【お客様事例紹介】すずめ模型様

すずめ模型様について、制作活動を始めたきっかけ

本日はよろしくお願い致します。

よろしくお願い致します。

早速ですが、すずめ模型様のされている制作活動についてお伺いできますでしょうか。

私は鉄道模型やジオラマで使うパーツを中心に3Dプリントで模型製作を行っています。
製品として販売もしていまして、通販を中心に一部は実店舗でも販売置いて頂いています。
何人かに協力を頂いており、私が主に担当しているのは設計や3Dプリントの部分です。

完成した作品の数々

ありがとうございます。
制作活動はいつ頃から始められたのでしょうか。

鉄道模型の製作や加工自体は高校生の頃からやっているのですが、3Dプリントを使い始めたのは私が社会人になって1年経ったかくらいの頃です。
自分で3DCADを使い始めてからは5年経ってないくらいで、もともと会社の同期で3Dプリントを使っている人がいて、そのツテがあって始めました。

今は販売も行われているということですが、もともとは趣味から取り組まれていたのですね。

そうですね。今もそうですが、「自分が欲しい物を作る」というテーマで始めて今に続いています。
そうした制作活動を続けているうちに、「これは他にも欲しい人がいる」とか「うちの製品向けにこういったものが作れないか」といったお話をいただいて、今では販売する物も製作するようになりました。

今は個人の趣味と販売とで、どちらが割合として多いのでしょうか。

趣味の製作と合わせて出力しているものの、出力点数で考えると最近ではコロナ禍の巣ごもり需要のためかご依頼いただいたパーツを作る方が多くなっています。
もちろん趣味の制作も続けていて3Dプリンターの活用については趣味の方で実践している事が多いです。

パーツの画像
パーツの画像

3Dプリンターを利用するシチュエーション

CADの知識はいつごろ学ばれたのでしょうか。

大学の講義で3DCADを触る実習があったんです。そこで3DCADを知りました。後は会社に入ってから3DCADの研修を約1ヶ月程かけて受けて使えるようになりました。
ちなみに学んでいた頃は「AutoCAD」を使っていて、今の制作活動では「Fusion360」を使っています。

なるほど。鉄道模型だと細かなデータが多い印象ですが、Fusion360が一番合っていたのでしょうか。

そうですね。価格が安くて、機能面も過不足がないので使っています。
作り込むとデータは重くなってしまう点が悩みですが、データを分けて作ったり、別のソフトを使って最後の結合だけしてみたり、データを軽くするために試行錯誤をしています。

データ作成中の画像
データ作成中の画像

データを軽くされるのは、弊社にアップロードいただく際の100MB縛りがあるからでしょうか?

それもありますが、大きな理由としてはパソコン上でデータを触る際に不便だからです。
鉄道模型製作では、実際に走らせるのとディティールを両立させようとすると、自然とデータが重くなってしまいます。
Fusion360で重くなるようなデータはそもそも3Dプリンターで印刷ができないので、ソフト上でサクサク動くくらいがちょうど良いと思って、ひとつのベンチマークにしています。

模型を制作されている方にお話を伺うと、実際のスケール通りに作ってしまうとあまりデザインが良くならないと聞いたことがあります。
鉄道模型を制作される際もそういった事はあるのでしょうか。

おっしゃる通りです。資料は国会図書館などに行けば手に入れられますが、そのまま作っても「らしさ」が出ないと思っています。
おそらく実物と模型では駅や線路といった環境のバランスが違うので、そこが要因の一つではないでしょうか。この「らしさ」は自宅のFDMで一度出力してから、全体的なバランスを調整するといったことをして追求しています。

ご家庭のFDMは何になるのでしょうか。

自宅には「Adventurer3」があります。
まずこれで試作を作ってから取り組むようにしています。

試作される際の素材は何になるのでしょうか?

製品としてではなく形を見るための用途なので、その時々で価格が安いものを使っています。PLAかABSのどちらかが多いですね。
FDMで最終版を作ることはしていないので、まさしく試作専用機になっていますね。

なるほど。それでは、ご自宅のFDMで形を確認して、問題がなければ弊社にご依頼いただく形になるのでしょうか。

そうですね。大まかな形が決まったらディティールを詰めて発注させて頂くといったイメージです。
もともとはアクリルのUltra Mode     やナイロンなどを使っていましたが、最近はフルカラーのものをお願いする事が多くなりました。

Fusion360でフルカラーのデータを作るのは非常に大変だと思いますが、他にもソフトを使われているのでしょうか。

Fusion360で全部やってしまう場合もありますが、他に「Blender」とWindows標準の「3D Builder」を組み合わせて使っています。
最近はBlenderよりも3D Builderのほうが楽なので、そちらを使う機会が増えてますね。
データが細かいとFusion360で色を塗るのが大変なので、モデリングで工夫するようにしています。

フルカラーで出力いただくと、手で塗装するよりも少し荒くなってしまうかと思いますが、その辺りはいかがでしょうか。

3Dプリントで鉄道模型を作っている人は手先が器用な人が多いので、自分で塗装をする人も多い印象があります。
ただ、私はそこまで手先が器用なわけではないので、自分で完成まで仕上げるならフルカラー3Dプリントを使ったほうがキレイなので利用させてもらっています。
私の周りではフルカラーで鉄道模型を作っている人はいないので、私が試作したものを仲間内で共有することもありますね。

DMM.makeを使い始めたきっかけと今も使い続けている理由

すずめ模型様でDMM.makeをご利用いただくようになったきっかけは何だったのでしょうか。

大学時代の友人が使っていて教えてもらいました。
その友人はガジェット好きな人で、当時はナイロンでスマホカバー的なものを作っていました。
私が社会人になった頃くらいに自分でFDMを買ったのですが、精度がものすごく低くて模型制作には使えなかったんです。
そういう話をしていたら、その友人からDMM.makeで3Dプリントのサービスが有るよと教えてもらって、それからずっとお世話になっています。

ありがとうございます。
他社のサービスをご利用されたことはありますか?

最近だとDMMさんだけになっていますが、過去にアクリルがなくなるかもしれないという話になった時に海外のサービスを利用したことはあります。
ただ、海外だと単価は安くても送料込みで考えるとコストが高くなってしまいました。
それと、一度目の造形はキレイだったのに二度目以降で割れていたりして使えなかったということもあります。
そしてトラブルが起こると、メールでのやり取りも手間がかかりますし、再発送してもらうまでに時間がかかってしまう…。
その点、DMMさんは国内のメーカーで対応が良く、これまで長く依頼してきた実績もあって素材も豊富。
納期も非常に早いですし、トータルで見たときの価格も安いのが理由で使い続けています。

弊社ですとデザインガイドラインをかなり安全重視にしていることも理由に挙げられそうですね。
厳密にいえば、アクリルでもより細かい造形が可能なんですが、輸送時の破損リスクを考慮した数値でお出ししています。

その点でいうと、事前に相談をすれば海外では断られてしまうものでもデータを攻めさせてもらえるのが嬉しいですね。
試作品だからやってください!とお願いすると出力してもらえる(笑)
DMMさんだと、多少攻めたデータであっても精度が高くて再現性も良いので助かっています。

そうですね、破損リスクについてご了解をいただけるということであれば、多少はデザインガイドラインより詰めたデータでの出力も承っております。
ただ、全部が全部お引き受けできるわけではないので、本当に必要な時に絞っていただいて、基本的には相談ベースになるかと思います。

3Dプリントを使った制作活動で大変なこと、良かったこと

3Dプリントを使った制作活動で、これまでに大変だったことやご苦労されたことはございますか?

先ほどもありましたが、模型は資料通りに作っても「らしさ」が出ないので、その合わせ込みが大変です。
最近だとフルカラーで作ったりもしているので、色とのバランス合わせも難しいと感じています。
本来であればその都度制作して色のバランスを調整できれば良いのですが、その度にお金もかかってしまうので…。
それと、出力したパーツの劣化状況も自分でテストしているので、いい形ができたと思っても、一ヶ月くらい経つと反ってきてしまうので何かを変えないといけないな、と思っています。

フルカラー造形した作品
フルカラー造形した 作品

造形物を実際に販売されているとなると、劣化状況についてもチェックが必要になりますよね。

そうですね。
最近出たばかりの新しいレジンは大型の物も出力できるということで私にとって非常に嬉しい存在ですが、製品にするとなると時間がかかってしまいます。
現実的には来年の春あたりを見越していますが、劣化の状況を見てからじゃないとなんともいえないのが現状です。

インタビュー後、新レジンにて大型の鉄道模型を造形していただきました!

劣化状況のチェックはどのように行われているのでしょうか?

例えばお風呂場に置いて湿度とその変化に耐えられるかというようなテストを行っています。また屋内と屋外にそれぞれ放置していて定期的に状況を確認しています。
現時点での結果として耐光性は弱いものが多いですが、湿度に関しては目立った変化がないので、その点は意外で驚いています。
プラモデルでもそうですが、鉄道模型をされている方の中には一年くらい積んでから組み立て始める人も多いです。
ご購入いただく際にある程度の説明はしますが、パーツの劣化については非常に気にしている部分ですね。

必要な時に出力するイメージでいましたが、3Dプリントでも積まれる方がいらっしゃるんですね(笑)
逆に、3Dプリントを使った制作活動をしていて良かったことはございますか?

やはり自分がほしいと思ったものが手に入るようになったことです。
鉄道模型のメーカーはいくつかありますが、メーカーさんが作ってくれないようなものも意外と多いんです。
たとえば、リニアモーターカーが良い例で、おそらく通常の線路を走っていないからだと思いますが大手のメーカーでは出ていないんです。
でも、実際には私も含めてほしいと思っている方が少なからず存在するので、そういうものが手に入るようになったのは良い時代になったと感じています。

なるほど。自分で作ったデータを簡単に出力できる3Dプリンターの良い部分が表れていますね。

今後の展望や伝えたいこと

3Dプリンターを使って今後やってみたいことや挑戦してみたいことはございますか?

今後は貴金属など違う素材も試してみたいと考えています。
先日の展示会で貴金属を使っていろんな造形ができるとわかったので、鉄道模型に適用できるところがないかと手探りで考えているところです。
特にチタンは素材感や重量的にも活かせそうなので、実際に試してみたいと思っています。

鉄道模型のどのあたりに金属が使えそうでしょうか?

言葉で表現するのが難しいのですが、線路に近い位置に金属のような重いものを置くことで、鉄道が走るときの良い感じの音が出せないかと考えています。
金属以外の素材ではゴム素材を使って、鉄道模型の走りに変化を出せるようにできたら面白いなとも思っています。
どういうことかというと、鉄道模型の線路は整いすぎていて、スーッとキレイに走ってしまうんです。
実際の鉄道が走る線路はうねっている事もあるので、車体側に変化をつけてあげることで、実際の線路を走るときのような微妙な表現ができないかと。

なるほど。線路がキレイ過ぎるとリアリティに欠けてしまうのですね。

鉄道模型の世界では、すでに設置されているところで自分が車両を持ち込んで走らせるというケースがよくあります。
なので、線路側をいじるということはほぼ不可能で、自分が持っている車両を調整するしかないんですよね。
線路を傷つけてしまったらダメですし、車両が脱線してしまうは当然良くないので、走りに変化をもたせるのにはとても難儀しています。
ただ、このあたりを試行錯誤しながら、自分が納得できる作品を生み出せる可能性があることが面白いところだなと感じています。

わかりました。それではこちらで終了とさせていただきます。
お時間いただきましてありがとうございました。
今後とも、よろしくお願い致します。

こちらこそいつもありがとうございます。
今後とも、よろしくお願い致します。

すずめ模型様 ホームページ・Twitter

 https://suzume-model.com

 https://twitter.com/st_model8

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