製品開発における「モックアップ」とは? 意味やメリット、3Dプリンター活用事例までを紹介

製品開発における「プロトタイプ」とは? 意味やメリット、3Dプリンター活用事例までを紹介byDMM.make 真っ白なパソコンとタブレットのモックアップの様子

この記事では製造業・ものづくり分野における「モックアップ」の意味、メリットや3Dプリンターの活用例についてわかりやすく解説します。

モックアップとは?「外観デザインの試作や検討のための模型」という意味

製造業の開発現場におけるモックアップとは、製品設計や商品企画の段階で、その外観を検討するために試作される模型を意味します。
製品の設計者がどのように製品を想像しているかを具現化し、さまざまな関係者がその製品の見た目やサイズ、デザインのコンセプトを理解するのに役立つツールとなります。

モックアップは製品の初期段階で作られるケースが多く、完成品のイメージを伝えることを目的とするため、実際機能を再現せずに作られることが一般的です。

従来では職人の手によって作られた木製のモックアップが一般的でしたが、現在は3DCADや3Dデータの普及にともない、3Dプリンターなどを活用してモックアップが作られるようになりました。

なお、モックアップはあくまでデザインなどの確認をするための手段であり、最終的な完成形ではないことを踏まえたうえで、開発チームやクライアントと共有する必要があることを覚えておきましょう。

「プロトタイプ」は、外観確認のみならず機能の確認を含むこともあるより広義の“試作品”です。
詳しくは以下の記事でも解説しています。

製品開発における「プロトタイプ」とは? 意味やメリット、3Dプリンター活用事例までを紹介

モックアップのメリット・必要性

開発現場においてモックアップは必要不可欠なものといわれています。
その理由は、モックアップを活用することで次のようなメリットが得られるためです。

デザインイメージが伝わりやすい

モックアップは、製品のデザインを視覚的に理解するのに役立ちます。
文章やスケッチなどの二次元的な情報だけでは伝えきれない詳細なデザインや機能を、実際の形状として提示することができます。
また、視覚的にデザインイメージを伝えることで、関係者全員との認識のズレを防ぐことができ、誤解や混乱も避けられます。

コミュニケーションツールとなりうる

モックアップは、設計者と製造者、クライアントとの間でのコミュニケーションを円滑にしてくれます。
たとえば、社内でのプレゼンテーションの場で具体的な物理的な製品を持つことで、アイデアや提案をより具体的に伝えることができ、フィードバックや改善の提案も簡単になります。

修正リスクが減り、開発スピードアップが期待できる

モックアップを活用すれば、設計や機能の問題点を早期に発見して修正することが可能です。
これは、開発の後半での変更や修正に比べてコストが大幅に削減できるため、開発のスピードアップとコスト削減につながります。

モックアップの作り方

製造業の開発現場でのモックアップの作り方は、次のとおりです。

【モックアップの作り方】

  1. アイデアスケッチや3Dデータなどで設計図を作る
  2. モックアップの素材を選ぶ
  3. 事前に作成した設計図に沿って実物に近い形に造形する
  4. 完成したモックアップを開発チームやクライアントと共有してフィードバックをえる
  5. フィードバックをもとに改善点の修正をおこなう

モックアップは、外観デザインの確認をおこなうことが目的であるため、とにかく迅速に製作する必要があります。

また、モックアップが完成したあとは、「購買意欲を掻き立てられるような色彩か?」「見やすい・扱いやすい外観か?」「イメージと相違ないか?」などのポイントを確認していきます。

モックアップの素材

モックアップの素材は、製品開発の状況やデザインによって選ばれる素材が変わります。
従来は木型で作られていましたが、現在は合成樹脂(プラスチック)なども利用されるようになりました。
また、紙やカードボード、金属など、より完成形に近い形でモックアップが製作されるケースも少なくありません。
近年では3DCADや3Dデータの活用が普及したことで、モックアップ製作に3Dプリンターが活用される機会も増えています。

3Dプリンターを使ってモックアップは作れる

これまでは職人の手加工で作られてきたモックアップですが、現代のものづくりの現場ではさまざまな手法でモックアップが製作されています。
なかでも、3Dプリンターを活用してモックアップを製作すると、次のようなメリットがあります。

メリット①:早く作れる

3Dプリンターを使用すると、モックアップの作成時間を大幅に削減することが可能です。
伝統的な手作業によるモデリングと比べて、3Dプリンターはデジタルデザインから直接製品を製造するため、製作時間を大幅に短縮できます。
さらに3Dプリンターを活用すれば開発サイクルを早められるので、モックアップで検証された改善点の修正も迅速に対応可能です。
また、モックアップの製作にかける時間を削減することで、その後の製品開発のリードタイムも短縮できるようになるため、時間帯効果も高められます。

メリット②:安く作れる

通常、金型を作るだけでも膨大な時間がかかるうえ、数十万〜数百万円もの高額なコストが必要です。
また、軽微な修正をおこなう場合でも金型を作り直す必要があるため、それだけで大きな費用がかかります。

一方、3Dプリンターを活用したモックアップ製作では金型が不要で、選んだ素材によって材料費も大幅に削減できます。

人件費の削減にもつながるので、3Dプリンターを活用したモックアップ製作は、従来の製法に比べて、圧倒的に安く作れることが大きなメリットです。

メリット③:着色や中空形状など自由なデザインが可能

3Dプリンターは、3DCADや3Dデータなどで製作したデジタルデザインを活用するため、着色や中空形状などの自由なデザインが可能です。
パソコンで製作したデータを直接、物理的な形状として出力するため、さまざまな形状や色、さらには従来の製法では難しい複雑な形状のデザインも実現できます。

さらに、これまでの製法による物理的な制約を取り払った状態で自由なデザインが可能なので、これまでとはまったく別の切り口で課題解決の糸口を模索できるのもメリットです。

社内プレゼン用モックアップにも3Dプリントを利用した事例

3Dプリントサービスを活用してハイスピードカメラの部品を製造 株式会社ナックイメージテクノロジー


ハイスピードカメラなどの映像制作機器を開発する株式会社ナックイメージテクノロジー様では、社内でプレゼンテーションをおこなう際に、3Dプリンターで製作したモックアップを活用されています。
図面だけでは製品のサイズなどの数値はわかるものの、現物として手に取らないとわからないことも多いため、社内プレゼンの場でモックアップを活用したところ、「このサイズ感がいいね!」といった具合で話がまとまりやすいとのことです。
「3Dプリンターを活用することで、モックアップを含む試作品の製作において、コストを抑えながら開発スピードを上げられる点に確かな効果を感じている」とご評価いただいています。

まとめ

モックアップは、外観デザインの試作や検証をおこなうために試作されるモデルのことで、製品開発の初期段階で非常に重要なツールです。
3Dプリンターを活用してモックアップを製作すると、時間や費用を大幅に削減できるほか、従来の製法では再現が難しい複雑なデザインも自由に作れるようになります。
DMM.makeの3Dプリントサービスでは、実際の製造業の開発現場におけるモックアップ製作にもご利用いただけます。

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