本記事では、製造業で使われることが多い「シボ加工」の意味について解説します。
3Dプリンターの活用でリードタイムの短縮や開発コストを抑えた上でシボ加工の実現が可能です。
設計開発の場面で役立つ技術となりますので、ぜひ参考にしてください。
シボ加工とは?
「シボ加工」とは、製造業や加工業において、樹脂や金属製品の表面に模様をつける加工法のひとつです。
薬品を使って金属面を溶解する化学腐食(ケミカルエッチング)を用いた加工法で、梨子地や木目、サンドブラストと呼ばれる細かな模様を付けられます。英語では、Texturing、Graining、Engravingと表現され、製品にシボ加工を施すことで、次のメリットがあります。
【シボ加工のメリット】
- 製品本体に高級感を与えられる
- 模様を付けることで汚れや傷が目立たなくなる
- 表面の凹凸で摩擦抵抗が生じ、製品の落下防止や持ちやすさに寄与する
- 塗装の必要がなくなり、塗装にかかる時間や有機溶剤の使用量を減らせる
身近な製品例を挙げると、ハンドルや内装などの自動車部品、家電製品の筐体、天井・床・壁面などの住宅設備など、様々な製品にシボ加工が施されています。
シボ加工の種類
シボ加工による模様には、主に次のような種類があります。
- シボ加工の種類
- 皮シボ
- 幾何学模様
- 梨子地
- サンドブラスト
- 木目
- 岩目
- 砂目
本来の意味の「シボ」は、皮革製品の表面のシワ模様のことを指します。
革にシワを付けることを「シボ(皺)を付ける=シボ付け」と呼び、そこから由来して製造業や加工業で「シボ加工」という言葉が使われるようになりました。
本来の意味では皮が代表的ですが、次の項目では樹脂製品や金属製品を作る際に欠かせない「金型」へのシボ加工について解説していきます。
シボ加工のやり方|シボ加工は3Dプリンターでもできる?
一般的なシボ加工の手順は、次の通りです。
【一般的なシボ加工の手順】
- 金型のシボ加工をしない部分にマスキングを施す
- 金型に合わせて作成したフィルムなどでシボのパターンを転写する
- 薬品浴槽に金型を浸けてエッチングを行う
- 薬品に浸したことで発生したサビ(酸化残留物)の除去やツヤ処理を行う
- マスキングの除去や金型の洗浄などを行い、仕上げを行う
シボ加工は硝酸系の薬品浴槽に金型を浸けて、表面を腐食させる工程を行います。
あらかじめ金型にマスキング(保護膜)を施すことで、腐食させる箇所と腐食させない箇所の高低差で凹凸を生み出します。マスキングを除去した後で、全体に再度エッチングを行うことで、シボの角が取れパターンに丸みを出すことも可能です。
上記の2〜4の工程を複数回行うことで、さらに細かな模様の「複合シボ」を付けることもできます。
なお、プラスチック製品にシボ加工を行う際は、金型に施されたシボ加工が転写される形なので、凹凸の向きが反対になる点には気をつけましょう。
これら以外にも、金型表面に砂などの研磨剤を吹き付けるサンドブラスト加工法や、レーザーを照射してシボ加工を行う方法もあります。
シボ加工を3Dプリンターで再現する方法
3Dプリンターの出力物は、基本的に表面がツルツルで凹凸も少なく、細かな模様の再現が難しいことからシボ加工には不向きです。
一方、3Dモデルの作成時にテクスチャーを使って模様を表現することで、3Dプリンターを使って擬似的なシボ加工を表現できます。
また、3Dプリンターで製品を出力した後、シボ加工風の塗装処理を行うことでも再現が可能です。
DMM.makeの事例
急拡大しているタクシーサービスにて、車内の表示灯にDMM.makeの3Dプリントサービスを活用いただきました。
使用素材は「PA12 | MJF」。MJFは粉末を積層したザラザラとした見た目・感触なので、シボ加工をせずとも車空間になじむデザインとなりました。
塗装処理等の必要がないため、お気軽に疑似的なシボ加工を施すことができます!
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タクシーの表示灯を40点造形、追加注文も楽に。「3Dプリントは最もコストパフォーマンスが良い製法」GO株式会社
シボ加工ならDMM
シボ加工とは、プラスチック製品や金属製品の表面に細かな模様をつける加工法のことです。
表面に凹凸処理を施すことで製品の落下防止に加え、表面の汚れや傷を目立たなくし、製品自体に高級感を与えることができます。
基本的に、シボ加工のパターンを転写した金型を薬品浴槽に浸けて表面を腐食させることで凹凸を生み出します。一方、砂などの研磨剤を吹き付けるサンドブラストやレーザー照射のほか、3Dプリンター製品でもシボ加工を表現することは可能です。
DMM.makeでは3Dプリントの出力代行サービスを行っています。
シボ加工を施した製品開発を検討中の方は、ぜひDMM.makeまでご相談ください。