初めてでも分かる3DCAD!無料・業務用おすすめソフト、資格、勉強方法、3Dプリント挑戦までの道

DMM3Dプリントが教える3DCAD

「3Dプリントに挑戦したい!」「でもデータを作れない」、そんな方のために3DCADの入門ガイドをお届けします。
無料や業務でも使えるおすすめソフトの他、初級者~中級者までの勉強方法や資格について、3Dプリント挑戦までのステップもわかりやすくお伝えします。

3DCADの基本的なモデリングと専門用語

3DCAD(Computer-Aided Design)とは、コンピュータを利用して三次元の設計や図面を作成するためのソフトウェアのことを指します。従来の手書きの設計図と比べて、変更や修正が容易で、より正確なデザインが可能です。

まずは動画で3DCADをつかった3Dモデリングのイメージを掴みましょう。

3DCADの基本用語

次に3DCAD(3Dモデリング)に関する基本的な用語を確認していきます。

サーフェス

3DCADの基本用語「サーフェス」空洞の箱型
サーフェスとは、「面」を作成するための手法です。中身は空洞で、体積は持ちません。そのため、体積や質量の計算や干渉のチェックは出来ません。

ソリッド

3DCADの基本用語「ソリッド」立方体
ソリッドとは、体積を持ったモデリング方法です。中身が存在しているので、体積や質量の計算などが可能です。
3DプリンタでCADデータを出力するのであれば「ソリッド」である必要があります。

ポリゴン

3DCADの基本用語「ポリゴン」
ポリゴンは、三角形、四角形、五角形などの形で示されます。立体の形状は、頂点、辺、面の集合として、多面体として複数の平面に囲まれて空間に配置されます。ポリゴンメッシュの数が多ければ多いほど、より詳細で滑らかな描写ができ、曲線や曲面も擬似的に再現できます。

2DCADとの役割の違いについて

設計の世界では「3DCAD」だけでなく「2D CAD」も広く利用されています。これら二つの間にはどのような違いがあるのでしょうか? その違いをわかりやすく解説します。

2DCAD

2D CADとは名前の通り2次元の設計ツールです。このツールは「三角法」というルールを使って、正面図、平面図、側面図を中心に構築します。簡単に言うと、物体の前、上、横からの見た目を紙の上に再現するようなものです。

  • 特徴:手書きの図面作業と同様に、2次元の平面上での作業となりますが、コンピュータを用いることで効率的かつ正確な作図が可能です。
  • 利点: 簡単な図面であれば直感的に理解することができますが、複雑な図面の場合は経験が必要になることもあります。
  • 試作のプロセス:試作品を作る際、図面を正確に解釈し、適切な加工方法を検討した後、加工データを作成する必要があります。その後で実際の試作品の製作に入ります。

3DCAD

一方、3DCADは物体の立体的なモデルを直接作成するツールです。実際の物体のように、任意の角度からその形状を見ることができます。3DCADの強みは、実際の製品と同じように部品や形状の干渉チェックができる点や、そのデータを3Dプリンターに送って直接試作品を作ることができる点にあります。

  • 特徴:3DCADは立体モデルの作成を目的としており、それにより任意の視点からの確認が瞬時に可能です。これにより、複雑な形状や構造も容易に認識できます。
  • 利点::3Dモデルデータを持っていれば、専門的な知識がない人でも物体の形状や構造を容易に理解できます。
  • 試作のプロセス: 3DCADデータは、3Dプリンターや造型機などを使用して直接試作品を作ることができ、これにより迅速な試作が実現します。3DCADは、体積、表面積、質量、重心などの幾何情報を瞬時に計算できます。さらに、部品間の干渉チェックも可能で、設計のスピードを大幅に向上させることができます。

3DCGとの役割の違いについて

また同じく3Dモデリングができるものとして、3DCGも存在します。では3DCADと3DCGはどのように異なるのでしょうか? その違いと各々の役割を簡単にご紹介します。

  • 3DCAD:主に製品の設計や建築設計に使用されます。実寸大や正確な寸法を持った3Dモデルを作成するのに適しています。
  • 3D CG:映画やゲーム、広告などの映像制作で使用されます。リアルな視覚効果や動きを持った3Dモデルを作成するのに適しています。
3DCAD3D CG
特徴・実際の製造や建築を目的とした正確なモデル作成
・寸法を入力し、設計する
・視覚的な表現とエンターテイメントを目的としたモデル作成
・直感的な操作で、リアルな形状をつくる
役割・実物の寸法、材質、機能性に 基づく作業のシミュレーション
・実際の製品の動作や組み立てを 予測する
・視覚的なリアルさや表現を追求
・映画やゲーム、広告などの映像やアニメーションを制作するためのモデルを作成する
主な活用シーン機械設計、建築、エンジニアリング映画、ゲーム、広告、エンターテインメント

【目的別】作りたいものに最適な3Dデータの5つの作り方と注意点

3DCADの需要や将来性

「これから3DCADを学びたい!」と考えている方が気になる3DCADの将来性について、近年の働き方・AIの動向も踏まえて説明します。

3DCADの将来性は高い

現在3DCADは幅広い業種で活用されています。近年、3DCADはARやVR技術との統合が進んでおり、仮想空間でのデザイン検討やシミュレーションが容易になっています。
また、クラウドを活用することで、リモートでの協業やリアルタイムのデータ共有が可能となり、設計作業の効率が向上しています。

3DCADのシェアが増えてきた背景

3DCADソフトの世界市場は、現在112億米ドルの価値があります。2023年から2028年の5年間で年間6.3%の伸びを見せると予想され、2028年には164億米ドルまで増加する見込みです。
その背景の一つとして製造業における3Dプリント技術の普及が挙げられます。
3Dプリンターを使用すると、製品の設計や変更を迅速にプロトタイプ化することができます。これにより製品の開発時間が短縮され、市場導入までの時間も大幅に削減される可能性があります。また、小規模のプロトタイプを初期段階でテストすることが容易になるため、大規模な生産を開始する前に潜在的な問題点を特定して修正することが可能となります。

他にもコストが削減できるなど、3Dプリンターの普及には多くのメリットがあります。

RP(ラピッドプロトタイピング)とは? 3Dプリントで新しい製品開発技術に迫る

参考:「3D CAD ソフトウェア市場規模、シェア、レポート 2023-2028」

AIに仕事を奪われる?

AIによる自動化や効率化が進むことで、一部のタスクはAIに置き換わる可能性があります。しかし、デザインや設計には独自のセンスや経験が必要であり、これらはAIには真似できない部分も多いです。したがって、単純作業や繰り返しタスクはAIに置き換わるかもしれませんが、高度な専門知識や創造力を要する仕事は、まだ人の手によって行われる見込みです。
また、「仕事を奪われる」というよりは、「仕事の質や内容が変わる」と捉え、新しい技術を積極的に取り入れてスキルアップしていくことが重要です。

参考:CAD Japan.com「3D CADの将来性 ~3D CADオペレーターの仕事はなくなる?~」

おすすめ3DCADソフトを紹介~入門者・初心者向け~

3D CADをあまり使ったことがない方向けに、初心者でも使いやすい、おすすめ3D CADソフトをご紹介します。
汎用性が高く、多くの方に愛されているソフトであるため業務用としても

初心者におすすめ!無料版もある3D CADソフト(フリーソフト)

初心者が趣味・DIYで使うのにおすすめの有名3DCADソフトを紹介します!

わからないことがあっても様々なナレッジが発信されているので勉強しても挫折しにくいですよ!

【Fusion360】

  • 特徴:クラウドベースの3D CADツール。複数人で手軽にデータを共有・アクセス可能。
  • 価格:学生・教員版・非商用利用は無料 ※¥47,905/年 or ¥8,800/月(30日間無料体験版有り)
  • 推奨スペック:Windows 8.1以降、macOS 10.14以降、メモリ8GB 以上

【SolidWorks】

  • 特徴:初めてでも馴染みやすいユーザビリティ。開発プロセスを効率化。
  • 価格:オンライントライアル 最大2時間無料 個人利用 99ドル/年 or 9.99ドル/月
  • 推奨スペック:Windows10以降、macOS 11.0以降、メモリ16 GB以上(PDM Contributor/ViewerまたはElectrical Schematic:8 GB以上)

【AutoCAD】

  • 特徴:多様なツールセットを自由に使える。AutoCAD 2020では、Webアプリも採用。外出先でも簡単に使える。
  • 価格:学生・教員版は無料 ¥71,500/年 or ¥8,800/月(30日間無料体験版有り)
  • 推奨スペック:Windows10以降、macOS 11.0以降、メモリ16GB以上

業務用おすすめ3DCADソフトを紹介

2022年の調査によると、職場で主に使用しているCADツールは第1位が「AutoCAD」(38.5%)、第2位が「SOLIDWORKS/3DEXPERIENCE SOLIDWORKS」(28.6%)、第3位が「Jw_cad」(9.9%)という結果になっています。
業務用の3DCADソフトは、上記の3つのような汎用性の高いソフトにくわえ、業界・業種に特化した3DCADを使う方もいらっしゃいます。

以下は実際に使われているソフトの一例です。

こちらの記事もぜひ参考にしてください▼

エンジニア・デザイナーのためのCADソフトウェア|『All3DP Pro』翻訳・転載記事

3DCADの活用シーン・事例~工業デザイン業でのケース~

釣具メーカーの3DCADを中心とした開発・試作プロセスの進化の事例をご紹介します。

「第一精工株式会社」(大阪府)3DCADを採用して開発・試作の効率化を図ることに成功しました。
日本の多様な釣りに合わせた1000アイテム以上の製品を提供し、年間で約30アイテムの新製品を開発しています。その開発の背景には、経営者の「考えながら作る」という考えが大切にされています。
以前は2DCADを使用していたところ3DCAD、そして3D切削試作機を導入しました。3DCADは正にデザインを考えながら即座に形にできるツールだったのです。これにより試作プロセスが大幅にスピードアップしました。

さらに、3DプリンターやCAD/CAMソフトを導入し、試作時間がさらに短縮され、より高精度な製品が開発されるようになりました。

また、部品の管理においても成長を遂げました。顧客からの部品のニーズに応えるため、部品展開図と部品表の作成を開始しました。この際3Dスキャナや3Dモデルのグラフィック化ツールも新たに導入しました。これらの一元管理により情報の伝達や管理が効率化されています。

3DCADに限らず、様々な3Dテクノロジーも併せて活用したことでビジネスの成功・成長につながったのですね。

出典:SOLID WORKS「第一精工株式会社「削りながら考え、図面修正を繰り返す」という開発・試作プロセスの効率化。設計情報を、試作業者、金型業者へ、もっと正確・確実に伝達したい。」

CAD・CAE・CAMの違いをシンプルに説明|『All3DP Pro』翻訳・転載記事

3DCADの学び方

これから3DCADを始めるという方の中には、少々ハードルを感じている方もいるのではないでしょうか?
3DCADのテキスト教材(書籍)やネット記事・解説動画など情報は豊富にあり、独学でも十分に操作できるようになれるでしょう。
しかし「独学では少し心もとないな…」という方へ向けて様々な学習方法をご紹介します。

3DCADスクールで学ぶ

3DCADを学ぶ方法の一つとして、セミナーやスクールに通うという方法があります。セミナーやスクールで学ぶメリットはたくさんあります。

  1. プロから直接学べる:セミナーやスクールでは、経験豊富なプロフェッショナルから直接指導を受けることができるため、質の高い学習が可能です。
  2. 実践経験:実際のプロジェクトや業務を想定した課題を解決する経験を積むことができるため、実践的なスキルを身につけることができます。
  3. 時間の効率:短時間で集中して学べるので、自習より早くスキルアップできる可能性があります。
スクールであれば、就職のサポートまでしてくれることも少なくありません。

オンラインセミナーで学ぶ

また、オンラインで3D CADを学ぶという方法もあります。オンラインならではのメリットをご紹介します。

  1. 場所の制限がない:どこにいても学ぶことができます。移動の必要がなく、自宅やカフェ、オフィスなど好きな場所で学習が可能です。
  2. 時間の柔軟性:生活スタイルや仕事の都合に合わせて、自分の都合の良い時間に学習ができます。
  3. お金の節約:交通費や宿泊費などのコストがかかりません。また、多くのオンラインコースは通学制のスクールに比べて安価であることが多いです。
YouTubeなど無料の動画でも学べる場所は様々ですね。

オンラインコミュニティで経験者たちから学ぶ

無料オンラインコミュニティ「みんなの3Dラボ」、はじめました!

DMM.makeでは3Dプリンターに欠かせない3Dモデリングについて気軽に学んだり楽しんだりできるオンラインコミュニティ「みんすり」をご用意しています。
無料オンラインチャットサービスDiscordを利用して3Dものづくり初心者から上級者までが交流しています。
質問をしやすい場づくりをおこなっているので、インターネット検索ではなかなか出てこないような情報も経験者から学びましょう。

業務でも活かせる3DCADの資格は?「3次元CAD利用技術者試験」を紹介

3次元CAD利用技術者試験」とは、3DCADの利用者が身につけておくべき知識や技術を持っていることを証明することができる資格認定試験です。
一般社団法人ソフトウェア協会を母体とする一般社団法人コンピュータ教育振興協会(ACSP)が運営しています。

2級・準1級・1級の3種類があり、受験対象者は以下の通りです。

対象者
1級機械系・製造系のモデリング・設計・製図などの業務に従事して半年以上の実務経験、または1年以上の就学経験を有する方
3DCADシステムが操作できるだけではなく、3次元設計の補助業務を担い、将来、設計者やオペレーターの管理業務を目指す方
準1級機械系・製造系のモデリング・設計・製図などの業務に従事することを目指す方、もしくは従事して間もない方
3DCADを学び、知識と操作の基礎的な部分を習得し、設計の補助業務やオペレーターを目指している方
2級機械系・製造系のモデリング・設計・製図などの業務に従事することを目指す方、3DCADシステムの周辺業務に従事している方
3DCAD関連製品の管理、営業等を担当されている方
2級の合格は、準1級・1級受験の必須要件です。

また、試験合格後の主な進路として、以下が挙げられます。

合格後のキャリア
1級自動車、機械メーカーの設計者もしくは設計補助
準1級自動車、機械メーカーの設計補助、オペレーター
2級3次元CADの営業、管理等の関連業務

多くのCAD資格が存在しますが、3次元CAD利用技術者試験は業界内での評価が特に高く、合格すると就職や転職の際の強みとなります。さらに、2級を合格した後には、準1級や1級へとレベルアップすることで、自動車や機械の設計者としてのキャリアが開かれるでしょう。

参考:CAD利用技術者試験Webサイト「試験概要」

3DCADができれば3Dプリントもできる!

作成したCADデータは3Dプリンターで出力が可能です。これにより、迅速な製造前に設計の問題点を確認したり、実際の製品の動作や見た目をシミュレーションのスピードをさらに加速できます。

3DCADは現代の設計や製造業界において欠かせない技術の一つとなっています。初めての方でも、適切なソフトの選択や学び方のアプローチで、効果的にスキルを身につけることができます。3DCADを使いこなして、イメージ通りのものづくりを実現しましょう!

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