「高精細プラスチック|MJT」と「高精細アクリル|MJT」を徹底比較

今回は、DMM.makeのなかでも、特に造形精度が高い既存素材「高精細アクリル」と新たに導入した高精度な新素材「高精細プラスチック」を徹底比較する記事となっております!

比較テストの概要

背景

DMM.make 3Dプリントで高精度な素材といえば、「高精細アクリル|MJT」一択ではありましたが、「高精細プラスチック|MJT」をリリースしたため、高精度な素材の選択肢が増えました!

そこで、弊社のお客様で最も細かいモデルをご作成されている武蔵模型工房様に、新素材と既存素材を比較していただきました。

武蔵模型工房様はDMM.make3Dプリントサービスを活用されているお客様で
 鉄道模型やパーツを作り、クリエイターズマーケットに出品されています。

 

比較テストにご協力くださりありがとうございます!

 

概要

今回比較していただいたのは、既存素材の「高精細アクリル|MJT」と、新素材の「高精細プラスチック|MJT」になります。各素材で実際に造形したものを、率直にレビューしていただきました。

比較ポイント

  • 再現性
  • 強度
  • 表面の滑らかさ

 

新素材:高精細プラスチック|MJTとは

高精細プラスチック|MJTは、滑らかな表面仕上げを特長としており、塗装に適した素材で、細かな鉄道模型用途に最適です。32μmの積層ピッチで造形し、高精度でシャープなエッジを再現可能です。
機械特性においては、強度と剛性が高いプラスチックで、ドリル加工、タップ加工、機械加工ができ、最終製品の部品としても利用が推奨されています。

 

DMM.makeでは高精度素材=高精細アクリルでしたが、価格を抑えた期待の新素材です!

 

既存素材:高精細アクリル|MJTとは

表面が滑らかで、繊細な3Dプリントができる半透明のアクリル樹脂です。積層ピッチが29μmであり、表面の積層段差が目立ちにくく、複雑な細かい形状や曲面もきれいに再現することができます。

 

武蔵模型工房様をはじめ、鉄道模型のパーツをご注文される方の多くの方にご注文頂いております。早速、どのように高精細アクリルと新素材が違うのかレビューしてみましょう!

 

物性表の比較

物性表を高精細アクリル|MJTと比較すると、高精細プラスチック|MJTの方が引張強度と剛性が高いプラスチックであるといえます。具体的には、後加工をすることに向いています

高精細プラスチック|MJTはその特性により、ドリル加工、タップ加工、機械加工ができ、最終製品の部品としても推奨されています。

素材名高精細プラスチック|MJT高精細アクリル|MJT
引張強度67MPa42.4MPa
引張弾性率3000MPa1463MPa
破断伸び率4%6.83%
曲げ強度100MPa49MPa
ノッチ付きアイゾット衝撃強度14J/m25 J/m
荷重たわみ温度 (0.45MPa)71℃56℃

 

 

高精細プラスチックは物性上、後加工に向いています!

 

 

【レビュー】新素材「高精細プラスチック|MJT」の良い点

①細部の再現性が高い

画像からも分かるように、小さな突起(リベット)の表現に優れています。
1mmにも満たない極小サイズにも関わらず、見事に再現!

また、武蔵模型工房様より「既存素材は裏がザラザラになり、細部も潰れてしまっているが、 新素材は裏面も表面と同水準の再現性がある」と、お褒めの言葉もいただきました!

※上:既存素材「高精細アクリル|MJT」
下:新素材「高精細プラスチック|MJT」

②表面が滑らか

新素材「高精細プラスチック|MJT」は、全体的にシャープに造形されており、表面が滑らかです。

特に、縦のラインが非常に綺麗に出ていますね!
積層痕による凹凸があまり見られず、横から見た状態でも綺麗なのが分かります。

※左:既存素材「高精細アクリル|MJT」
右:新素材「高精細プラスチック|MJT」

以下の造形物も、積層痕があまり残っておらず、表面が滑らかになっています。
※積層痕に関しては部品の形状に依存するためご注意ください。

※左:既存素材「高精細アクリル|MJT」
右:新素材「高精細プラスチック|MJT」

 

【レビュー】高精細アクリル|MJTの良い点

①細かい網目状の造形が得意

高精細アクリル|MJTは、メッシュなど細かい網目状の造形を得意としています!
塗装後も塗料でつぶれることなく、綺麗な状態を維持することが可能です。

※上:既存素材「高精細アクリル|MJT」
下:新素材「高精細プラスチック|MJT」

一方で、新素材「高精細プラスチック|MJT」も網目部分を綺麗に造形することができます。
どちらも精度は高いですが、より高精度を求めたい方は高精細アクリル|MJTがおすすめです!

※上:既存素材「高精細アクリル|MJT」
下:新素材「高精細プラスチック|MJT」

②耐衝撃性に優れている

「高精細アクリル|MJT」は、庇などの薄い部分も折れることなく綺麗に仕上がったとのことでした!
一方で、新素材「高精細プラスチック|MJT」の耐衝撃性に関しては、武蔵模型工房様より「0.3mm以下の肉薄箇所で衝撃強度が弱いが、他の箇所に関しては許容範囲かと思う」とコメントをいただいています。

また、画像内にて折れてしまっている庇部分は0.2mmとなっており、塗装中に欠けてしまったとのことです。造形中や納品中に折れてしまったわけではありませんので、ご承知おきください。

※DMM.make 3Dプリントではいずれの素材も0.3mm以上の肉厚での出力を推奨しております。それ以下での造形は破損了承での造形となりますのでご了承ください。

※左:既存素材「高精細アクリル|MJT」
右:新素材「高精細プラスチック|MJT」

各素材のレビューまとめ

以上、各素材のレビューをご紹介しました。いずれも高精度な素材となっており、おすすめの使い分けは以下の通りです!

「高精細プラスチック|MJT」:

シャープに造形したい箇所での利用や、表面が滑らかさを求める場合

「高精細アクリル|MJT」:

衝撃強度を重要視される場合や、模様などのディティールを再現したい場合

 

後加工が生じる際は、高精細プラスチックがおすすめです!ご自身の優先順位に合わせて素材を選んでいただければと思います!

 

 

武蔵模型工房様のおすすめ模型

 
3Dプリンターで鉄道模型を作る際、どのような点にこだわっていらっしゃいますか?

 

 
 
床下機器など、あまり注目されにくいような細かい部分にも、再現性や精度などのこだわりを持って作っています。

 

 
 
そんな武蔵模型工房様の、おすすめの模型などはありますか?

 

 
 
1つは京阪2600系用パーツです。床下機器に細かい配管や様々な機器がビッシリ詰まっているのが特徴的な車両です。

 

 
 
プラの金型成形では再現できない細い配管類は、3Dプリンターの強みを感じられるパーツで、既製品の鉄道模型を簡単にグレードアップする事ができます。

 

 

 

 

 

 
もう一つは琴電旧型電車キットになります。細部まで細かく再現された床下機器や台車と、車体を合わせたセットです。

 

 
 
古い電車は同形式でも1両ずつ形状が異なるため、各車両に合わせて細かい差異も再現しています。床下の細い配管類から車体等の板状パーツまで、歪みやサイズの狂いなく綺麗に造形できるので綺麗に組み立てる事ができます。

 

 

 
どちらも大変素晴らしいですね。武蔵模型工房様の熱量が伝わってくるクオリティだと感じました。

 

 
 
ありがとうございます。ただ、ここまで細かく、かつ綺麗な鉄道模型が作れるのはDMMさんあってのことだと思います。DMMさんに出会ったからこそ、ここまでこだわれるようになりました。

 

 

今後の展望について

 
今後の展望について伺ってもよろしいでしょうか?

 

 
 
3Dプリンター自体が物凄く進化しているので、今後も3Dプリンターには注目していきたいと考えています。金属3Dプリントに挑戦したいですね。

 

 
 
鉄道模型でも金属は使われるのでしょうか?

 

 
 
強度が必要な部分や、電流を流す必要のある部分に使われています。個人的には、金属でどれだけ細かく造形できるのか気になりますね。精度面も、今後検証していけたらと思います。

 

 
 
金属素材の中では「アルミニウム|SLM」がおすすめです。比較的精度も出やすいかと思います。

 

 
 
そうなんですね。ぜひ検討したいと思います。

 

 
 
ありがとうございます。今後も、武蔵模型工房様の活動をサポートしていけたらと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。

 

 
 
こちらこそ、よろしくお願いします。

 

 
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