウロス。その骨格が分かる標本を透明インクで作成しました。
作者:箕輪大輝さん
作品名:虫撮り装置
概要:蝶やトンボなどを観察する際に羽を痛めないように観察するための虫撮り装置です。羽がばたつかないけど窮屈ではないちょうどよいサイズを3Dプリンターならカスタマイズできます。
作者:杉山裕孝さん
作品名:「KIRIKO GLASS」
概要:切子グラスでは表現できないような3Dプリンターならではの形状の新しい切子グラスを透明インクで表現しました。
作者:橋川はづきさん
作品名:Clear iPhone Case
概要:3角形の形状パターンがケースの中心から外側にかけて小さく変化していく、雪の結晶のような幾何学模様を表現しました。
作者:寺尾健太さん
作品名:ガムボールハウス
概要:VR空間用に作成したお店の3Dモデルを、ガムボールマシンをイメージしたオブジェクトの中に設置しました。
各審査員からのコメント
・合同会社DMM.com(DMM.make 3Dプリント)
自分の想像力を搔き立てるような作品がたくさんあり、私自身、学びが非常にあって成長を感じられるようなコンテストでした。事業としても新しいヒントをたくさん得られましたので、是非今後のDMMとミマキさんに注目いただければと思います。
・株式会社ミマキエンジニアリング
ピュアクリアインクを新しく出しましたが、インクを出しただけでは何も売り物にはならないため、とても有意義なコンテストだったと思います。我々だけでは、みなさんのようなアイデアはなかなか出ないですし、これが実際にモノになって世の中にでていけば、コンテストを企画した意味があると思っております。
・有限会社プンクト 金子 将久様
3Dプリンティングするためには、まず最初に3Dデータを作るという大きなハードルがあり、なおかつフルカラーの場合は,、色やクリアの部分の設定なども必要になるため、簡単にものを作れるわけではないと思います。ただ、みなさんのように新しいアイデアやチャレンジ精神を持っている方々が、どんどん挑戦してもらうことで、ものづくりの世界を少しずつ広げていってくれたら嬉しいです。
・合同会社吉本アートファクトリー 吉本 大輝様
私だけでは思いつかないアイデアをみなさんお持ちで、フルカラー3Dプリンタの可能性を感じました。通常のプリンタに比べたらまだまだ認知度は低いですが、できることの幅はすごく広がると思うので、今後間違いなくフルカラー3Dプリンタがプリンタの中でも覇権をとっていく
のではないかと期待しております。今後も是非楽しんで、作品作りに励んでください。
運営事務局より
DMM.make × Mimaki Clear 3D Print Contestへのたくさんのご応募ありがとうございました。透明というテーマで、素材自体が単純に透明であるという以上にさまざまな価値があることを気付かされました。特に通常の造形では壊れてしまいそうな精細な造形物の造形を、透明樹脂で埋め込んだり補強したりなどの用途は3Dプリントならではの新しい手法としての広まりを感じました。
コンテストの結果を元に、DMM.makeの3Dプリントサービス運営に活かせるよう検討してまいりますので、今後ともミマキエンジニアリング様の3Dプリンター、およびDMM.makeの3Dプリントサービスをよろしくお願いいたします。