DMM.make 3Dプリントで扱える素材を紹介する本シリーズ。今回のテーマは「PP(SLS)」です。造形サンプルを見ながら、PP(SLS)の特徴やオススメ用途などを解説していきます。
PP(SLS)基本スペック
粉末床溶融結合方式(SLS)の大型プリント装置で製造する、ポリプロピレン(PP)素材です。装置のワークサイズが大きいため、大型部品でも分割せずに一体造形が可能です。
得意なジャンル | 工業系モックアップ |
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カラー | 黄色味がかった白 |
価格帯目安 | 安い |
質感 | ざらざら |
中空構造 | 可。ただし、材料を抜くため直径5mm以上の穴が必要です。また穴が開いていてもモデルの構造上、製造できないことがあることを予めご了承下さい。 |
造形可能な最大サイズ | 縦480mm×横480mm×奥行400mm |
発送目安 | 9~21日 |
PP(SLS)は比較的軽量で、靭性と柔軟性に優れた汎用樹脂です。
丈夫でありながら曲げやすい特徴があるため、変形させて使用するバネやヒンジ構造、スナップフィットなどの形状に適しています。形状によって柔軟性が異なるため、下記のようなことに留意が必要です。
・薄いほど柔軟性のある仕上がりになりますが、その分強度は落ちるので一定以上の厚みが必要です。
・薄すぎるヒンジ形状や、繰り返し曲げることで一箇所に負荷が集中する形状は、使用の過程でその部位の強度が落ちる可能性がありますので、ご注意ください。
・十分な反力や繰り返し変形の強さを得るためには、直径を太くしたり、適度な板厚を設定するなどの工夫が必要です。
その他の細かな条件はデザインガイドラインを参照してください。
サンプルチェック
PP(SLS)の造形サンプルを見てみましょう。5cm四方のサンプルの仕上がりは写真の通り。テクスチャはよく再現されていますが、文字の細かな部分は埋まってしまっています。3Dデータを作る際には、「±0.30mm かつ 長軸方向に ±0.15%」という精度目安を意識しましょう。
粉末素材を固めていくSLS方式の特性上、表面はザラザラとした仕上がりになります。かといって、手に粉がつくようなことはなく、このままでも使用には問題ありません。厚さを薄くすることで、すこし奥が透けるような表現もできそうです。
利用事例
おすすめの用途
PP(SLS)は柔軟でありながら強度もある素材。その曲げやすさを生かして、ヒンジ構造やスナップフィットがある工業製品モックアップの製作などにいかせるでしょう。
ぜひみなさんも、PP(SLS)の特性をいかしたものづくりに挑戦してみてください!