3Dプリンターでものを作りたいけれど、どれを買えば良いかわかからない。そもそも機材の値段が高すぎて、とてもじゃないけど手が届かない…!
そのような悩みをお持ちの方に、知ってほしいことがあります。
実は、3Dプリンターを使う方法は、機材を購入するだけではありません。データを送り、3Dプリントしてもらう「造形サービス」を利用することで、機材を購入するよりも低コストで必要なものが手に入るかもしれません。
機材を購入するべきか、造形サービスを利用すべきか。あなたがどちらの手段を選ぶべきか、一緒に考えてみましょう!
3Dプリンターを使う方法は、機材購入と造形サービス利用の2種類!
3Dプリンターでものを作る方法は、自分で機材を購入するか、造形サービスを利用するかの2つに分けられます(ものづくり施設の会員になって使う方法もありますが、今回は割愛します)。
自分でハードに使い倒すなら機材購入
ひとつめは、3Dプリンターを購入して、自宅や職場で利用する方法。機材を検討し、購入して、セットアップして、メンテナンスして…と手間はかかりますが、一度準備が整えば、後はいつでも自由に使えるのが最大の魅力です。
ファブレスで気軽に使える造形サービス
もうひとつが、造形サービスを利用する方法。あなたの代わりに、3Dプリンターを保有している企業が印刷を代行し、完成したものをお届けするサービスです。3Dプリントしたいデータさえ準備できれば、自分では機材を購入せずとも、欲しいものが手に入ります。
機材購入と造形サービス比較表
機材購入にも造形サービスにも、それぞれメリットとデメリットがあります。
それぞれの情報について、表にまとめてみました。
機材購入 | 造形サービス | |
---|---|---|
環境整備 | 必要。設置場所を自分で整える必要アリ。 | 不要。パソコン1台からでも利用可能。 |
導入コスト | 数万円〜数千万円まで。 | サービスの登録自体は無料。 |
製造コスト | 使用する素材の量に依存する。 | 使用する素材の量とサイズに依存する。 |
管理コスト | 機材の管理(メンテナンスや消耗品の調達)は、自分で行う必要がある。 | 機材の管理は業者が行うため、利用者側の負担はない。 |
物が手に入るまでの時間 | 短い。造形後すぐに手に入る。 | 数日〜数週間程度。業者の製造・発送タイミングに左右される。 |
後工程 | 洗浄やサポートの除去などを自分で行う必要がある。 | ある程度業者で行ってくれるため、利用者の負担は少ない。 |
導入や管理のコストを踏まえ、それでもいつでも使える自由度や、物がすぐ手に入るスピード感を求めるのであれば機材購入を。そうでなければ、大掛かりな準備が必要なく、手軽に使える造形サービスの利用をお勧めします!
3Dプリンターの購入方法と価格目安
このセクションでは、3Dプリンターを購入しようと思っている方へ、価格やメリット・デメリットについて詳しくお伝えします。
家庭でも使える3Dプリンター(数万円〜)
3Dプリンターは安価なものであれば、数万円から購入できます。まずは、家庭でも利用できそうな2機種をご紹介。販売代理店のサイトや、Amazonなどの通販サイトで気軽に購入できますよ。
FLASHFORGE Adventurer3
自宅でも使いやすい、材料押出方式の3Dプリンター。なかでもはじめて3Dプリンターを購入する方におすすめしたいのがAdventurer3です。Adventurer3は低価格(5万円程度)ながらヒートベッド、Wi-Fi接続、モニタリング用カメラなど機能も多く、タッチパネル搭載で簡単に操作できます。
SK本舗 Sonic Mini 4K
10万円以下で購入できる光造形方式の3Dプリンターでは、Sonic Mini 4Kがオススメ。通常、光造形の3Dプリンターの造形物は、後処理としてアルコールやエタノール等の有機溶剤による洗浄を必要としますが、Sonic Mini4Kに対応した水で簡単に洗浄することができる水洗いレジンを販売している代理店もあります。
業務用の3Dプリンター(数十万円〜)
Formlabs Form3
Form3+はFormlabsが販売する3Dプリンターで、デザインスタジオや大学などに広く導入されている機材です。独自技術による精度の高さや、レジンの自動加熱や温度や粘度の管理、自動補充など、低価格帯の光造形3Dプリンターには無い機能が備わっています。
材料の種類も豊富で、耐熱や耐薬品の素材、ジュエリー用のロストワックスの素材などの取り扱いがあります。オプションにはなりますが、造形物の後処理のために洗浄機や二次硬化をする機材も販売されています。
Stratasys J850
クリアアクリルや、ゴムのような特性を持つ素材も扱える、Staratasys社のJ850。プラスチック製の食品保存容器のフタのような、柔軟性や透明性が求められるアイテムにも有用です。さまざまなパーツや、デザインアイテムの制作に使えるでしょう。
EOS GmbH EOSINT P760
ナイロン粉末を焼き固めていく、 EOS GmbH社のEOSINT P760。ガジェットやインテリア、デザインアイテムなどの利用に向いています。
3Dプリンターの値段について詳しくはこちらの記事でも解説しています。
機材購入のメリットとデメリット
機材を購入するメリットは、なんと言っても3Dプリンターをいつでも自由に使えるようになること。思いついたアイデアをすぐ形にし、その結果を見てまた直していく。そのような試作開発を繰り返したり、コンスタントに製造を続けるのであれば、手元に機材があると大変心強いでしょう。
デメリットは、導入と管理にコストがかかること。特に業務レベルの3Dプリンターはサイズも大きく、それに比例して価格も高価な物が多いです。トラブルが起きた際も、自分の手や業者を呼んで修理・対応する必要があるため、そうした管理コストも念頭に入れておきましょう。
このような人は機材を購入すべき!
試作をどんどん回して新商品の開発をしたりする場面では、3Dプリンターを購入するのがお勧めです。ただし、資金や設置場所にある程度の余裕や、メンテナンスにコストがかかることには要注意。「高い金額を払って買ったは良いけれど、あまり使わず埃をかぶってしまった…」なんてことにならぬよう、運用イメージもしっかり考えておきましょう!
3Dプリント造形サービスとは?
機材を購入しなくても、3Dプリント造形物は手に入る
3Dプリント造形サービスとは、あなたの代わりに、3Dプリンターを保有している企業が印刷を代行し、完成したものだけを届けるサービスです。利用者は3Dデータを入稿し、サイズや素材から見積もられた所定の金額を支払うことで、3Dプリンターを持たずとも、必要な造形物を手に入れることができます。
造形サービスのメリットとデメリット
造形サービスのメリットは、機材を購入しなくても3Dプリントした物品が手に入ること。機材のメンテナンスや消耗品の調達も業者が行うので、必要な時に必要なだけ利用すればOK。手間やコストを抑えながら、ものづくりのパートナーとして利用できるのです。
デメリットとして、あくまでサービスとして提供されているものなので、すべての要望に応えられるとは限りません。利用できる機材や素材、発送にかかる時間などは業者によって決められていますし、たとえば「すぐ明日に欲しい!」といったシチュエーションには応えられないかもしれません。
このような人は造形サービスを利用すべき!
機材を購入するほどのコストはかけられないが、3Dプリンターを使ってものを作りたい。あるいは、一度試しに使ってみたい、そのような方には造形サービスの利用がおすすめです。
3Dプリント造形サービスの使い方
ここからは、実際に造形サービスを利用しながら、実際の費用感を見ていきたいと思います!
3Dデータを用意する
造形サービスの利用には、3Dデータが必要です。
3Dデータの詳しい作り方は、こちらの記事を参考にしてください!
今回はブラウザでも使える初心者向けのCAD、TinkerCAD というソフトを使い、2つのサンプルを用意してみました。
3cm立法の小さなジョイント
ツバまでの長さが30cmほどのヘルメットの模型
それぞれで比較してみましょう。
今回利用する造形サービスは、DMM.make 3Dプリントサービス。素材の種類が豊富で、便利な自動見積もり機能もある、国内最大級の3Dプリントサービスです。
詳しい使い方は、こちらの記事を参照してください。
費用を見積もる
会員登録をして、3Dモデルをアップロードすると、素材に応じた見積もりの結果が表示されます。今回は、それぞれのデータについて「エコノミーレジン(Resin A1)」「PA12 ナチュラル(MJF)」「ABSライク(ホワイト)」という3つの素材で見積もってみました。
ジョイント
素材 | 価格 | 発送目安 |
---|---|---|
エコノミーレジン(Resin A1) | 972 円 | 10日〜14日 |
PA12 ナチュラル(MJF) | 2,007 円 | 8日〜10日 |
ABSライク(ホワイト) | 4,945 円 | 8日〜10円 |
ヘルメット模型
素材 | 価格 | 発送目安 |
---|---|---|
エコノミーレジン(Resin A1) | 32,694 円 | 10日〜14日 |
PA12 ナチュラル(MJF) | 127,718 円 | 8日〜10日 |
ABSライク(ホワイト) | 543,781 円 | 8日〜10円 |
…といった結果になりました。
基本的には、大きさと素材の組み合わせで価格が変わります。
小さなジグは1,000円程度から作れるようで、プリンターを購入するよりも安く手に入りそうですね。大きなヘルメット模型は数万円〜数十万円といった見積もりですが、このサイズを出力できるプリンターはなかなか手に入らないし… など、さまざまな面で比較しながら、自分にとってお得な使い方を見極めていきましょう!
比較検討する
ちなみに、ジョイントを12個まとめたファイルで見積もると、エコノミーレジン(Resin A1)での見積もりが 7,412円=1個当たり600円程度となりました。複数まとめて依頼すると1個当たりの単価が落ちる、なんてこともあるようですね。
DMM.make 3Dプリントサービスでは、実際に発注するまで費用は一切かかりません。さまざまな3Dデータや素材を比べ、価格や発送目安を見比べながら、自分のニーズに合った使い方をしていきましょう!
まとめ
今回の記事では、3Dプリンターを購入すべきか、造形サービスを利用すべきかについてまとめました。
3Dプリンターの購入はいつでも使える、待ち時間が少ないなどのメリットもありますが、機材導入やメンテナンスのコストもかかります。ピンポイントで発注可能な造形サービスも取り入れて、うまく活用してみてください!