製造業におけるマスカスタマイゼーションとは?3Dプリントを活用した実践方法を解説

製造業におけるマスカスタマイゼーションとは?3Dプリントを活用した実践方法を解説

本記事では、マスカスタマイゼーションの意味や事例についてご紹介します。

また、3Dプリントを活用した実践方法についても解説しているので、製品開発や設計に携わる方の参考になれば幸いです。

マスカスタマイゼーションとは顧客ニーズを満たした大量生産という意味

マスカスタマイゼーション(Muss Customization)とは、顧客のニーズに対応しながら製品の大量生産を行う生産方法です。

製造業における生産方法は、一般的に次の2種類が挙げられます。

マスプロダクション:大量生産方式。少ない品種の大量生産で費用や納期などのコスト削減が可能
カスタマイゼーション:受注生産方式。消費者のニーズに対応した製品開発で顧客満足度を高められる

マスカスタマイゼーションは、簡単に説明すると大量生産と受注生産それぞれのメリットをかけ合わせた生産方式です。

基本的には、生産側がベースとなる製品を大量に生産しておき、顧客が自分の好みに合わせてカスタマイズした商品をオーダーします。

生産側は顧客からのオーダーをもとに製品を組み上げて、顧客の元へ送り届けるという仕組みです。

マスカスタマイゼーションは、大量生産を取り入れることで販売価格を抑えつつ、顧客のニーズを汲み取った独自性の高い製品開発ができるようになります。

身近な例を挙げると、筐体は同じでありながら色やストレージ容量をカスタマイズできるiPhoneやMacシリーズなどが挙げられ、それ以外にも様々な企業がマスカスタマイゼーションを取り入れています。

マスカスタマイゼーションが提唱され始めた1990年代前半に遡りますが、いち早く導入した企業例としては米DELL社が挙げられます。

マスカスタマイゼーションのメリット

企業がマスカスタマイゼーションを取り入れるメリットは、主に次の通りです。

大量仕入れ、大量生産による生産コストを削減できる
顧客の細かな要望への対応が可能となり、顧客満足度を高められる
トレンドの変化への迅速な対応も可能

マスカスタマイゼーションは、ベースとなるパーツを大量生産し、顧客が自分自身の好みに合わせて自由にカスタマイズできる仕組みが基本的な考え方です。

この「自分の好みに合わせてカスタマイズできる点」が大きなメリットで、大量生産でコストを削減した商品を自由に組み合わせることで、顧客満足度を高める効果が期待できます。

大衆に向けたマスマーケティングよりも、顧客一人ひとりの細かなニーズに合わせたワン・トゥ・ワン・マーケティングの手法といえます。

また、変化が激しいトレンドへの迅速な対応も可能で、これらのメリットがあることから企業においては「マスカスタマイゼーション戦略」が行われています。

マスカスタマイゼーションのデメリット

一方、マスカスタマイゼーションのデメリットとして、次の3点が挙げられます。

・大量生産と受注生産のバランスが難しい
・受注処理の反映から製造開始までの新たな仕組みが必要
・場合によっては既存システムの環境を一新させる必要も

マスカスタマイゼーションを取り入れるにはITシステムの活用が絶対条件と考えられます。

既存システムの一新が必要な場合もあり、導入コストや製造開始までのスケジュールなど、マスカスタマイゼーションの導入ハードルは比較的高めです。

また、受注生産に比重を傾けると大量生産のメリット(コスト削減やリードタイム短縮など)が失われてしまい、大量生産を重視するとカスタマイズ性やバリエーションが減り、顧客ニーズへの対応がしづらくなってしまいます。

マスカスタマイゼーションは大量生産と受注生産の良いとこ取りの生産方式といえますが、両者のバランスの見極めが大切です。

マスカスタマイゼーションの事例:ユニクロを例に

日本でマスカスタマイゼーションを導入した企業として「株式会社ユニクロ」が挙げられます。
マスカスタマイゼーションの観点で見ると、ユニクロでは次のような取り組みを実践しています。

・サイズのカスタマイズ:パンツ類の裾上げサービス
UTme!:自分のデザインをTシャルにプリントできるサービス
ホールガーメント:1本の糸から様々なサイズや色違いの製品が作れる(無縫製3Dニットなど)

ユニクロでは顧客の体格などに合わせて、同一商品で異なるサイズの製品を販売しており、パンツ類の裾上げサービスなども行っています。

また、2014年5月には、自分のデザインや写真などをTシャツやパーカー、トートバッグなどにプリントし、オリジナルグッズを作れる「UTme!」をリリースしています。

さらに、1本の糸から様々なサイズや色違いの製品を作れる「ホールガーメント」という技術を取り入れており、素材のロスを抑えながら様々なバリエーションの製品開発を行っています。

マスカスタマイゼーションを実践するには?3Dプリンターが役に立つ

マスカスタマイゼーションを実践するには、3Dプリンターの導入が役立ちます。

3Dプリンターが1台あれば、3Dモデルの編集で簡単にサイズ違いや色違いの3Dプリントが可能です。
さらに、3Dプリンターを活用すれば、データの作成から3Dプリンティングの完了まで数日程度で完了します。

言い換えれば、1台の3Dプリンターで自分自身や顧客の好みに合わせた様々な製品をスピーディーに販売できるということです。

これまでは樹脂素材が多かった3Dプリントですが、昨今では金属素材やゴム素材も選択可能になっており、様々な用途に合わせて幅広い製品開発が実現できるようになっています。

マスカスタマイゼーション×3Dプリントのご相談はDMM.makeまで

マスカスタマイゼーションは、大量生産と受注生産を組み合わせた新しい生産方式です。

ベースとなる基本的なパーツを大量生産し、顧客がその中から自由にカスタマイズすることで、顧客満足度を高めながらもコスト削減やリードタイムの短縮といったメリットがあります。

既存システムの刷新が必要となる場合もありますが、3Dプリンターを導入すれば、比較的簡単に自社の製品開発にマスカスタマイゼーションを取り入れられます。

3Dモデルをアップロードするだけで手軽に3Dプリントができるので、自社での3Dプリンターの導入が難しい場合は、お気軽にDMM.makeまでご相談ください。

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