DMM.make 3Dプリントで扱える素材を紹介する本シリーズ。今回のテーマは「ULTEM9085|FDM」です。造形サンプルを見ながら、「ULTEM9085|FDM」の特徴やオススメ用途などを解説していきます。ストラタシス・ジャパン社のプロダクト&サービス部 プレセールスアプリケーションエンジニアより一言解説もいただいております。
「ULTEM9085|FDM」基本スペック
「ULTEM9085」とはスーパーエンジニアリングプラスチック(スーパーエンプラ)でストラタシス社の3Dプリンター「F900」でFDM方式にて出力されることにより、優れた特徴をもち、幅広い用途でお使いいただける素材です。
優れた耐熱性と耐薬品性、最高レベルの曲げ強度などを誇り、飛行機、バス、 電車、ボートなどの民生輸送用途にも適しています。
得意なジャンル | 自動車、航空宇宙、機能試作、プロトタイプ、治具、最終部品 |
特徴 | 難燃性、耐熱性、強度対重量比、耐衝撃性、有毒性(FST:炎、 煙、 毒性)要件 |
カラー | ナチュラル、ブラック |
価格帯目安 | お問合せください |
質感 | ざらざら |
中空構造 | 基本指定不可(※内部充填率の希望がある場合はお問い合わせください。) |
造形可能な最大サイズ | 縦914×横607×奥行914(mm) |
発送目安 | 6〜16日 |
「ULTEM9085」は「ウルテム キュー・マル・ハチ・ゴー」と呼ばれることが多いですね。
形状先端は最小幅で形状先端は最小幅で0.254mm程度まで再現可能です。
(※肉厚は1mm以上を推奨します。)
その他の細かな条件はデザインガイドラインを参照してください。
ナチュラルのカラーは「琥珀色」に近い色味です。ブラックを選べるのも魅力です。
ULTEM(ウルテム)の特徴
ULTEM(ウルテム)とは非晶性スーパーエンジニアリングプラスティックであるポリエーテルイミド(PEI)の樹脂素材です。
米国のゼネラル・エレクトリック(GE)社が開発し、現在はSABIC社が生産している製品です。
DMM.makeでは現在こちらの「ULTEM9085|FDM」と「ULTEM1010|FDM」の取扱いがあります。
耐薬品性
ULTEMは非晶性樹脂としては優れた耐薬品性をもっています。
油圧プレスの板金加工ツールとしてもご利用いただいたこともありますね。
難燃性・耐熱性
特に「ULTEM9085|FDM」は難燃性に関する認証を多く受けており、難燃性グレードはV0、耐熱温度は173度を誇ります。
FST基準
FAA(アメリカ連邦高級局)認証のFST基準【Flame(難燃)、Smoke(発煙)、Toxicity(毒性)】を満たしています。
EN 45545-2認証
欧州の鉄道車両向け火災安全性規格のEN 45545-2認証を受けています。
参考:一般社団法人電線総合技術センター【JECTEC】「EN 45545-2 Annex C Method 2毒性試験」
UL Blue Card登録
また、UL Blue Cardにも登録されている素材です。
素材のULTEM自体は3Dプリンターのフィラメント以外でも使用されますが、これらはストラタシスの3Dプリンターで出力するからこそ実現している特徴です。
参考:UL Solutions Japan「3Dプリンタ用樹脂材料の難燃性評価(ブルーカードプログラム)」
利用事例・オススメ用途
- 鉄道の送風ダクト
- 戦闘機(ブラケット、ダクト)
- 航空機内装最終部品
- その他、幅広い用途での治工具
交通・輸送機の製造シーンなどで人気
「ULTEM9085|FDM」は「民生輸送機」すなわち「乗り物」におけるものづくりのシーンにて人気が高いです。
生産台数が多くないバスやトラックのパーツ製造であれば、まさに3Dプリンターの使いどころです。
「特殊なシーンで難燃性に優れた素材が必要」「1パーツだけ作ってみたい」といったご希望がありましたら、DMM.make にて「ULTEM9085|FDM」をご活用ください!