DMM.make 3Dプリントで扱える素材を紹介する本シリーズ。今回のテーマは「ULTEM1010|FDM」です。造形サンプルを見ながら、「ULTEM1010|FDM」の特徴やオススメ用途などを解説していきます。ストラタシス・ジャパン社のプロダクト&サービス部 プレセールスアプリケーションエンジニアより一言解説もいただいております。
「ULTEM1010|FDM」基本スペック
ULTEM1010とはスーパーエンジニアリングプラスチック(スーパーエンプラ)でストラタシス社の3Dプリンター「F900」でFDM方式にて出力されることにより、優れた特徴をもち、特殊な用途にもお使いいただける素材です。高い耐熱性を持つとともに、FDM用材料の中で最も低い熱膨張係数を示し、最高レベルの強度をもちます。
得意なジャンル | 自動車、航空宇宙、機能試作、プロトタイプ、治具、最終製品 |
特徴 | 高機能、難燃性、耐熱性、耐衝撃性、生体適合 |
カラー | ナチュラル(単色) |
価格帯目安 | お問合せください |
質感 | ざらざら |
中空構造 | 基本指定不可(※内部充填率の希望がある場合はお問い合わせください。) |
造形可能な最大サイズ | 縦914×横607×奥行914(mm) |
発送目安 | 6〜16日 |
「ULTEM1010」は「ウルテム テン テン」と呼ばれることが多いです。
形状先端は最小幅で形状先端は最小幅で0.254mm程度まで再現可能です。
(※肉厚は1mm以上を推奨します。)
その他の細かな条件はデザインガイドラインを参照してください。
ULTEM(ウルテム)の特徴
ULTEM(ウルテム)とは非晶性スーパーエンジニアリングプラスティックであるポリエーテルイミド(PEI)の樹脂素材です。
DMM.makeでは現在こちらの「ULTEM1010|FDM」と「ULTEM9085|FDM」の取扱いがあります。
耐熱性・難燃性・耐候性
耐熱性があり、「ULTEM1010」は212度まで耐えられ、熱膨張係数は47μm/(m・℃)。難燃性グレードはV0クラス認証を取得済みです。
ULTEM1010 の認証
「ULTEM1010」では、生体適合性規格など以下の認証を取得しています。
- 生体適合性(米国認証)ISO 10993
- 医療機器(米国認証)USP Class VI
- 食品接触(米国認証) NSF 51
航空宇宙、自動車、医療、食品関係など要求水準が高いシーンでも活用いただける素材です。
【2023年10月最新情報】「ULTEM1010|FDM」は日本の食品業界でより安全な使用が可能な素材に!
2023年10月、ストラタシス・ジャパン社は日本食品衛生協会「合成樹脂一般規格試験」で適合判定を取得を発表しました。
ULTEM 1010 resinは、飲食による健康被害の発生を防止するための法律「食品衛生法」に基づいた日本食品衛生協会の「器具及び容器包装の規格試験」(*2)の「合成樹脂一般規格試験」にて適合と判定(*3)されましたので、ここにお知らせいたします。
※2 食品衛生法での器具・容器包装またはこれらの原材料の材質別規格
※3 取得番号:第AA23-13-03336号、取得日:2023年9月13日引用:株式会社ストラタシス・ジャパンのプレスリリース「FDM方式3Dプリンタ材料「ULTEM1010」、食品業界でより安全な使用が可能に」
これにより日本国内の食品業界における容器や食品が直接当たる押し型、食品と直接接触する生産ライン上の生産治具などにも「ULTEM1010」活用シーンが広がることが期待されます!
DMMの3Dプリントサービスにて使用したい素材の証明書等のお問合せはこちらまでご相談ください。
利用事例・オススメ用途
こちらの動画はBoom社の超音速機VBVダクトの機能試作で活用された事例を紹介しています。
この他にも、ストラタシス社では以下のような業界・用途で利用された実績があります。
- 航空宇宙:オイルに接する箇所のダクト
- 自動車:商用車・航空機・特殊機械塗装車のボンネットのマスキング治具として
- 医療:サージカルガイド(手術時のガイド)
- 食品:ベーキングシート
金属を使うと重くなってしまうようなパーツの軽量化に、特殊塗料や高熱、人体に触れるような箇所での利用ニーズが高いです。
医療や食品、特殊シーンで活用を
ここまでお伝えしてきたように特殊用途に対応できる「ULTEM1010|FDM」。
繰り返し利用しても劣化しない強度をもつため、コンポジットツーリング(治工具や製造補助パーツ)などにも活用いただけます。
ツーリング、最終製品にも十分活用いただける強度や性能をぜひ3Dプリントで。
「医療や食品関係など特殊なシーンで難燃性に優れた素材が必要」「1パーツだけ作ってみたい」といったご希望がありましたら、DMM.make にて「ULTEM1010|FDM」をご活用ください!