3Dプリントサービスを活用して自分のブランドを立ち上げ fabiidesign様

DMM.makeの3Dプリントサービスをお使いのお客様の事例を紹介する本連載。今回は、イヤリングやリングといったファッション系の小物類を製作されているfabiidesign様です。

fabiidesign様

3Dプリンターで作っている製作物や取り組み始めたきっかけ

本日は3Dプリンターのユーザー事例としてご紹介させていただきたくお時間をいただきました。
さっそく、fabiidesign様が作られているものについて簡単にご紹介いただけますでしょうか。

僕は3Dプリンターを使って、イヤリングやリングといったファッション系の小物類を作っています。
プリントしたものを自分で染色したり塗装したりして、オンラインやイベントで販売しています。

どのようなイベントに出展しているのでしょうか?

デザインフェスタ(デザフェス)や展示会が主ですが、最近はコロナ禍の影響もあり、イベントにはほとんど出ていません。
今はオンラインで販売しながら、繋がりのあるギャラリーさんに置いてもらっている状態です。

コロナでリアルのイベントが減ってしまったのですね。

fabiidesign様が3Dプリンターで小物を作り始めたきっかけについて教えてください。

もともと自分でなにかモノをデザインして、自分のブランドを作りたいと思っていました。
また、自分はファッションが好きなので、ファッション系のアクセサリー類はすごく入りやすかったんです。

好きなファッションの分野で、自分のブランドを作るために3Dプリンターを使っているのですね。3Dプリンターを使うようになって、作業効率などは変わりましたか? 

作業効率は良くなったと思います。
ただ、ほぼ初めから3Dプリンターを活用しているので、3Dプリンターがない場合の製作工程との比較はあまりできないですかね。

なるほど。

僕は最初から3Dプリンターを使いましたが、一般的にはレーザー加工機やCNCなどのデジタル加工機から始めるのが基本だと思います。

また、作品を販売する際には、ただ3Dプリントして終わりではなく、塗装したりキーチェーンやキーリングを取り付けたりすることも多いです。別途パッケージを作ることもあります。

完成した作品

使っている3DCADについて

利用している3DCADについて教えてください。

今は「Rhinoceros」をメインで使っていて、Rhinoceros プラグインの「Grasshopper」を使用することが多いですね。

3DCADはいつ頃からお使いになられているのでしょうか。

学生の頃に「SOLIDWORKS」を学びました。その頃から3DCADには面白さを感じていて、新しくRhinocerosが登場したときにも、自分で覚え始めました。

学生のときから3DCADを使っていたのですね!

そうですね。学校で学んだのがきっかけで、今も使い続けてます。
前職でも「SOLIDWORKS」を少し使っていたはずです。

3Dプリンターで選んだ素材について

DMM.make の3Dプリントで使っている素材について教えてください。

今はナイロンを使わせてもらっています。

ただ、先ほど申し上げたように、最近はイベントに出ていないので、ほとんど製作が止まってしまっていて。見積もりを取るためにデータのアップロードまではやっているのですが、注文まではしていないような状況です。

なるほど。
最近だとエコノミーナイロンという安い素材も登場しているので、ぜひ試していただけると嬉しいです。

Webサイトで見かけました。
機会があれば使ってみたいですね。

fabiidesign様は、ご自身で作品を染色されていると伺いました。
DMM.make 3Dプリントのナイロンには染色オプションもありますが、ご自身で染色されているのには何か理由があるのでしょうか?

大きく分けると2つあります。

1つ目は、自分で染色したほうが色味を調整しやすいことです。
DMMさんで取り扱っていない色を試したり、グラデーションをかけたりしています。

2つ目の大きな理由は、まずは大量にプリントしておいて、注文に応じて色を変えたいからです。

染色した状態で在庫を抱えると、融通が利かず困ってしまうんですよね。注文が入ってから染めることがほとんどなので、こうした理由から自分で染色しています。

色のバリエーションを持たせるために、ご自身で染色しているのですね。
染色する際にはどのようなものを使っているのでしょうか。

ハンズなどのホームセンターで売っている染料を買って使っています。
DMMさんが使っているものとは違う商品だと思います。

染色前
染色過程
染色後
染色過程

3Dプリンターを使った製作活動で大変だったこと

3Dプリンターを使った製作活動で大変だったことは何かございますか? 

お客さんにどうやってリーチするか、という点ですね。
マーケティングがとても苦手で、SNSでの発表方法などは常に悩んでいます。

今もInstagramは使っていますが、そこから大きな売上につながることはほとんどなくて……。
デザフェスなどのイベントでお声がけいただくほうが、売上につながりやすいです。

fabiidesign様の作品は3Dプリントでしか作れないような形なので、オンラインの写真よりもイベントなどで現物を見たほうが印象は強いのかもしれませんね。

3DCADの経験も長いので、製作自体でそこまで苦労されていることはないのでしょうか。

そうですね。
「どうすればこの形が作れるか」というゴールへの最短距離は、普通の人よりわかるかなと思います。

作品の形はジオメトリック(幾何学的)なものが多い印象です。
具体的にどのようにデザインしているのかご説明いただけますでしょうか。

僕がやっているのは、一本の線を何度もループさせてデザインを作るというものです。
鉛筆をグルグル回しながら幾何学模様を描く「スピログラフ」という玩具がありますが、それを3D空間に広げられたら格好いいなと思いまして。

最初は数式を引っ張ってきて空間に線を描いてみたり、実際にそれを出力したりしていました。

ただ、既存の数式だと制約が大きかったので、それからは自分で空間に描いて遊んだりするようになりました。元を辿っていくと、一本の線でつながっているという部分がミソです。

複雑な形状も交わることなく、一本の線で作られているのですね。

強度を補強するために、若干交わらせて補強している部分はあります。
見えないところで、いかに壊れないようにするかが工夫のポイントです。

最初はすべて手作業でモデリングしていたのですが、もう少し自動的にできる技術がないか考えた時に「Grasshopperが使えるのでは?」と思い、そこから製作に取り入れるようになりました。
今も3Dプリンターと非常に相性の良いモデリング手法だと思い、プロジェクトを続けています。

完成した作品

3Dプリンターを使い始めて良かったことや印象的だったこと

これまで苦労した点について伺ってきましたが、逆に良かったことや印象的だったことはありますか?

リアルなイベントに出展すると、さまざまな人のリアクションを生で見られるので、これはオンライン販売にはない大きなメリットだと感じます。

コロナも落ち着いてきた感じがありますし、僕も人と話をするのは嫌いではないので、今後はそういったイベントにも積極的に出展していきたいと思っています。

fabiidesign様のアクセサリーを見たお客さんは、どんな反応をするのでしょうか?

「どうやって作っているんですか?」「これは紙で出来ているんですか?」といった、自分では絶対に辿り着かないような疑問を投げかけてくれますね。

おそらく、伝統工芸の水引をイメージしたのだと思いますが、「アレが紙に見える人もいるんだなぁ」と感心させられます(笑)

水引というのは言い得て妙ですね。

自分では辿り着けない意見をもらえるのはかなり貴重ですね。
「これを照明にしたら可愛いよね」と言われたのをきっかけに照明を作ってみたり、水引を意識した作品に取り組んでみたりと、お客さんからインスピレーションを受けて制作することもありますね。

水引を意識した作品

DMM.makeを使い始めたきっかけ

3Dプリントサービスを利用するにあたって、他社の選択肢もあったかと思います。
その中で、fabiidesign様がDMM.makeを使い始めたきっかけはなんだったのでしょうか。

国内で3Dのプリントサービスができたのって、多分DMMさんが一番乗りだったと思うんですよね。Shapeways さんが海外で展開していましたが、国内だとまったくなくて。

国内で個人向けの3Dプリントサービスは、DMMが初めてかもしれません。

まさにそれが理由で使い始めました。
当時の値段がめちゃくちゃ安くて、とても驚いたことを覚えています。

あと、データをアップロードすれば見積り価格が自動計算されるので「めっちゃ手軽やな!」と感激しました(笑)

他社で見積もりをとったこともありますが、基本的にはメールでのやり取りでした。見積もりをもらった後にデータを修正して、それからまた見積もりを取ろうとすると何日も時間がかかってしまって……。

メールで何往復もするやりとりを合理的ではないと感じていたので、DMMさんのサービスが登場したときは感心しました。

弊社以外でも見積もりを取られていたんですね。
今もDMM.makeをお使いいただいているのは同じような理由でしょうか。

そうですね。Webサイト上でデータをアップロードすれば、簡単に見積もりが取れるのは大きなポイントだと思っています。

今後の展望や取り組んでいきたいこと

今後やってみたいことは何かございますか?

やはり、自分のブランドを展開していきたいという想いは強いですね。
取り組んでいて自分が100%楽しめることなので、その辺りをもう一度ブランディングし直したいと思っています。

コロナ前に、日本の伝統工芸とデジタルファブリケーションをミックスさせたものを、海外に普及させようと動いていたプロジェクトもあります。
これももう少し掘り下げて、積極的に取り組んでいきたいと考えています。

日本の伝統工芸というと、どういったものとコラボ予定だったのでしょうか。

漆とのコラボレーションを進めていました。
青森に津軽塗という漆器があって、その工芸士さんにご協力いただいた作品は、もう少し売っていきたいですね。

津軽塗とコラボした、漢字をモチーフとした作品

これから3Dプリンターを使った製作活動に取り組もうと考えている人へ

3Dプリンターを使った製作活動に取り組もうと考えている人は、少なくないと思います。
おそらく多くの方が初期投資を気にしているかと思うのですが、何かアドバイスをいただけますでしょうか。

僕自身、「在庫を抱えたくない」「初期費用を抑えたい」という気持ちが強かったので、小規模から始められるファッションジュエリーを選びました。

たとえば、ピアスを一個作るにしても、DMMさんにプリントを依頼すれば、1,000円くらいでサンプルが上がってきます。サンプルを確認して問題がなければ、100個くらい並べて注文をかけることで、単価をより安くすることもできます。

このやり方なら在庫を抱えなくて済むので、初心者でも始めやすいかと思います。

ただ、僕の場合はもともと3DCADを扱えたという前提があるので、その部分から始める人は3DCADを学び、揃えるためにある程度のお金が必要ですね。

有名な3DCADだと、「Fusion 360」はそこまで高額なわけではないですよね。

そうですね。やはりミニマムでスタートしたいのであれば、初期投資は極力抑えることを心がけるのが大事だと思います。
そういう意味でいうと、3Dプリンターは逆にメリットが大きいと思います。

具体的には、どのようなメリットが挙げられそうでしょうか。

3Dプリンターを使えば、自分で型を作る必要がないところですね。

たとえば、普通に型を起こしてシルバーアクセサリーを作ろうとすると、ゴム型ひとつ作るのにも8,000円くらいの費用がかかります。

そこに磨き工賃などを加えると、初期費用でいきなり大きな金額になるので、誰でも手軽に取り組めるものではないですよね。

ところが、3Dプリンターはデータさえ作れれば、余計な費用をかけずにものが作れます。初期投資を抑える意味では、3Dプリンターの方がメリットは大きいと思います。

そう考えると、必要な費用としてはパソコン代くらいですね。

そうですね。
パソコンのスペックが良いに越したことはないですし。

fabiidesign様のクリエイターズマーケット

クリエイターズマーケットを使いたい人に向けて一言

最後に、クリエイターズマーケットを使いたい人に向けて一言いただけますでしょうか。

クリエイターズマーケットは、データをアップロードして、注文が入ったらDMMさんが出力して送ってくれます。

自分で在庫を抱えなくて良いので、練習で作ったデータをアップして、試しに一度売ってみてはいかがでしょうか。売れたらやはり嬉しいですし、それがモチベーションにつながることも多いでしょうから。

クリエイターズマーケットでかなりの金額を売り上げている人もいると聞くので、夢を持って頑張ってください。

素晴らしいコメントありがとうございます。
それでは本日はこれにて終了とさせていただきます。
お時間いただきまして、ありがとうございました。

ありがとうございました。
今後とも、よろしくお願いします。

fabiidesign様

クリエイターズマーケット https://make.dmm.com/shop/8438/

ホームページ https://www.fabiidesign.com/

利用ユーザー数国内最大規模 3Dプリント造形サービス DMM.make 3Dプリントサービス
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自分が制作した3Dプリント作品が売れる DMM.make クリエイターズマーケット
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