3Dプリンターのサポート材とは?なぜ必要なの?仕組みや種類を解説

3Dプリンターのサポート材とは?なぜ必要なの?仕組みや種類を解説

サポート材とは

サポート材とは、3Dプリンティングで複雑な形状を作るときに一時的に支えとなる材料のことです。
サポート材によって、空中に浮いているような部分や、下から支えが必要な部分もきれいに作ることができます。
プリントが完了次第、このサポート材は取り除く必要があります。

なぜサポート材が必要なの?

3Dプリンターは、下から上に向かって層を積み重ねていく方法で物を作ります(熱溶解積層方式の場合)。しかし、すべての形状がこの方法で簡単に作られるわけではありません。たとえば、大きく飛び出した部分や、空中に浮いているようなデザインは、何かに支えられないとプリントできません。ここでサポート材が活躍します。

サポート材は、これらの難しい部分を一時的に支える役割を果たし、プリントが終わったら取り除くことで、思い描いたデザインを形にすることができます。

サポート材が特に必要な状況

  • オーバーハング:一般にプリントベッドから45度以上傾斜している部分は、サポート材がないと垂れ下がったり、品質が低下したりする可能性があります。T字型モデルだけでなく、Y字型モデルもこれに該当します。

  • ブリッジ(橋):二点間の空間を跨ぐように作られた部分を指します。サポートがないと、この部分が垂れてしまうことがあります。

  • ホール(穴):中が空洞のモデルや、内部に複雑な構造がある場合も同様です。こちらは、造形後にサポート材をくり抜きます。

サポート材を使うことで、より複雑で細かいデザインのプリントが可能になりますが、プリント後にはこれを取り除く必要があります。
取り除く方法は、材料やプリントの種類によって異なりますが、基本的には手で剥がしたり、水で溶かしたりして除去します。

サポート材を上手に活用することで、3Dプリンティングの可能性が広がります!

サポート材の種類

サポート材の選択は、3Dプリントを行う上で重要な要素です。特に複雑な形状や細部を持つモデルをプリントする際には、サポート材がモデルを適切に支え、高品質な仕上がりを実現します。サポート材には大きく分けて溶解可能なものと非溶解性のものがあり、それぞれに特徴と適用場面があります。

溶解可能なサポート材

溶解可能なサポート材は、特定の溶剤に溶かして除去できるため、モデルの細かな部分を傷つけることなくサポート材を取り除くことができます。このタイプは、内部が複雑な構造を持つモデルや、後処理を最小限に抑えたい場合に特に有効です。

  • PVA (ポリビニルアルコール):PVAは水に溶けるため、サポート材の除去には単に水に浸すだけで済みます。この手軽さは、細かな作業が苦手な方や、時間を節約したい方にとって大きな利点となります。特に、PLAフィラメントとの相性が良いです。
  • BVOH: BVOHも水溶性で、PVAよりも速く溶けるため、さらに迅速なサポート除去が可能です。細部の精度が求められるプロジェクトに適しています。

DMM.makeにおける、溶解可能な素材

AGILISTAで出力されたAR-M2という素材名の、靭性と剛性に優れた透明なアクリル素材です。
複雑な形状でも、水につけておくだけでサポート材を除去することが可能です。
また、吸水性が低いため、造形後に変形しにくい点もポイント。

ProJet 3500HD Maxで出力されたVisijet Crystalという素材です。
取り扱い素材の中で最も高精細な造形が可能なアクリル素材で、小さな模型など、細部の表現を必要とする用途に適しています。
こちらは、出力後の造形物をオーブンに入れるだけでサポート材が溶けるため、手動でサポート材を除去する手間を省くことができます。

DMM.makeでは、上記2つの素材をご選択いただいた場合、サポートを除去してお届けいたします!

非溶解性サポート材

非溶解性サポート材は物理的に取り除く必要がありますが、強度と安定性が求められる場合に適しています。取り除き方には少し技術が必要ですが、適切なツールを使用することで、効率的に作業を行うことができます。

  • 同じ材料のサポート: 一部のプロジェクトでは、モデルと同じ材料をサポートとして使用することがあります。この方法は材料の一貫性を保ちつつ、簡単な構造であれば容易にサポートを取り除くことができます。

サポート材を選ぶ際には、プリントするモデルの特性、使用するプリンターの種類、および後処理の過程を考慮することが重要です。正しいサポート材を選択することで、プリントを行う工程をスムーズに進め、最終的な成果物の品質を向上させることができます。

DMM.makeにおける、非溶解性の素材

NXE400で出力された3843-xABS-Blackという素材です。
ABS相当の強度を持つと同時に、超高速で造形することができます。
プロトタイプから量産まで、幅広い用途があるのも特徴です。

本素材は、サポート除去なしが通常処理となっております。サポート除去をご希望の場合は、ご注文時にオプションにてご選択ください。

Form3で出力されたGray Resinという素材です。
マットな質感の表面、非透明な外観、精細なディテール表現を得意としています。
着色を行うパーツの下地として利用するのもおすすめです。

本素材は、サポート付きでのご提供となります。予めご了承ください。

金属3Dプリントにおけるサポート材について

金属を3Dプリントする場合にも、サポート材が必要になることがあります。しかし、サポート材の材料も金属となるため、サポート材の除去は簡単ではありません。

金属3Dプリントにおけるサポート材の役割

主な役割は2つあります。

  1. 照射後の造形物から熱を逃がす
  2. 熱による変形を防ぐ

金属を3Dプリントするには、レーザーなどで必要な部分を照射し、熱によって溶かした後に固める必要があります。しかし、熱されて溶けた金属が急激に固まる過程で内部応力が発生し、造形物が変形してしまうことがあります。

この問題を解消するために、サポート材が必要となります。
造形物にこもった熱をサポート材を伝わせて逃がすと同時に、サポート材で造形物を固定することで変形を防ぎます。

サポート材が必要な状況

※赤色の部分がサポート材

素材にもよりますが、オーバーハングの角度が45°以下の場合、サポート材が必要です。
ただし、形状によっては45°以下でもサポート材が不要になる場合があります。

サポート材の除去の仕方

サポート材の除去は、手作業で行われることが多いです。
ニッパーやペンチを使ってサポート材の大部分を除去し、紙やすりやリューターで表面を仕上げるという流れになります。

DMMでご注文いただいた場合、サポート材の処理はDMMにて行います。一方で、形状によってはサポート材を完全に取り除くのが困難な場合がありますので、予めご了承ください。

サポート材を付けないコツ

モデルの向きの検討

サポート材の使用にはいくつかのデメリットがあります。主なものとしては、プリント後のサポート材除去の工程が追加されるため、全体の作業時間が長くなること、サポート材を取り除く際にモデルが損傷するリスクがあること、そしてサポート材の使用により材料費が増加することが挙げられます。

サポート材を削減する方法の一つとして、モデルの向きを変更する事が挙げられます。
例えば、オーバーハングがプリントベッドに対して垂直になるようにモデルを回転させると、サポートが不要になる場合があります。

モデルの向きを変えることで、サポート材の使用量を最小限に抑え、後処理の手間を軽減できます。

まとめ

この記事では、3Dプリンティングにおけるサポート材の基本を解説しました。サポート材の役割と種類、設計と配置の考慮点、除去方法、そしてサポート材の利点と欠点について学ぶことが可能です。サポート材を上手に活用し、理想のプロダクト製作に繋げましょう!

また、DMM.make 3Dプリントでは、造形方向指定サービスを提供しております。
より表面を美しく、強度を増したいという方はぜひお気軽にお問い合わせください。

MJFやSLSで造形される素材を選択すると、サポート材がつかないため、設計を考慮する手間がなくなります!

MJFの詳細は、以下の記事をご覧ください!
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