この記事では「トポロジー最適化」の意味、業界別の事例やトポロジー最適化の方法、3Dプリントの活用可能性についてDMM.makeの技術営業がわかりやすく解説します。
かけ出しの設計者、エンジニア、解析担当者の方はぜひお読みください!
トポロジー最適化(位相最適化)とは最適な形状をコンピューターで導き出すこと
トポロジー最適化は、特定の目標(強度、耐久性、軽量性など)を最大化または最小化するための最適な形状・密度を見つけ出すコンピュータベースの設計手法です。
特定の制約条件下(材料量、製造方法、予算など)で最良のパフォーマンスを発揮する物体の形状を自動的に見つけられます。
コンピューターが制約のある中で最適な形を提案してくれるので、人間では思いつかないような独創的なものが生まれる可能性があるのです。
トポロジー最適化の業界別事例
トポロジー最適化は、製造業界や建築業界、大物から小物まで幅広い場面で活用されています。業界別の活用例を紹介します。
- 航空宇宙…部品の重量を減らすことで燃料効率を向上
- 建築…ビルや橋の強度を保ちつつ材料コスト削減
- スポーツ用品…最適な振動特性を持つテニスラケット、軽量で丈夫な自転車フレームの設計
トポロジー最適化の方法とステップ
トポロジー最適化はおおまかに以下のステップでおこないます。
- 目的の明確化
- 制約条件の設定
- パソコンでソフトを用いて計算する
- 実現可能性を検討する
①目的の明確化
トポロジー最適化をおこなうためには、まず最適化の目的を明確に設定する必要があります。
これは、「重量を軽くする」「強度を最大にする」「振動を最小にする」など、具体的な設計目標を設定することを意味します。
②制約条件の設定
次に制約条件を設定します。たとえば材料の量、製造方法、予算、時間などが考慮されます。
③パソコンでソフトを用いて計算する
これらの情報をもとに、コンピュータはさまざまな形状の計算をおこない、最適な形状を見つけ出します。これは大量の計算を必要とするため、高性能なコンピュータや専用のソフトウェアが必要となります。
④実現可能性を検討する
最終的にはトポロジー最適化の結果を解釈し、最終的な設計に反映するために、人間がチェックをおこないます。
この判断をするには実際の製造プロセスや材料の特性についての理解も必要となります。
トポロジー最適化にはソフトウェアを使う
トポロジー最適化を実行するためには設計・開発のシミュレーションをおこなえるCAE(Computer Aided Engineering)ツールや3D CADソフトを用います。代表的なソフトウェアをご紹介します。
- Ansys:広く使用されている有限要素解析のエンジニアリングシミュレーションソフトウェア で、静的構造解析とモーダル解析に対応しています。
- Altair® Inspire™/Altair® OptiStruct®:約30年以上の歴史をもちハイエンド層からも人気のあるAltair社のソフトウェアです。
- Fusion 360:Autodesk社の3D CADソフトウェアで、コストパフォーマンスの高さから幅広い人気があります。トポロジー最適化機能は「シェイプ最適化」といわれています。
これらのソフトウェアを使用するには、基本的なCADやCAEの知識などが必要とされます。専門書籍やWeb記事・オンライン講座など様々なものがあるのでレベルに合わせて学習をしてみましょう。
トポロジー最適化と3Dプリント
トポロジー最適化と3Dプリントは、とても親和性の高い技術です。トポロジー最適化により導き出された複雑な形状を、3Dプリンターを使用して具体的な製品に落とし込むことが可能です。これにより、従来の製造方法では不可能だった製品の設計と製造が可能になります。
参考:竹澤晃弘(2017)「AM 技術を活かすトポロジー最適化」『スマートプロセス学会誌』6(3) pp.119-124.
まとめ
人間では考えつかないような形状を考え出してくれる「トポロジー最適化」。
中空や複雑なパーツの実現には3Dプリンターが使える可能性があります。
これまでできなかったデザインをぜひトポロジー最適化や3Dプリントの最新技術を使って実現させてみてくださいね。