5分でわかる!デジタルファブリケーションとは?機器やメリットを解説

5分でわかるデジタルファブリケーションとは?解説記事

「デジタルファブリケーション」という言葉、日本ではまだまだ認知度が低く、初めて耳にした方もいらっしゃるのではないでしょうか?
この記事では「デジタルファブリケーションとはなにか?」を解説し、活用の背景やメリット、事例についてわかりやすく紹介します。

デジタルファブリケーションとは?

デジタルファブリケーションとは、総務省によるとデジタルデータをもとに創造物を制作する技術のことと定義されています。

デジタルファブリケーションとはデジタルデータから紙や木、樹脂、金属等の各種素材を使って即時的に「もの」を印刷ないし造形加工すること

出典:総務省「ファブ社会の基盤設計に関する検討会 報告書 「ファブ社会推進戦略」(案)~ Digital Society 3.0 ~」

デジタルデータを用いた素材加工は、インターネット普及前から製造業の工場などで活用されていました。近年、機器が急速に小型化・高性能化・低価格化されたので、製造業を専門としない業種や個人の手にも届くようになり、デジタルファブリケーションという名称とともに活用の範囲が広がりました。
また、インターネットの普及でデジタルデータのやり取りが容易になったので、「もの」ではなくデジタルデータのみの流通や販売などもおこなわれています。

日本のデジタルファブリケーション普及の歩み

日本では、デジタルファブリケーション機器が使える一般向けの工房として2011年にファブラボ鎌倉がオープンしました。2013年にはデジタルファブリケーション協会が設立され、イベント開催、工房や施設の運営、人材育成などデジタルファブリケーションを普及させるための活動をおこなっています。

徐々に普及し始めたデジタルファブリケーション。デジタルデータと機器と素材があればものづくりができるので、従来の製造プロセスに革新がもたらされるとの期待がありました。

参考:
平成28年度版情報通信白書 ”第1部 特集 IoT・ビッグデータ・AI~ネットワークとデータが創造する新たな価値~”.総務省.2018.https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h28/html/nc141330.html
デジタルファブリケーション協会 https://digifab.or.jp/

日本初のFabLab!ファブラボ鎌倉にDMM.makeが行ってみた

主なデジタルファブリケーション機器

総務省の資料では11種類のデジタルファブリケーション機器が紹介されています。

 

  • 3Dプリンタ
  • ペーパーカッター
  • CNCフライス
  • CNCミリングマシン
  • レーザーカッター
  • デジタル刺繍ミシン
  • ロボットアーム
  • 小型マイコンボード
  • センサ
  • アクチュエータ
  • 3Dスキャナ

代表的なファブリケーション機器として3Dプリンター、3Dスキャナー、レーザーカッターについて説明します。

3Dプリンター

3Dプリンターとは、デジタルデータをもとに素材を積み重ね、立体物を作り出すデジタル工作機械です。デジタルデータの作成、データ配置、造形、サポート除去の工程を経てモデルが完成します。

造形中の動画はこちら↓


「3Dプリンターを気軽に試してみたい」と思ったら、受託造形サービスから試してみるのもよいですね。

3Dプリントの内製と外注はどう違う?メリットとデメリットをともに紹介

3Dスキャナー

3Dスキャナーとは、立体物に光を照射したり、センサーで読み取ったりすることで形状をデジタルデータとして取り込むことができるデジタル工作機械です。

スキャン中の動画はこちら↓


レーザーカッター

レーザーカッターとは、レーザー光を利用し、素材の彫刻や切断などができるデジタル工作機械です。

彫刻・切断中の動画はこちら↓


デジタルファブリケーションがもたらす5つのメリット

デジタルファブリケーションが製造技術にもたらすメリットを中心に解説します。

形状の自由度の向上

従来の機械加工だと中空構造や突き出た部分の造形は技術的に困難ですが、3Dプリンターを用いれば可能です。3Dプリンターなら形状の自由度が高いので、今までできなかったデザインの造形が実現できます。

3Dプリンターと機械加工の比較

3Dプリンター

3Dプリンター FDM イラスト

中空構造や突き出た部分の製造が可能です。重力で崩れないようにサポートが必要な場合があります。

機械加工

機械加工のイメージ

中空構造は製造できません。突き出た部分を製造するには方向転換(段取り換え)が必要です。

3Dプリンターと機械加工との違いを詳しく知りたい方はこちら↓

最短3日で試作品が完成!法人も利用できる3Dプリントサービス

設計・試作期間の短縮

形状を確認する試作でも、デジタルファブリケーションが活躍します。金型は製作にコストがかかるため、少しの改変でも大きな費用と時間が発生しますが、デジタルファブリケーションではデータを変更すればすぐ形状に反映できるため、複数のデザインや試作のブラッシュアップを簡単に進めることができます。

製作コスト削減

金型は従来からある製造ツールのひとつです。高精度な金型は量産に欠かせないものでしたが、費用は高額で、製作にも時間がかかるものでした。デジタルファブリケーション機器をうまく活用すれば、高コストな金型を用いることなく少量〜中量のものをつくれるので、製造コストを大きく削減できます。

3Dプリントで安く造形したい!相場やコスト削減のコツ、DMM社員が教えます【ビジネス利用編】

過剰在庫の削減

デジタルファブリケーション機器と素材があれば、需要が生まれるたびに製作が可能となり、過剰に在庫を抱える必要がなくなります。保守やサポート用の部品を長期間保管する必要もなくなるので、管理コストも削減できます。

カスタマイズ・少量多品種での製造

デジタルファブリケーションを使えば、顧客のニーズに合わせてカスタマイズされた製品を作れます。必要に応じて生産の切り替えができるため、少量多品種で製造も可能です。

個人の方にとってはDIYの幅が広がる、小規模ロットで作ったものを他人に贈ったり販売できるなどのメリットがあります。

参考:
情報通信政策研究所 ”「ファブ社会の基盤設計に関する検討会」報告書の公表”.総務省.2015-7-7.
https://www.soumu.go.jp/main_content/000361195.pdf

デジタルファブリケーションの課題

デジタルファブリケーションの課題点にはどのようなものがあるでしょうか?

著作権侵害や知的財産の管理

デジタルデータは容易にコピーできるため、著作権が侵害されやすく権利者の権利が守られにくい課題があります。権利者は知的財産であるデジタルデータの管理方法や、利用許諾の仕組みを設計するなどの対策も必要です。

製造物に関する責任

消費者庁のQ&Aによると製造物責任(PL)法は製造物の欠陥が原因で生命、身体又は財産に損害を被った場合に、被害者が製造業者等に対して損害賠償を求めることができることを規定した法律と定められています。
有償・無償に関わらず製造、加工または輸入を業として(同種の行為を反復継続しておこなった場合)は、製造責任を追う対象とみなされます。デジタルファブリケーションでものを作る場合にも、自分の製造物に対する責任に留意する必要があります。

品質保証

日本の製品は世界的にも「高品質」で知られています。その高品質は企業による徹底した品質管理によって生み出され、品質も保証されてきました。個人の方にも同様のレベルの品質管理を求めるべきか検討が必要とされています。

デジタルファブリケーションの活用事例

デジタルファブリケーションの活用事例を「建築」「ファッション」「教育」を例に挙げて紹介します。

建築

大手ゼネコンの清水建設ではDX化の一環として、デジタルファブリケーションを活用を進めています。たとえば3Dスキャンによるデジタルモックアップを活用し、エントランス・庭の意匠検討に用いられたプロジェクトなどがあります。

参考:
日経XTECK「DX銘柄の清水建設、デジタルゼネコンの3本柱実現に向けた投資額500億円の使い道」(2021/07/09)
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00154/01259/
清水建設「Case 07 | シミズのコンピュテーショナルデザイン「Shimz DDE」」
https://www.shimz.co.jp/shimzdesign/dde/case/07.html

ファッション

デジタルファブリケーションを活用した衣装のファッションショー
(YUIMA NAKAZATO COUTURE SPRING/SUMMER 2017 Photography by SHOJI FUJII)

若手デザイナーに贈られる世界的コンテストの受賞者である中里唯馬氏が、2017年春夏コレクションでデジタルファブリケーションを活用した作品を発表しました。このコレクションでは、DMM.make 3Dプリント事業部が全面協力しました。※インタビューはこちら

教育

子どもの創造力や課題解決力を育てるために、デジタルファブリケーション機器を導入しはじめています。たとえば、広島工業大学高等学校は、「K-STEAM類型 ― CLコース」というSTEAM教育に特化した教室を2022年4月に新設しました。デジタルファブリケーション協会プロデュースのもと、3Dプリンターなどを活用したものづくり中心の授業をおこなっています。

気軽に体験!ファブスペース(ファブ施設/メイカーズスペース)とは?

「デジタルファブリケーション機器を使ってみたいけど、すべて買うには高いし置く場所もない…」そんな方にはファブスペースで試してみるのはいかがでしょう?

ファブスペースとは?

ファブスペースは、デジタルファブリケーション機器やアナログ工作機械が設置されている、ものづくりに特化した施設です。ファブ施設もしくはメイカーズスペースとも呼ばれています。常駐のスタッフがワークショップやイベントを通じて、機器の使い方を教えてくれるので個人の方でも気軽に利用できます。

ファブスペースは全国にある

ファブスペースは全国各地にあり、2022年には全国で144箇所のファブスペースが運営されています。場所や運用形態はfabcrossのfabナビFabLab Japan Networkのホームページで紹介されています。

オススメはDMM.make AKIBA


DMM.make AKIBAは、2014年から東京・秋葉原にあるモノづくり系スタートアップ企業を支えるコワーキングスペースです。会員はものづくりに必要な機器を24時間365日使うことができます。テックスタッフが常駐しており、機器の操作方法を教えるだけでなく試作開発のノウハウなどもレクチャーしてくれます。他分野企業との交流会やイベントを多く開催しているので、異業種企業とのネットワーキングや学び合いも可能なコミュニティです。

参考:
“日本のファブ施設調査2022——ファブ施設が目指す先にあるものを聞く” .fabcross.2022/12/28.
https://fabcross.jp/topics/research/20221228_fabspace.html

デジタルファブリケーションの今後

デジタルファブリケーション機器はいますでに広がっており、活用の場面も増えてきています。ファブスペースを使えば誰でも本格的なものづくりができる環境が整っています。みなさんもデジタルファブリケーションを利用して新しいものづくりを始めてみませんか?
DMM.makeの各種サービスはものづくりをする皆さんを応援しています!

低価格・スピード納品・高品質が叶う DMM.make 3Dプリントサービス
低価格・スピード納品・高品質が叶う DMM.make 3Dプリントサービス
3Dプリント資料無料ダウンロード
3Dプリント資料無料ダウンロード
5分でわかるデジタルファブリケーションとは?解説記事
最新情報をチェックしよう!