この記事では「バリ」「バリ取り」の意味を解説します。また3Dプリントで発生するバリ取りの方法やツールもDMM.makeのスタッフが写真付きで丁寧にお伝えしていきます。
「バリ」とは製造過程でできてしまう余分な突起
ものづくりにおける「バリ」とは、物を作る過程でできてしまう意図しない小さな突起やささくれのことを指します。金属やプラスチックの部品を製造・加工する時、切削や鋳造、せん断などによってできる余分な部分のことです。
そして、バリを取り除くことを「バリ取り」と呼びます。
3Dプリントにおいても「バリ」は発生します。記事後半で詳しく説明します。
「バリ取り」が必要な理由
製品の品質を保ち、安全性を確保するためにも「バリ取り」作業が必要となります。
製品の精度に関わるため
バリがあることで寸法が変わったり、嵌合がうまくいかなくなる可能性があります。
また製品が動かなくなったり、バリ部分が取れてトラブルに繋がることも否めません。
1mmの誤差も許されないものづくりにおいて、バリは厄介なものに感じられるかもしれませんね。
人や物を傷つけないため
金属素材であれ樹脂素材であれ、バリは鋭利で触れたり刺さったりすると、人や物を傷つける恐れがあります。最終製品はもちろん日常的に触れる治具などであってもバリは除去するのが良いでしょう。
見栄えが悪いため
言うまでもなくバリは見栄えにも関わってきます。エンドユーザーの手に渡るものは外観検査でバリがないかをチェックします。
「バリ取り」の方法
素材やバリの大きさ、バリのある場所によってバリ取りの方法は異なります。
「バリ取り」は手で一つひとつおこなうこともあれば、マシンを使う「機械加工法」や薬剤を用いる「化学加工法」、バレル研磨をする「砥粒加工法」などをしてバリを除去していきます。
3Dプリントにおける「バリ」
3Dプリンターで製作をしても「バリ」は発生します。その原因は主に2つが挙げられます。
まず多くの3Dプリント製品は、印刷中に製品が崩れないように一時的な「サポート(材)」を造ります。これはプリント後に取り除きますが、このサポート材料を取り除く際にバリが残ることがあります。
また3Dプリンターの書き出しやノズルの移動、最終地点において余分な材料が表面がバリとして残ることがあります。いわゆる「糸引き」がこれに該当する場合もあるでしょう。
DMM.makeのバリ取りの方法
DMM.makeでは3Dプリンター「NXE」シリーズのFDM製品を選択いただくとオプションで「サポート除去」をおこなっております。
ほか一部素材にて手作業またはバレル研磨などによってバリ取りを実施しています。
\DMM.makeの3Dプリント出力サービスでは加賀工場のスタッフが一つひとつ丁寧に対応しています/
ここでは実際にどのようにバリ取りをおこなっているかを紹介します。
こちらのサンプルを元に見ていきましょう。
1.ニッパーでおおまかに除去をする
手でサポート材をプチプチと外していくこともできますが、ニッパーを使い丁寧に除去します。
本体がえぐれてしまわないように、なるべくサポートが本体側に残るように気を付けます。(きれいにバリ取りをおこなう上でのポイントです!)
2.残りのサポート材を除去する
本体に残したサポートを、薄刃ニッパーで本体に近いところから切り離します。
3.研磨する
紙やすりなどを使用して研磨します。形状によっては研磨跡を目立たなくするために、さらに目の細かいやすりで順に磨いていきます。
4.仕上げ
研磨した際、キズや溝に入ってしまった細かな粉末は、少量のベビーオイルをしみ込ませた布で拭き上げることで、取り除いて目立たなくすることができます。
もし、えぐれてしまった箇所があれば、造形に使用したレジンをつまようじの先端などにつけて修復したい箇所に垂らし、UVライトで硬化させ、再度研磨することで修復可能です。
バリ取り完了
バリ取りと仕上げが完了しました!
表面もとても滑らかです。
お役立ち「バリ取り」の道具・ツール
DMM.makeで使用している「バリ取り」や後加工のための一部ツールも特別に公開します!
紙やすり
いろいろな形の紙やすりを状況に合わせて使用しています。
紙やすりをさらに改造して
細かい部分には調剤スティックの柄に紙やすりを張り付けたものが重宝します。
電動歯ブラシの先端にマスキングテープで軸受けを作って、細くカットした紙やすりを
はめ込んだもの。細かいところの研磨に重宝します。
平らな箇所は木の板に紙やすりを張り付けたものを使用することで研磨の偏りを防ぎます。
ペンサンダー
細かい箇所はペンサンダー。先端箇所は市販の四角や丸型ヘッドをカットするなどして改造しています。こちらも研磨箇所に応じて変更します。
薄刃ニッパー
薄刃ニッパー。丁寧なカットには欠かせません。
DMM.makeが教える3Dプリントにおける「バリ」を出さないコツ
ここまではバリが出てしまった時のバリ取りについてお伝えしてきましたが、そもそも「バリを出さない」ために試行錯誤することも大切です。
たとえば3Dデータを作るとき(モデリング時点)で、このようにバリができてしまうことがあります。
また造形時に、傾きやサポート材が付きにくい設置をすることで、回転したり傾けることでバリが出づらくなるように工夫することもできます。
DMM.makeの3Dプリントサービスでは造形方向の指定や造形時の調整もおこなっております。
この記事が3Dプリンターやものづくりに関わる皆さんにとってお役に立てれば幸いです!