製品開発における「プロトタイプ」とは? 意味やメリット、3Dプリンター活用事例までを紹介

製品開発における「プロトタイプ」とは? 意味やメリット、3Dプリンター活用事例までを紹介byDMM.make

この記事では製造業・ものづくり分野における「プロトタイプ」の意味、メリットや3Dプリンターの活用例についてわかりやすく解説します。

プロトタイプとは「製品開発序盤の機能確認のための試作品」という意味

プロトタイプは、製品開発の序盤で機能やデザインを確認するための試作モデルのことで、今後の製品開発における一定の基準を決める目的で作られます。

意味合いが似た言葉として「試作品」がありますが、こちらは本番前や完成品の量産前に試作するモデルのことで、製品開発の終盤で最終確認をすることを目的に作られるといった違いがあります。

プロトタイプ:製品などの機能やデザインを確認するために、製品開発の序盤で作られる試作モデルのこと
試作品:本番を想定して、製品開発の終盤で作られる試作モデルのこと

プロトタイプはさまざまなパターンで複数個作られるケースが多く、試作品は大量生産をする前に小ロット(10〜100個程度)で製造されるイメージです。
製造現場ではこれらの言葉がほとんど同じ意味合いで使われますが、厳密には上記のような違いがあるので覚えておきましょう。

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プロトタイプと試作の種類

製造業におけるプロトタイプ・試作には、次の4種類が代表的です。

原理試作

原理試作は設計段階で機能や性能の検証を目的としておこない、コンセプトを固めていきます。そのため、外観などは重視されない傾向にあります。

初期の試作段階では、利用者目線で検証・フィードバックをおこなっていきます。

原型試作・機能試作

原型試作は外観や素材なども考慮した、より完成品に近い試作です。同じフェーズの機能試作(Engineering Validation Test)は略して「EVT」とも呼ばれ、検証と改善を繰り返します。

「prototype」は直訳すると「原型」。「原型試作=プロトタイプ」と考える方もいますね。

デザイン試作

デザイン試作は、機能のテストを経たモデルのデザイン・形状を検証する試作です。機能性や実際の利用シーンにおける利便性を考慮してデザイン試作をおこないます。

似たような言葉として「モックアップ」も挙げられます。

量産試作

機能とデザインを最終製品に近い形にし、量産の前に実現可能性を確認するのが量産試作です。この「量産試作」のフェーズを「試作」と呼ぶ方も少なくありません。

この工程は「製造者目線」で、生産可能性を検証していくのが特徴です。

プロトタイプのメリット・必要性

プロトタイプを製作することで得られるメリットは、次のとおりです。

イメージが伝わりやすい

製品を開発する際、基本的には設計図を書き起こし、平面の図面を用いて製品イメージを説明するのが一般的です。
しかし、図面や写真などの二次元の情報だけでは、相手への情報量には限界があり、製品の特徴や魅力を伝えきれない可能性があります。
実際に手に取って、実物を触って確かめられるプロトタイプを試作すれば、製品開発の早い段階で開発チームやクライアントへより正確なイメージを伝えられます。

改善点が見つかりやすい

プロトタイプを試作すると、企画した製品の機能面やデザイン面を確認できます。
実物を手にしながら使用感を確認できるので、設計図や企画段階では気付けなかった改善点や問題点を見つけやすくなります。
また、性能や機能面で問題が認められなくても、想定よりも扱いづらさを感じた場合に修正できるのもプロトタイプを試作するメリットです。

実際に製品をリリースしたのち、本来の用途とは異なる形で利用されるケースもあるため、想定外の使い方の検証や、それにともなう不具合の対応策を検討することも可能です。

質が高まる

プロトタイプを活用すれば、他部署からのフィードバックやクライアントのニーズをもとにして、製品開発の質を高められます。
特に、製品開発の早い段階でクライアントの反応を見られれば、以降の製造過程における認識のズレを防ぐことにもつながります。
仕様書どおりに設計してもクライアントのニーズを満たせないケースも少なくないため、より早い段階でプロトタイプを活用することが大切です。

これらのメリットがあるため、製造業におけるプロトタイプは非常に重要な役割をもつといえます。

プロトタイプの作り方

製品開発の現場でプロトタイプを作る際は、次のポイントを意識しましょう。

こだわりすぎず、素早く作って可視化する

プロトタイプの本来の目的は、その製品の機能やデザインを確認して検証をおこない、改善点を見つけることです。
プロトタイプの製作に時間をかけすぎると、開発全体が遅れてしまううえに人的コストもかかります。

製品によっては図面やダンボールで簡易的にプロトタイプを製作する場合もあるので、試作にこだわりすぎずに素早く作ることを心がけましょう。

3Dプリンターを使ってプロトタイプは作れる

プロトタイプを素早く製作する際には、積層造形(アディティブ・マニュファクチャリング:AM)を活用する3Dプリンターが大いに役立ちます。
3Dプリンターを活用することによるプロトタイプ製作のメリットは、次のとおりです。

3Dプリンターを利用したプロトタイプ製作のメリット
早く作れる
安く作れる
マイナーチェンジ、改善がしやすい

3Dプリンターは3DCADや3Dスキャンしたデータを用いて製品開発をおこないます。
従来の金型を用いた製法では修正をするのにも膨大な時間や費用がかかってしまいますが、3Dプリンターなら迅速かつ安価にプロトタイプの製作が可能です。

また、3Dデータなら「この部分を少しだけ変えたい」などの修正も簡単にでき、異なるパターンのプロトタイプも簡単に複製できます。

3Dプリンターを使ったラピッドプロトタイピングで開発を高速化

ラピッドプロトタイピングは、3Dプリンターを使用して迅速にプロトタイプを作成する手法です。
3Dプリンターにはさまざまな造形方法がありますが、基本的には3Dデータをスライスして、材料を重ねて立体を作り出す「積層造形法」という技術が用いられます。

このアプローチは製品開発プロセスを高速化し、より短時間で製品の改善と最適化を可能にします。

RP(ラピッドプロトタイピング)とは? 3Dプリントで新しい製品開発技術に迫る

イベント・展示会のプロトタイプで3Dプリントを利用した事例

腕時計を造られているakemin様は、展示会用のプロトタイプでDMM.makeの3Dプリントサービスを活用していただきました。
腕時計の外装部分は金属のチタン、ツマミ部分はAgiluisゴムといった異なる素材を選び、見本を参考にしながらモデリングしています。
切削加工で造形した部品と差別化するため、あえてザラザラの表面を残す工夫も…。展示会で現物を見せ、お客様の反応やいろいろな意見を制作に活かしていらっしゃいます。

【お客様事例紹介】akemin様

まとめ

プロトタイプは、製品開発の序盤で機能やデザインを確認するための試作モデルのことで、製造業において非常に重要な役割を担っています。
あくまで性能面を検証するための手段なので、プロトタイプは迅速に製作することが求められます。
DMM.makeの3Dプリントサービスでは、製品開発におけるプロトタイプ製作から最終製品まで幅広く対応しています。

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プロトタイプの製作を検討中の方は、実績のあるDMM.makeにぜひ一度ご相談ください。

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