【お客様事例紹介】大岡俊彦様

大岡俊彦のアイコンと薙刀キーボード

DMM.makeの3Dプリントサービスをお使いのお客様の事例紹介。今回は小説家・映画監督・脚本家としてご活躍されながら、実用派のキーキャップを作成されている大岡俊彦様です。

大岡様について

本日はお忙しい中、お時間をいただきましてありがとうございます。
よろしくお願い致します。

よろしくお願い致します。

はじめに、大岡様が作られているものを簡単にご説明いただけますでしょうか。

僕は3Dプリントでいろいろなものを作っているのですが、3Dキーキャップをメインに話しますね。
自作キーボードの世界には、基板設計、ケース作成、プログラミングや光らせるのに凝る人など、いろいろなジャンルがあります。
その中でも僕は「実用派のキーキャップ」を作る人なんです。

自作のキーキャップ

指が一番触れるキーキャップには、形や傾きをあらわす「プロファイル」という言葉があります。ただ、一列がすべて同じ形で、すべてが違う形状じゃない。手の形になじむ3D形状は、3Dプリントでしかつくれないです。
3Dの形状は「凹型(お椀型)」が多いですが、人間の手は球状のものを掴むためにできているのだから「凸型」のほうが良いという、僕はマイナーなほうの流派です。
お椀型はアメリカなどでエルゴノミクスキーボードとしてつくられていて、マイクロソフト社も販売していますが、球状の形のキーボードはほぼないので、自分で作ってみようと思ったのが最初ですね。

凹型(お椀型) の参考ページ

すごいですね…!
人間工学的なことを考えられてのことなんですね。

そうですね。自作キーボードはエンジニアの人が中心になっていて、キーボードが一日中触っている仕事道具になりますよね。
腰を悪くしないため椅子やスタンディングデスクを始めたり、高級キーボードに手を染めたり、そのうち自作キーボードにたどり着くという。

私も一通りたどってます(笑)

そうでしたか(笑)やっぱりこだわる人は多いですよね。
両手を開くと肩が凝りにくいので、キーボードを2台つないで左右の手で使う人もいますが、それだけだと物足りない人は自作キーボードにたどり着くんです。
自作キーボードで使われるキースイッチは数百くらいの種類が出ていて、それぞれで重さやフォースカーブ、スプリングの重さも違います。
キーのキーストロークは標準4mmなんですが、僕はバネを切ったりスイッチの中を開けてプラバンを仕込んだりしてストロークを短くすれば、3mmとか2mmになって全ての仕事量が半分になるんじゃないか、といったことを考えています。

なるほど!
面白い考えですね。

「手の運動量や指の総積分量が最小になれば疲れないはず」と直感的に思ったんですよね。
それで、手や指の形は球を掴むように動くはずだから、その形に合ったキーキャップがあればいいんじゃないかという考え方で作ったのがアレなんです。

自作のキーキャップ

なるほど…。
すごく濃いお話で、かなり深く理解できました。

この辺の話は、自作キーボードアドベントカレンダー(毎年12月にみんなで日替わり記事を書くイベント)に詳細を解説した記事を載せてあるので、ぜひ見てみてください。

3Dプリントで自作キーボードを作り始めたきっかけ

自作キーボードを作り始めたきっかけは、既製品だと満足できなくなったからでしょうか?

そうですね。僕はもともと小説を書いていて、その中でQWERTY配列のローマ字入力って無駄が多いなと感じたんです。
はじめはキーボードを見ながら打っていたんですが、ブラインドタッチを覚える中で、一番使うべきキーの「A」が一番端っこにあるのはおかしいんじゃない?と(笑)
「これは文字の位置が悪いからキーボード配列を変えよう」と思って『薙刀式』というカナ配列を自作したんです。

配列を自作されたんですね!

そうです。それによって指の運動が最小化されて楽になったと思っていたんですが、今度はキーの物理的な重さ(押下重)が気になったんです。
自作キーボードがちょうど流行っていたこともあって、じゃあそこで物理もやってみようと思って飛び込んだのがきっかけです。

なるほど。ありがとうございます。

そのなかで「3Dプリントを使うとキーキャップが作れるよ」「DMMのサービスを使えば、自分でプリンターを買わなくても作って届けてくれるよ」と教えてもらったんです。
それで興味を持って話を聞いたらCADさえ覚えればいいと言われたので、1年くらいかけて「Blender」を覚えて、DMMさんに発注してキーキャップを自作するようになりました。

なんだか某アイドルグループのテレビ番組みたいですね。
ラーメンを食べたいから小麦から作ろう、みたいな(笑)

本当にそんな感じです(笑)
もともと僕は手書き派で、自分で測定したら10分間で900文字を書いていました。
大学生の手書きの平均は300文字、普通の人より3倍くらい早いことがわかったんです。
一般的には手書きよりタイピングのほうが楽だし早いといわれる(ビジネス1級で700文字くらい)ので試してみたら無駄が多いし全然そんなことなくて。
それでキー配列を自作したら、10分間で1,500文字かけるようになったんです。

10分で1,500文字!すごいですね。

僕はそのための道具がほしいんです。
手書きの場合はペンと紙、タイピングをするならキーボードが必要。
自分に合った道具が見つからなかったので、3Dプリントにたどり着きました。

3Dプリントを利用するシチュエーション

CGソフトは「Blender」を使っているということですが、選んだ理由はなんだったのでしょうか?

自作キーボード界隈だと「Fusion360」がスタンダードですが、「Blender」のほうが簡単だと聞いていました。
どっちを使おうかと考えていたとき、ちょうどエヴァンゲリオンが公開した頃で、「Blender」を使ってエヴァンゲリオンを作ったというニュースを見たんですよ(笑)
その影響で「Blender」を使うようになりました。

データ作成画面

なるほど。どちらが簡単かは、それこそ流派がありそうですね。
「Blender」はどうやって勉強されたのでしょうか?

自作キーボードで有名な“ゆかりさん”という先駆者の人がいるんですが、その人が「Blender」を使っているんです。
DMMさんで「天下一キーボードわいわい会(通称“天キー”)」を主催されていて、ノウハウ本もいくつか書かれているので、それを買って読みながらBlenderを勉強しました。

3Dプリントの際の素材は何を使われていますか?

ナイロンが最安だったので、そればっかり使っていました。たまにクリアアクリル。
今だとレジンが最安ですよね。

そうですね。
作品を拝見しましたが、普通の四角のキーキャップじゃないんですね。

僕は撫で打ち派なんですよ。
キーボードを打つのに2つの流派があって、指を立てて突き刺すタイプと指の腹を使って平たく打つタイプの2通りがいるんです。
平たく打つタイプは、どの角度にも影響されない形のキーキャップが良いので、丸っこいキーキャップになりました。

丸っこいキーキャップ

DMM.makeを選んだきっかけ

DMM.makeを利用するようになったきっかけは何だったのでしょうか?

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利用ユーザー数国内最大規模 3Dプリント造形サービス DMM.make 3Dプリントサービス
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自分が制作した3Dプリント作品が売れる DMM.make クリエイターズマーケット
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