進化するフルカラー3Dプリンター、その造形方式と最新の事例を解説!

フルカラーの3Dプリンターとは、どのようなもの?

一般的な3Dプリンターの多くは単色の材料を使用してプリントしますが、フルカラーの3Dプリンターは複数の色を使用して複雑なグラフィックや美術的な作品を作成するために使用されます。20万円台の家庭用から2000万円ほどの業務用まで、さまざまな造形方式と価格帯のフルカラー3Dプリンターがあります。

3Dプリントのカラー表現は素材の色、または染色で決まる

3Dプリントには、2つの異なるカラー表現方法があります。素材の色をそのまま使用する方法オブジェクトを染色する方法の2つです。

3Dプリンターが使用する素材の色をそのまま使用する場合、例えば白いABSプラスチックを使用すると、当然ですが、3Dプリンターからそのまま白色のオブジェクトが出力されます。

染色を行う場合、3Dプリント後にオブジェクトに染色を施し、好きな色に変えて表現できます。この方法では、素材の色に関係なく、任意の色を選べます。しかし素材によっては染色に対応しないものもあるので、この点にはあらかじめ注意が必要です。

また異なる素材を使用することで、より高精度なプリントや、耐久性や柔軟性を持った素材での造形も可能になります。プリント前に、プリンターで使用する材料を選択し、各部分で使用する材料を切り替えるソフトウェアの機能を使用する方法、1つのプリンターに複数のエクストルーダー(素材を溶融して出力する装置)を搭載して各部分で材料を切り替える方法、1つのプリントヘッドに複数の素材を送り込む方法などがあります。

その他にも、最初に一部分をプリントしてその後に染色を施したり、さらに異なる材料を使用するなど、複数のプロセスを経るといった造形方法もあります。

造形方式ごとに異なる特徴を理解しよう

FFF方式

FFF(Fused Filament Fabrication)は、熱可塑性プラスチックの押出式3Dプリンティング技術の一つで、押し出した熱可塑性樹脂を積層することで物体を形成します。混色3Dプリントも可能ですが、積層痕による表面の荒さや熱収縮による反りといったFFF方式特有の問題があります。

また下記動画のXYZ Printing社のda Vinci Colorのように、FFF方式とインクジェット方式を併用している機種もあります。

 

 
この機種では、CMYKインクジェットカートリッジを使用して、インクを吸収する特殊なPLAフィラメントに色を付ける仕組みが採用されています。

SLA方式

SLA(Stereolithography)とは、いわゆる光造形方式のこと。光重合プロセスによる3Dプリンティング技術で、液体樹脂に光を照射して、硬化させて積層しながら造形する方法になります。SLAプリンターでは、液体樹脂に着色を施すことで、色付きのプリントが可能です。

マテリアルジェット方式

3Dプリントのマテリアルジェット方式は、紙に印刷するインクジェットプリンターと同様に液体の材料を小さなドット状に噴射し、層を重ねることで物体を作り出す方法です。

この方法は、一般的にフォトポリマー樹脂を使用します。インクジェットノズルからモデル材とサポート材をステージに噴射して、高精度かつ複雑な形状のオブジェクトを作成するために使用されます。モデル材の部分に紫外線硬化性の液体樹脂を噴射して、紫外線ランプで硬化させ、層を重ねていくことで造形されます。例としては、次のような素材が用いられます。


低コストでプロトタイプ製作が可能であるため、金属製のトロフィーを作るためにフルカラーアクリルで試作を行ったお客様の事例もあり、下記の記事で紹介されています。

チタンを使ってゲームの記念品を3Dプリント  株式会社Yostarブルーアーカイブ運営チーム

 

 

 

DMM.makeではMimaki 3DUJ-553を使用機材として、フルカラーアクリルの3Dプリンティングサービスを提供しています。比較的安価なだけでなく、1,000万色以上の高画質・高精細な造形が可能です。

フルカラーマルチマテリアルは、耐久性や透明性を持った高精度な表現が可能な素材で、比較的環境への負荷が少ないという特徴もあります。プロトタイプ製作などの目的でも活用されています。

DMM.makeが提供する3Dプリンティングサービスでは、Stratasys J750を使用機材としてフルカラーマルチマテリアルの素材にも対応しています。以下の記事にサービス詳細がまとめられております。

【60万色を発色良く】DMM.make 3Dプリント素材紹介「フルカラーマルチマテリアル|MJT|J750」編(旧名称:フルカラーアクリル)

 

 

バインダージェット方式(石膏)

インクジェットノズルから石膏の粉末と接着剤を吹き付けることで固着させて、オブジェクトを造形する方法です。データ上の色情報を元に、CMYKインクを含んだ接着剤を使い、着色することもできます。前処理・後処理が比較的簡単で、造形時間が短く、石膏を使う場合には材料費も安いというメリットもある一方、材料が脆いといったデメリットもあります。

フルカラーで広がる可能性、作例や事例の紹介

フルカラーの3Dプリンティングは、フィギュアや模型やプロトタイプの試作など、様々な試みが可能です。また最新の機種では色鮮やかな造形表現が可能になり、製造業を中心に、建築、医療などさまざまな分野でのデザインの可能性を広げています。

これまでの作例や事例や実践アイデアを探ることで、フルカラーで制作する際に役立つ何かしらのヒントが見つかるかもしれません。以下に、これまでDMM.makeの3Dプリンティングサービスを利用されたお客様による事例や作例をご紹介します。

【お客様事例紹介】すずめ模型様

 

鉄道模型やジオラマで使うパーツをフルカラーで印刷しているすずめ模型様の事例です。

フルカラー3Dプリントのためのデータ作成方法とは

フルカラー3Dプリンティングを行う場合、3Dプリンターの方式に対応したデータの作り方がそれぞれ異なります。そのため事前に使用するプリンターについて情報を調べる必要があります。

基本はテクスチャ

フルカラー3Dプリンティングをする上で、テクスチャは重要な要素の一つです。各3Dプリンター、プリンティング方法によって、出力されるテクスチャの種類も変わります。

テクスチャのある3Dデータ

3Dプリンターでは、通常、単色または混色のプリントが可能であり、それを複数回重ねることで、複雑な色彩を表現できます。これは「テクスチャマッピング」と呼び、3Dモデルに色と模様を貼り付ける手法です。

3Dモデルに貼り付けるテクスチャは、3Dオブジェクトの表面に対して2Dの座標を割り当てるUVマッピングを行います。3DモデルのUVレイアウトを確認し、テクスチャを適切に貼り付けることが重要です。また3Dプリンターの解像度に合わせて、テクスチャの画像解像度を適切に設定する必要もあります。高解像度の画像を使用するほど、細部まで表現できますが、ファイルサイズも大きくなります。

データごとに色や素材を指定する方法

3Dプリントソフトウェアによっては、データごとに色や素材を指定することもできます。RGBカラーコード、またはYMCKで色を指定したり、Pantoneなどのカラースタンダードに準拠した色も選択することもできます。また使用する3Dプリンターに対応した素材を選択することもできます。一般的にはABS、PLA、ポリエステル、ニトリルなどが選べます。

デザインガイドラインを確認してミスなくカラー印刷を!

フルカラー3Dプリントのデータ作成方法としては、テクスチャを貼ったデータとパーツごとの色を指定する方法の2種類に大きく分けられます。

例えばフルカラーアクリルではテクスチャを貼ったデータを作成する方法になりますが、フルカラーマルチマテリアルの場合には、テクスチャを貼ったデータだけでなく、パーツごとの色を指定する方法もあります。

DMM.makeの3Dプリンティングサービスを利用される場合、フルカラーアクリルフルカラーマルチマテリアルのそれぞれの素材の紹介ページには、それぞれの造形方法に対応するデータ形式に関する情報やテンプレートファイルなどが用意されています。ガイドラインやヘルプも参照して、データを適切に作成・編集して、ミスのないプリントを行い、スムーズな外注を行いましょう。

 

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