MJFとは「Multi Jet Fusion」という造形方式の略で、HP社の3Dプリンターの特徴的な造形方式を示します。DMM.make3Dプリントのナイロンと比較して最近利用が増えてきているMJF。なぜ量産に向いているのか、どのくらいの精度がでるのか、実際のサンプルを比べながらMJFの特徴とおすすめの用途などをご紹介していきます。
MJF基本スペック

マルチジェットフュージョン方式という新方式になります。製造物に異方性が出ない為、実用に耐えられる強度を出す事が出来ます。 PA12とその強化品であるPA12GB、非常に柔軟なPA11の3つの素材が選択可能です。
得意なジャンル | 工業部品 |
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カラー | グレー、ブラック、光沢グレー |
価格帯目安 | 安い |
質感 | ざらざら |
中空構造 | 可。ただし材料を抜くため直径10mm以上の穴が必要です。また穴が開いていてもモデルの構造上、製造出来ない事がある事を予めご了承ください。 |
造形可能な最大サイズ | 縦380mm×横380mm×奥行284mm |
発送目安 | 8~10日 (エクスプレスサービスご利用の場合:5~7日) |
選べるオプション
・カラー
ブラック、グレー
・磨き
バレル研磨を行います。
精度比較サンプル


PA12(磨きなし)


PA12(グラファイト磨き)


PA12ブラック(磨きなし)


PA12ブラック(磨きあり)


PA12GB(磨きなし)


PA12GB(グラファイト磨き)


PA12GBブラック(磨きなし)


PA12GBブラック(磨きあり)


PA11(磨きなし)


PA11(グラファイト磨き)


PA11ブラック(磨きなし)


PA11ブラック(磨きあり)
MJFはナイロン、エコノミーナイロンと同じくナイロン粉末を熱で固めるタイプの造形方式です。この違いは、他のナイロン系の素材と比べてMJFが異方性が無くより強度が高い、より高精細な造形などの特徴にあらわれています。
精度比較サンプルを見ていくと、MJFはナイロンと比べて全体的な精度が高く細かい造形もエッジがたっている印象です。また、ナイロンでまれに発生する円形状の扁平なども造形方式的には発生しないので、ナイロンと比べて上位互換の素材と言っていいでしょう。
ただし、造形方式の都合上どうしても色がグレーになってしまうのでカラーの染色を行いたい場合はナイロン、エコノミーナイロンをご利用下さい。MJFの中ではPA12GBが比較的白っぽく、PA11が比較的濃いグレーとなっています。
MJFやその他ナイロン系の造形方式であるSLSの造形方式の違いについてはこちらの記事をご覧ください。
試験片テスト


PA12:曲げようとすると程よくしなる。折ろうとしても折れない。


PA12GB:曲げようとするとしなるが硬い。折ろうとしてみると座屈したのち割れた。


PA11:曲げようとするとよくしなる。折ろうとしてもかなり曲がるが折れない。
試験片テストでは材料のスペック通りの印象でした。PA12は粘りと強度があります。PA12GBはガラスビーズが含まれているため硬さは3種類の中でも一番硬いですが、他の2種類と比べると割れやすいです。PA11は一番柔軟性がある柔らかい素材ではありますが、折ろうとしても割れはなかったです。
おすすめの用途
MJFは安定した造形精度と強度があるため、DMM.makeで取り扱いのある素材の中でも一番量産に向く素材です。最終製品や強度部品など様々な用途で使われています。
素材のグレーの色味や、染色のブラック、そしてそれぞれの磨き含めてMJFは高級感ある素材です。試作はエコノミーナイロンやエコノミーレジンなど安価な素材で行い、本番でMJFを使用するなどの使い分けをすると良いかもしれません。
お客様事例
オリジナルのアクションフィギュアにMJFをお使いいただいております。
法人事例
実際に宇宙へ打ち上げられたロケットにもDMM.makeで造形されたMJFの部品が使用されました。
小型フォーミュラカーの部品にMJFをご利用いただきました。