DMM.makeの3Dプリントサービスをお使いのお客様の事例を紹介する本連載。今回は、主に都市風景を題材としたジオラマ製作をされているCityscape Studio様です。
活動内容や製作物について
本日はお時間いただきましてありがとうございます。
まずは、活動内容や製作物についてお聞かせいただけますでしょうか。
よろしくお願いいたします。
私はジオラマを作る活動をしており、YouTubeでジオラマの製作過程を撮影して発信しています。その中で、3Dプリンターやレーザーカッターといった技術を活用しています。
ありがとうございます。
YouTube投稿やジオラマ制作といった活動は、副業として続けているのでしょうか?
いえ、現在はYouTube投稿がメインの仕事です。
他にもジオラマ作成をご依頼いただいたり、パーツ販売をしたりといった業務を通じて、ジオラマを作ることが収益源になっています。
なるほど、YouTube活動で生計を立てていらっしゃるのはすごいですね。
ジオラマを作り始めたきっかけはなんだったのでしょうか。
ジオラマ製作を始めたのは3〜4年前の大学時代です。
部活でソーラーカーを作っていたのですが、ちょうどコロナが始まった時期で、これまで通りの活動ができなくなってしまいました。
そこで「自宅でできることは何かないかな」と考えたとき、小さい頃から好きだったジオラマを本格的に始めてみようと思って製作を始めました。
なるほど。数年前から始められたのですね。
最初から3Dプリンターを使うことが前提だったのでしょうか?
最初の半年くらいは3Dプリンターを持っておらず、手作業で作り続けていました。
同時並行でいろいろと調べているうちに、3Dプリンターがジオラマ作りにかなり便利そうだと思って導入しました。
3Dプリンターを利用するシチュエーションについて
ジオラマを製作するために3Dプリンターを購入したのですね。
はい、数万円程度の3Dプリンターを2台購入しました。
どのような機種をお使いですか?
光造形方式とFDM方式のプリンターを1台ずつ持っています。
それを使いながら、DMMさんの造形サービスも利用させてもらっています。
両方お持ちですと、大体のものは作れるのかなと感じました。
その中で、DMM.makeのサービスをご利用いただくのはどのような場合になるのでしょうか。
長いものを出力するときにDMMさんを使わせてもらっています。
たとえば、ジオラマ製作で使うガードレールは、光造形で出力すると反りがひどくて……。出力にも時間がかかってしまうので、そういった理由から長物はDMMさんに外注しています。
ご自宅のプリンターでは反りが出たり、時間がかかったりしてしまうものにDMM.make をご利用いただいているのですね。
私はジオラマ製作で使うようなパーツも販売しているのですが、非常に細かいので、自分で量産するとなると大変で。そういったパーツもDMMさんに外注させてもらっていますね。
大学でソーラーカーを作っていたとのことですが、その頃から3DCADはご利用になられていたのでしょうか。
そうですね。
大学時代に3DCADを触っていて、今は個人で「Fusion 360」を使ってデータを作っています。
3Dプリンターを導入したことによる変化や使っている素材について
製作活動に3Dプリンターを導入する前と後では、どのような変化がありましたか?
まず、光造形機が非常に細かいところまで出力できることに驚きました。
手作業ではとても実現不可能な細かなパーツを作れるようになったので、それは非常に大きなメリットだと感じています。
確かに光造形機を使うと、かなり細かな造形もできますよね。
具体的にはどのようなものを作られているのでしょうか。
たとえば、エアコンの室外機とかですね。爪の先端ほどしかないサイズ感で、数ミリ単位まで攻め込んだデータでもしっかり表現してくれるのがありがたいなと感じています。
ガードレールは、このようにランナーを付ける形でデータを作って、DMMさんに外注させてもらっています。
ガードレールの素材はナイロンあたりをお使いでしょうか。
こちらはアクリルですね。アクリル素材を選んだおかげで、裏のボルトの部分など、すごく細かい部分までしっかりきれいに出ていました。
これほどの精度は手作業だと難しいので、3Dプリンターを導入したメリットを感じる部分です。
細かく造形できることが理由で、主にアクリルを使っているのでしょうか。
そうですね。現状はアクリルのみを使っています。
なるほど。
販売しているキットは、購入したお客さん自身で塗装するのでしょうか?
基本的には未塗装で販売して、お客さん自身で塗装して使っていただいています。
ただ、塗装が面倒くさいというお客さんも多いので、今後はフルカラーでパーツを出力できたら時間も手間も省けて、大きなメリットになるだろうと思っています。
鉄道模型でフルカラーをご利用いただいている方からは、かなりキレイに出力できたと評価いただいています。透明な素材も人気があるので、そういったものもぜひ試していただけたら幸いです。
製作活動で大変だったこと、良かったこと
パーツの塗装は、やはり製作者としても苦労される部分でしょうか。
そうですね。
色はぜひとも付けたいところなのですが、あまりに細かすぎて手間がかかってしまうため、すべてに塗装するのは現状だと難しいと感じています。
3Dプリンターで手作業よりも細かく作れてしまう分、塗装にもかなり手間がかかってしまうんですね。
逆に、YouTubeでの活動を含め、ジオラマを3Dプリンターで作っていて良かったと感じる点は何かございますか?
良かった点は、細かいところまで高いクオリティで出力できることです。
また、なかなか既製品では代替できないような、自分が求めるパーツを自宅でパッと出せることも大きなメリットだと思います。
DMMさんに外注させてもらう場合でも、納期が短くて済みますし、自分の思ったものがすぐに手に入るようになったのは、まさに革命だなと感じています。
DMM.makeを知ったきっかけ
DMM.makeを使い始めたきっかけはなんだったのでしょうか。
DMMさんが3Dプリンターの造形サービスを運営していることは前から知っていましたが、金銭的な面で利用すべきか悩んでいました。自分で作った方が、コストが安く済むと思っていたんです。
実際にご利用いただいて、使用感や費用面はいかがでしたか?
実際に使ってみると、パーツを複数まとめて発注すると金額的にも安く、一個あたりの単価をかなり抑えられることに気付けました。今後はしっかりと活用させてもらって、販売の方にも活かしていきたいと考えています。
ご満足いただけてよかったです。
単体で注文いただくとそれなりの値段感になってしまいますが、ランナーをつけるなどして複数のパーツを1つのデータにまとめていただくと、ある程度安くなるかと思います。
他社の造形サービスを利用されたことはございますか?
検討したことはありますが、実際に使うには至りませんでした。
今のところは、国内で作るなら金額的にもメリットが大きいDMMさんが良いと思っています。
今後取り組んでみたいこと
先ほど、フルカラーをやってみたいというお話がありました。
他に、3Dプリンターを使ったジオラマ製作で取り組んでみたいことなどはございますか?
金属素材をうまく活用できないかなと考えています。
ただ、自分のジオラマだと造形的に難しいと思っていて、金額的な部分も含めてアイデアを煮詰めているところです。強度と精度を両立できたら嬉しいですね。
金属なので、普通の樹脂などに比べて強度は確実に高いと思います。
ただ、金属素材は粉末を焼き固めて3Dプリントするものが多く、表面が少しザラついてしまうので、そういった面では少し難がありそうです。
なるほど、表面処理が必要になるということですね。
合うものにはとても合うと思うのですが、表面がハッキリしたものを出したい場合は、樹脂に金属っぽい塗装をしたほうが良いのかなと思います。
金属素材自体は良いものですが、ジオラマ向きかどうかは判断が難しいところです。
他に注目している技術などはありますか?
私は普段からレーザーカッターを使うことが多いのですが、レーザー加工を気軽に外注できるような場所があるとありがたいなと思います。
いまのところ、あまり個人でパッと外注できるような場所がなく、それで困っているモデラーさんも多いみたいです。
なるほど。レーザーの貸し出しはあっても、外注できるサービスはなかなかないですよね。
最後になりますが、お知らせしたいことなどございますでしょうか。
YouTubeチャンネルがあるので、ぜひこちらをご覧いただいて、ジオラマ製作に興味を持っていただけたら嬉しいです。
今回はお時間をいただきまして誠にありがとうございました。
今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。
ありがとうございました。
こちらこそ、よろしくお願いいたします。
Cityscape Studio
都市モデラ―MAJIRI
Web:https://cityscape-studio.jp/