テストマーケティング製品に3Dプリンターを活用! 理化工業株式会社

温度制御機器で日本トップシェアを誇る理化工業株式会社の皆様にお話を伺いました。新製品開発、テストマーケティング製品にてDMM.makeの3Dプリントサービスを活用していただいた事例をご紹介いたします。

新製品の開発(テストマーケティング)において金型に起こすだけで600万円がかかってしまう見通しが…。どれくらい売れるかわからない製品にそこまでの投資はあまりにリスキーであった。

3Dプリントによりコストを大幅削減。ブリッジ生産のような体制で、お客様のフィードバックを元に細かいバージョンアップも可能に。

強度や耐熱性に優れ、自動車業界などで最終製品としての実績もあったMJFを選択。初めての3Dプリントパーツの製品化でしたが、お客様の反応も好意的でした。

小ロット多品種で温度制御機器の開発から販売までを手がける 理化工業株式会社

インタビューにご協力いただいた皆様のプロフィール

理化工業株式会社

理化工業・髙澤様の似顔絵

髙澤様
理化工業株式会社 要素技術開発部
本製品の開発責任者。主に新製品の開発・設計などを担当。

理化工業・平山様の似顔絵

平山様
理化工業株式会社 開発設計部
製品の筐体設計を担当。今回は3Dプリント素材選定もおこなった。


吉田様 
理化工業株式会社 営業部
販売担当。また、お客様の元に伺ってご要望を伺い、製品の開発へ活かす。

「顧客密着営業」で温度調節計は国内でトップシェア!

理化工業の温度制御機器2種類

まずは御社について簡単に教えていただけますか?

私たち理化工業株式会社は1937年創業のメーカーです。
温度制御機器、電力操作器、各種センサー機器の研究・開発・製造・販売・サービスを一貫しておこなっています。
お客様はプラスチックや半導体、理化学機器、食品といったメーカー様が多いです。
これらの現場は温度管理が厳格に求められているのです。

温度調節計は国内でトップシェアを誇り、日本全国に営業所をもち、海外への販売もおこなっています。

御社の特長はどのようなものがあるでしょうか?

私たちはお客様と直接会話をしたうえで製品づくりをする「顧客密着営業」を大切にしています。
カタログにないカスタム製品も要望を丁寧にヒアリングして、スピーディーに開発・生産をいたします。

お客様のいる場所へ直接弊社の営業が足を運び、設計・開発にフィードバックされるので、短いスパンでバージョンアップができます。

そのため、「小ロット多品種生産」であることもわが社の特長です。
オーバースペックにならず、お客様にぴったりの製品を作っています。
この「小ロット多品種生産」実現のためには、3Dプリンターの力が必要となってくるわけです。

まさに3Dプリント造形の長所とマッチしそうですね。

3Dプリントはテストマーケティング製品に最適

新製品のNWS-Multi耐熱仕様の概要

では今回3Dプリントサービスをご利用いただいた製品について教えてください。

はい、この度私たちは無線式多点温度監視システム「NWS-Multi」という新製品を開発しました。
特長としては、半導体やパソコンに使われるプリント基板を加熱するリフロー炉内の実装部品温度を無線でリアルタイム測定ができるというものです。

NWS-multiから無線伝送して温度がリアルタイムに分かる

温度センサーはケーブルで繋がっているのがこれまでの常識でした。そういった点で画期的な製品であると言えます。
これにより工事が難しい場所や動く物体の計測が可能になりました。

こちらもお客様のご要望から生まれたものですか?

いいえ、お客様のオーダーに応えるだけではなく、時代に合わせて私たちの技術力を活かして、新しいお客様・市場を開拓する必要があります。
ですから、この製品は「本当に市場からの要求があるのか?」というテストマーケティングの位置づけでまずは開発されました。

しかし、金型に起こして製造するとなると600万円のコストがかかる計算でした。
どれくらい売れるかわからない製品にそこまでの投資はあまりにリスキーです。

そこで3Dプリンターであればブリッジ生産のようなことが実現できると考えたのが一つの理由です。

さらにテストマーケティングということで、お客様のフィードバックを元に改善を素早く重ねる必要があり、デザインや設計がコロコロ変わることも見込まれました。
金型だと細かいバージョンアップが難しいので、そういった観点からも3Dプリントが適しているだろうと判断しました。

初めての「3Dプリント品の製品化」、最終製品にも使えるMJFを求めて

それでは実際に作られたものを見せていただけますか?

PA12|MJF」でプリントしていただいた物はこちらで筆箱サイズくらいです。
そして今実際に、市場にも出回っています。

筆箱のようなグレーの
「PA12|MJF」で3Dプリントしたもの
最終製品の部品としてご利用いただいたのですね。どういった観点から素材を選んでいただいたのでしょうか?

弊社でも、インクジェット方式の3Dプリンターは保有していました。
これは普段工場の治具やモックアップを製作するためなどに使われているものです。

しかし今回強度や耐熱性、そして「時間が経っても変形しない」といった条件から、私たちが求める水準の物は自社の3Dプリンターでは出力できないことがわかりました。

リフロー炉は大変高温になります。
使用環境の300℃まで耐えられるものが必要とされましたね。

くわえて、今回は出力した物をスナップフィットのように組み立てなければならないので、靭性の観点からもマルチジェットフュージョン方式(MJF)である必要がありました。

いろいろと調べるなかで、MJF製品は自動車などの最終製品としても使われている実績があると分かったのです。それが決め手となり、MJFを選択しました。

実際に製品をリリースされて、市場からの反応はいかがですか?

初めて「3Dプリンティングしたものの製品化」ということで、お客様に品質の点で不安がられないかと、社内では懸念もありました。
しかし、お客様に「このパーツは3Dプリンター製なんですよ」と伝えると、「そんなこともやっているの!? 面白いね!」といった好意的な反応が多かったですね。
会社としても良いチャレンジができたと思っています。

そして「NWS-Multi」は予想外にも、食品業界からの反響が大きくありました。
そこで、より高温に耐えられる「NWS-Multi(高耐熱タイプ)」を製造し始めたところです。

正にテストマーケティングから高速でPDCAを回されている様子が伝わってきました。

DMM.makeは早く、安く、美しい造形だった

ちなみに、DMM.makeを知っていただいたきっかけはどのようなものでしたか?

実は2014年頃には社内の他の者がDMM.makeの3Dプリントサービスの依頼をしていたみたいです。
そのあと、わが社でも3Dプリンターを購入しましたね。

サービス開始時からご利用いただきありがとうございます!

ただし、今回はプロジェクトチームの全員で出力代行サービスを1から探しましたね。
「すぐに届くところが良い」と探した結果、DMM.makeにいきつきました。

今回は「最終製品でも使えるMJFでの出力」がマストだったので、「MJF」を取り扱っているサービスとはほとんど全社お話をさせていただきましたね。

その中でもDMM.makeは私たちの事業に非常にマッチしていました。
ロットによって値段が変わることが無かったので、「一品から作りたい物を頼める」というニーズに応えてくれるのが正にDMM.makeだけだったのです。

DMM.makeの造形は、値段だけではなく、1つからの注文でも色ムラがなく、造形の個体差も少なく、品質が良かったので、大きな決め手となりました。

ありがとうございます。3Dプリンターのメンテナンスも日々丁寧に熟練のスタッフがおこなっているので、良い状態で出力できているのかなと思います。

社内会議も重ねましたが、「DMM.makeが良い!」となりました。

最終製品として十分なクオリティ、今後は量産も視野にいれて活用していきたい

理化工業オフィス

実際にサンプルだけではなく、実物を受け取った物を見てもかなり満足しましたね。
最終製品として十分なクオリティだと確認できましたので、今後は最終製品かつ量産もしていけたら良いなと考えています。

そのようにご満足いただけて嬉しく思います。では、DMM.makeで改善してほしい点はありますか?

「請求書払いのやり取りが煩雑だな」と思っていたのですが、ちょうど先日届いたメールマガジンでお知らせいただいたバージョンアップで解決されたみたいですね。

法人様向け受発注サービスβ版ですね! 注文はもちろん、見積書から請求書のやり取りまでオンラインでスムーズにできるようになりました。

メールマガジンはよく見ています(笑)

ありがとうございます!

登録はお済みですか?DMM.make3Dプリントの法人受発注サービス

最後に、今後のご展望について教えていただけますか?

10年前に初めてDMM.makeの3Dプリンターを使った者も今は管理職になっています。
会社としても「これからもどんどん3Dプリンターを活用していきたい」とさらに意気込んでいますね。

今回3Dプリンターを利用したのは一部の部品のみでしたが、今後は全て自社で3Dプリントして作る製品なども面白そうだなと思っています。

今回開発した「NWS-Multi」のように、まだ世の中にないものを作り出していきたいです。
どうしても私たちの業界は、同じような製品を出して「違いはどこだろう?」と思われてしまうこともあります。
お客様も気付いていないようなニーズに気付いて、便利だと思っていただける製品を作り広めていきたいですね。

3Dプリンターの”形状自由度”をもっと活かした設計をしていきたいです。
すぐに設計変更ができるので、既成概念にとらわれず今後の製品設計でも積極的にチャレンジしていきたいですね。
「部品点数削減(工数削減)」や「製品として使いやすい機能形状」を盛り込むことが、できたらよいと思います。

「お客様一人ひとりに合わせて、製品一つからカスタムで製造します」というのがわが社の強みですし、今後もその良さは伸ばしていきたいと考えています。
3Dプリンターのような新しい技術も活用しながら、お客様が真に求めているものを作り続けていきたいです。

正に「必要なものを必要なスペックで」という3Dプリンターの利点を十二分に活かされていらっしゃいますね。
テストマーケティング製品での3Dプリンター活用という貴重なお話しを聞かせていただき、ありがとうございました。
これからもどうぞよろしくお願いいたします!

理化工業株式会社
会社名 理化工業株式会社
ホームページ:https://www.rkcinst.co.jp/
X(Twitter):https://twitter.com/RkcInst
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