3Dプリンターを使うべき15のメリット~コスト、スピード、サステナビリティなどの観点から~

現在の製造業をはじめとする産業や個人の創造的な活動において、欠かせない存在とも言われている「3Dプリンター」。
皆さんは「3Dプリンターがあれば何ができて、どんな利点が得られるのか」ご存知でしょうか?
この記事では、3Dプリンターの特性や使用するメリットについて解説していきます!

目次

メリット①早く造れる

3Dプリントは従来の製法である「射出整形」や「切削加工」と比較して、驚異的な速さで製品を作ることができます!

例えば、製造時に必要な金型や治具を作ることを「ツーリング」と呼ぶのですが、従来の外注では1ヶ月以上ツーリングの製造に費やしていたところを、DMM.makeのような3Dプリント受託造形サービスを使うと1週間程度でお届けまで出来るようになった、という事例もありました。
デジタル設計データを用いることで、金型などを使わずに済み、製造効率が格段にアップするこのメリットは見逃せません。

RT(ラピッドツーリング)とは? 3Dプリントで生産性UP

メリット②3Dプリントは効率的に一体造形ができる

3Dプリントでは、効率的な「ワンステップ造形」が可能です。
これは、製品の製造プロセスが一つの工程で完結することを意味します。
従来では複数の部品を製造した上でそれらを組み立てる必要がありましたが、3Dプリンターを活用することで、部品の組立工程は不要となってしまうのです。

メリット③3Dプリントは安く作れる(金銭的コスト)

3Dプリントのメリットで特筆すべきはやはり「安さ」でしょう。
一工程で製造ができるため、複数の機械を使用する時間とそれに伴うコストを削減できることに加え、作業の途中にオペレーターが不要な場合も多く、労働コストも削減可能。
また、3Dプリントでは製品に必要な材料のみを使用し、材料の無駄をかなり少なくできることも費用を抑えられる大きな要因となっています。
「着脱型ロボット」の開発に取り組む株式会社ATOUNでは、金型切削から3Dプリントに切り替えたことで、製造コストが1/10にまで下がったといいます。
産業用3Dプリンター導入のコストは高いですが、「DMM.make 3Dプリント」をはじめとした3Dプリントサービスに外注することで、このコストも回避可能です!

“着るロボット”パワードウェアの開発スピードが3Dプリンター活用で約3倍に向上 株式会社ATOUN

メリット④3Dプリントは試作回数の増加・サイクルの加速し、製品の質を高める

3Dプリントを活用すれば、木型や射出成形では難しいような試作品も迅速かつ低コストで製造可能です!
3Dプリントの製造柔軟性により、製品開発の初期段階で様々なデザイン・機能を試すことが可能となり、試作回数の増加を実現可能。
これにより社内の合意形成も円滑に進み、製品の方向性を柔軟に調整することが可能となります。
同時に、クオリティの高い試作品を早く顧客に提供することもできるため、顧客のニーズを的確に捉え、満足度も向上させられるのではないでしょうか。
製品開発の効率を担保しつつ品質向上も見込めるというのは、3Dプリントの大きな魅力ですね!

メリット⑤3Dプリントは複雑さとデザインの自由度を可能にする

・中空構造など複雑なデザイン
3Dプリントを使えば、複雑な形状の造形ができ、デザインの自由度もかなり広がります。
例えば、従来では難しいとされてきた、内部が中空になった「中空構造」の部品や複雑な幾何学的デザインを実現することができるのです。
実際に、北海道の学生レーシングカーチーム「フォーミュラSAE北海道」も、3Dプリントで造形した「タコ足状の吸気パーツ」を使用し、大会で好成績を納めたといいます。
写真の通りかなり複雑かつ珍しい形状で造形されており、3Dプリントを活用しなければこのような形状の再現は難しいといえますし、かなり差別化を図れるポイントですね。

難易度の高い形状を実現するために3Dプリンターを活用 フォーミュラSAE北海道

メリット⑥3Dプリントはサステナブル

3Dプリントは「サステナブル」にも配慮している、先進的な製造手法としても知られています。
従来の製造プロセスでは部品の切削などによって大量の廃棄物が生じていたのに対し、3Dプリントでは無駄な造形を排除することができ、材料の無駄を極力削減することができます。これにより、資源の効率的な利用も可能となります。
例えばDMM.makeで扱っているPA12 | MJFは、造形時に溶融しなかった粉末材料を再活用して造形されるため、業界でも最高効率の「80%」のリサイクル率を誇ります。
「必要な時に、必要な材料で、必要な分だけ製造できる」3Dプリントは、サステナブルな生産を心がけたい方にはピッタリなのです。

3DプリントMJF (マルチジェットフュージョン方式)を徹底解説

⑦3Dプリントは小ロットから作れる

3Dプリンターは「小ロット」から製品を生産でき、市場の変動に素早く対応可能です。
「小ロット」とは、少ない数量の製品を製造すること、また少ない数量の製品を繰り返し生産することを指します。
これにより顧客の個別ニーズに合わせた製品供給を可能にし、消費者の細かな要望に応えることが可能。また、小ロット生産は初期投資を抑えつつ、市場の反応を検証しながら製品を改善するメリットもあります。
在庫のリスクを低減し、需要に合わせた生産も実現可能となるメリットは大きいですね。

ものづくりにおけるロットとは?小ロット/大ロットのメリットデメリットも分かりやすく解説

メリット⑧3Dプリントは在庫を減らす

3Dプリント技術は、在庫を減らすことにも大きく貢献します。
伝統的な金型を使った製造方法では、金型を保管する膨大なスペースと維持コストが必要でしたが、3Dプリンタを活用すればデジタルデータから直接造形できるため、この維持コストが不要です。
この革新的な手法により、企業は必要な時に必要な分の製品を「オンデマンドに」生産し、在庫を持たない効率的な生産モデルの構築が可能なのです。
ランニングコストの削減だけでなく、市場の需要変動などに柔軟かつ迅速に対応できるというメリットも見逃せません。

メリット⑨3Dプリントは複製や微調整も簡単にできる

3Dプリントは製品のデジタルデータを保管していることから、簡単に複製や微調整が出来てしまいます!
製造された部品や製品データをデジタルアーカイブとして管理することで、将来的な再生産や修正が迅速かつ効率的に行えるのです。
これにより、特定の製品が需要を高めた時、同一の品質で再生産、微調整ができ、在庫の最適化が可能となります!
博物館やショールームなどでの「レプリカ品」や、製品開発における「プロトタイプ」はこの3Dプリントの「複製・微調整」が出来る特性が活きている良い例といえるでしょう。

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メリット⑩3Dプリントは人手不足解消に役立つ

3Dプリンターは製品の造形を自動的に行えるため、ひとつボタンを押すだけで、作業員の介入が不要となります。
これにより、人手不足に悩む企業や産業において、生産プロセスの自動化が人件費の節約に繋がります。
たとえば、建築分野では高齢化に伴い職人の数が減少し、人手不足が深刻に。
でもその中で3Dプリンターが職人の技術を再現できれば、建材の製造や建築構造の生産において人手不足の問題を解消し、企業は人件費削減と生産性向上を実現できます。
この「自動化技術」の進化は近年、様々な産業において人手不足に対する効果的な解決策となりつつあります。

田中浩也先生に聞く! 第1回 3Dプリンター研究10年史

メリット⑪3Dプリントは様々な素材が使える

3Dプリンターは多岐にわたる素材を駆使し、金属やスーパーエンジニアリングプラスチックを含め、用途に応じて最適な素材を選択できます。
DMM.makeでは57種類※以上の素材を扱っており、素材の種類は多岐に渡ります。
例えば、電動義手の製造において、関節部分には柔らかい素材を組み合わせ、骨の部分には硬い素材を用いるなど、異なる特性を持つ素材を巧みに組み合わせようとする方もいました。
こういった取り組みにより、製品の機能性や快適性を向上させながら、3Dプリント特有の柔軟性と創造性を発揮することができます。
異なる素材の組み合わせを通じて、様々な分野で新たな可能性が広がり、出来ることが増えていくことは望ましいことですね。

AI電動義手にDMM.makeの3Dプリントを利用。「安く、軽く、より多くの人へ」NPO法人電動義手の会

メリット⑫3Dプリントは 丈夫で軽量

3Dプリント製品は、金属やシリコンなどの素材を使用しており、高い強度を実現しつつも驚くほど軽量です。
この特性は、例えば航空宇宙産業において、エンジン部品や航空機の構造部品に広く応用されています。航空機の部品が丈夫かつ軽量であることは、燃費効率の向上や飛行性能の向上に貢献します。
例えば、DMM.makeで扱われているシリコンやゴム系の素材は医療系のISOを取得していることもあり、強度を確保されていることから実際にロケットを開発する業者に使われていたりもします。
3Dプリントのこの特性は、航空宇宙だけでなく建築分野など、多岐にわたる産業において新たな設計アプローチを提供します。

DMM.make活用でロケットのアジャイル開発が可能に! インターステラテクノロジズ株式会社 山岸尚登様

メリット⑬3Dプリントは文化財保護や製品寿命延長に革新をもたらす!

3Dプリントは、科学技術から製造業まで幅広い領域で活用されています。
特に、遺跡や化石の精密なスキャンと復元は、文化遺産の保存と研究に革新をもたらしています。

たとえば、イタリアにある「ポンペイ遺跡」では、3Dプリント技術が使われ、破損箇所を補修し、風化や老朽化から守る取り組みも実際に行われました。

古代の遺産をスキャンし、3Dプリントで複製を作ることで、無傷の状態で再調査、保存ができるようになったのです。

また、この技術は製品の「修復・維持」に利用できます。

製品の部品が劣化・損傷しても、オリジナルを3Dスキャンし、修復部品を3Dプリントすることで、製品の寿命を延ばすことが可能になったりもするのです。

メリット⑭3Dプリントは緊急時の生産体制とサプライチェーン効率化を実現!

3Dプリントは、有事や緊急事態に迅速に対応し、サプライチェーンを効率化出来る、というメリットがあります。
例えば、COVID-19のパンデミック当時では、急遽医療現場に必要になったフェイスシールドを3Dプリント技術で即時生産した、という事例もあります。
(実際にDMM.makeが、2020年4月に医療機関向けのフェイスシールド1万セットの無償提供​​を行いました。)
また、3Dプリントは自国内での生産技術の自律化、自前化にも貢献しています。
資源や部品の供給元が途切れた時でも、設計データから即製品を生産できることで、3Dプリントは有事時の即応性とサプライチェーンの弾力性を高める最適な解となっているのです。

田中浩也先生に聞く! 第2回 ウィズコロナ/アフターコロナ時代と3Dプリント技術

メリット⑮3Dプリントは3Dプリントはアートやクリエイティブ表現を豊かに!

3Dプリントは、複雑な形状やデザインも簡単に作成できるため、アーティストやデザイナーに新しい手法を提供します。
これにより、これまで不可能だった表現も可能になります。
例えば、DMM.makeでは、都市風景のジオラマパーツを、細部まで精密に再現し、よりリアルな作品作りをしていたお客様もいらっしゃいました。
このように3Dプリントの技術を用いてこれまでにないデザインや表現が出来れば、新しい商品開発や広告にも活用でき、アート・ビジネス両分野で可能性を広げられるでしょう。

都市風景を題材としたジオラマパーツを量産・販売 Cityscape Studio様

3Dプリンターにデメリットはないのか?

もちろん、3Dプリントにもいくつかデメリットは存在します。
代表的なデメリットとしては「量産効果が低い」「ノウハウの習得の難しさ」「一定のコストがかかる」などが挙げられます。それぞれの項目を詳しく解説していきます。

デメリット①量産効果が低い

3Dプリントは、特定量の生産においては一定のコスト効果を発揮しますが、大量生産となると、限界が存在します。
通常、1万個程度までの生産では3Dプリントの方がお得になることが多いですが、1万個を超える大量生産となれば、設備投資や人件費の問題から従来の金型造形などの製造方法の方が安い場合が出てきます。
このため、3Dプリントの適用範囲は、個別対応が可能なレベルの「小規模〜中規模オーダー」に適しているため、注意が必要です。

デメリット②ノウハウの習得に一定のハードルがある

3Dプリントは手軽さ・便利さが魅力的な一方、ノウハウの習得には一定の専門的知識の習得が必要です。
まず求められるのが、3Dモデリングのスキル。
実現したい形状をデジタルデータとして作る必要があるため、CADのような3Dモデリングソフトを扱う技術が求められます。
その他にも、積層痕の向きなど、3Dプリント特有の知識を習得する必要も出てきます。
こういったハードルが、時に3Dプリントの使用を妨げる理由になってしまうかもしれません。

デメリット③3Dプリンターを購入する場合一定のコストがかかる

3Dプリンタの導入には、初期購入費用や維持・管理のランニングコストなど、一定の経済的負担を伴います。
購入費用に関しては利用目的に応じて変動しますが、家庭用・教育用の卓上用プリンタなら数万円〜、産業用となると数千万円〜、高ければ億単位のプリンタもあります。
それに伴ってランニングコストもかかるわけですが、3Dプリンタは材料費や電力費、保守費、修理費用がかなりかかってきます。
導入を検討する際は、こういった具体的なコスト面をしっかりと見定める必要があるでしょう。

3Dプリンターの造形方式によるメリット・デメリット比較

3Dプリントにはいくつかの造形方式が存在します。
今回は、その中でも特にDMM.makeで利用されている5種類を表形式にて紹介します!
それぞれのメリット・デメリットをぜひ見比べてみてください。

材料押出方式 光造形方式 インクジェット方式 粉末焼結方式 マルチジェットフュージョン方式
主な用途 大型の造形物など簡易的な製品 宝飾品の原型など精密な製品 フルカラーフィギュアなどの美術系製品 治具や工業製品の内部パーツなど 工業製品の内部パーツや最終製品など
メリット 安価で使いやすい 精度が高い 多彩な素材や色を選べる 精度・強度が高く、量産も容易 最終製品にも使える仕上がりに
デメリット 仕上がりのクオリティは多少劣る 洗浄・二次硬化など後処理必要 劣化や変色が起こりやすい 仕上がりはザラザラする 仕上がりはザラザラする
素材 プラスチック(樹脂)など 液体レジンなど フルカラー樹脂など 粉末ナイロンなど 粉末ナイロンなど
機材価格 数万円〜 数万円〜 数百万円〜 数千万円〜 数百万円〜

【早見表つき】目的から選ぶ、3Dプリンターの造形方式5選

3Dプリンター出力代行サービス(サービスビューロ)活用のメリット

DMM.makeでは、3Dプリンター出力代行サービスをおこなっています。
「3Dプリントのメリットには惹かれる…でも使う頻度が高くない、高額な初期投資ができそうもない…」という方に打ってつけのサービスです!

特に業界内でもDMM.makeの3Dプリントサービスは、コストパフォーマンスにかなり優れており、多くのお客様から支持を頂いております。
その他にも「最短納期2日」という迅速な対応力も自慢で、Webでの即時見積もりも大変便利。

使用できる3Dプリンタは高品質で多種多様、豊富な素材選択も可能で、あなたの「欲しい!」を全面的にサポートします!
個人から法人まで幅広いニーズに対応しており、オーダーメイド一点ものの制作も手軽に依頼可能。
日本の3Dプリンター黎明期よりサービスを開始し​​、10年以上の実績と経験を持つDMM.make。
ぜひこの機会にDMM.makeの出力代行サービスを活用してみてはいかがでしょうか?

3Dプリントの内製と外注はどう違う?メリットとデメリットをともに紹介

DMM.makeの3Dプリントサービスとは? 12の魅力を伝えたい

【まとめ】3Dプリンターの使い道は無限大

3Dプリンターの魅力は作り手の思いを叶える「無限大の可能性」に満ちています。
アーティストなら「先鋭的なアート作品を作り出す道具」として。
自動車メーカーなら「新型車の部品製作の一部」に。
教師なら「生徒たちの学習意欲を駆り立てる教材」として。
そして、誰もが自分だけのオリジナル商品を生み出すためのクリエイティブな空間として。

3Dプリンターは、想像以上にあなたの課題を解決し、新たな可能性を提示してくれます。コスト、時間、素材、そんな制約も超えながら、あなただけの作品を創り出します。
3Dプリンターはまだまだ可能性に満ちています。このメリットを最大限に生かして、ものづくりの幅を広げていきましょう。

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