【早見表つき】目的から選ぶ、3Dプリンターの造形方式5選

こんにちは! DMM.make 3DプリントBLOGです。

趣味や仕事で3Dプリンターを使ってみたい。

だけど、いろいろな種類があって、どれを選べば良いのかわからない……!

このページに辿り着いた方は、そんな悩みをお持ちではないでしょうか。

ひとくちに「3Dプリンター」といっても、その種類はさまざま。

サイズや価格の違いももちろんありますが、造形物の仕上がりに大きな影響を与えるのは「3Dプリントをする方法」、すなわち「造形方式」なんです。

粘土をこねたり、木材を削ったり。私たちがいろいろな手段でものを作るのと同じように、3Dプリンターにもさまざまな造形方式があり、素材や仕上がりが大きく異なります。

この記事では、代表的な5つの造形方式について、それぞれの仕組みやメリット・デメリット、どのようなものが作れるかについてお伝えしていきます。

読み終わる頃には、あなたが使うべき3Dプリンターの造形方式がわかるはず! ぜひ最後までお付き合いください。

目次

3Dプリンターの造形方式は多様! 違いをしっかり認識しよう

3Dプリンターの仕組みを一言で表すなら「素材を積み重ねて立体を作る」こと。「素材」とその「重ね方」の組み合わせの異なる多様な造形方式があり、それぞれ違った特徴を持っています。

造形方式によって、素材と品質が異なる

使う素材ひとつとっても、紐状のプラスチックや粉末のナイロンなど、バリエーションはさまざま。造形方式が変われば、もちろん仕上がりも変わってきます。自分が作りたいものは、どれくらいのクオリティで、どんな用途に使われるものなのか。造形方式を選ぶ前に、まずはしっかり条件を考えておきましょう!

数万円〜数千万円まで。機材や造形にかかるコストも違う

3Dプリンターの価格のレンジは、数万円代〜数千万円まで幅広いです。

3Dプリンターの値段がわかる!購入の判断基準と価格帯別おすすめ6選

造形方式によっては、気軽に使える数万円程度の機種も存在します。自宅や小規模なスペースに3Dプリンターを導入して使いたい方にお勧めの機種は、こちらの記事にも詳しく載っているので、参考にしてみてください!

また、機材を導入するだけが3Dプリンターの使い方ではありません。必要な量を必要な造形方式で注文できる「3Dプリントサービス」を利用すれば、機材の導入よりも、大幅にコストを抑えることができます。

おすすめ用途つき! 造形方式5種別、選べる早見表

3Dプリンターには多くの造形方式があります。今回の記事では、現在利用しやすい5種類を紹介していきます。

まずはさっそく、それぞれ特徴やおすすめの用途について、表にまとめてみました! 自分の目的にぴったりの方式が見つかったら、記事の中の詳しい説明を読んでみてください。

材料押出方式光造形方式インクジェット方式粉末焼結方式マルチジェットフュージョン方式
おすすめ用途プロダクトの簡易的な試作、大型の造形物など精密なプロダクトの試作、宝飾品の原型などフルカラーのフィギュア、美術・撮影用の小道具など工業製品の内部パーツや治具など工業製品の内部パーツや治具、最終製品など
メリット安価で使いやすい精度が高い多様な素材や色を調べる精度や強度が高く、まとまった量も生産しやすい最終製品にも使える仕上がり
デメリット仕上がりのクオリティは他の方式に劣る洗浄や二次硬化など後処理が必要劣化や変色などが起こりやすい仕上がりはザラザラする仕上がりはザラザラする
仕組み固形のプラスチックなどを溶かしながら重ねていく液体レジンを光で硬化させるノズルから噴射したインクなどを硬化させる粉末状の素材を熱で焼結して固める粉末に熱を加えて融合する
素材プラスチックなど液体レジンなどフルカラー樹脂など粉末ナイロンなど粉末ナイロンなど
機材価格数万円〜数万円〜数百万円〜数百万円〜数百万円〜

材料押出方式

まず紹介するのは、材料押出方式。FFF(Fused Filament Fabrication) やMEX(Material Extrusion)とも呼ばれる方式です。

仕組みと特徴

材料押し出し方式

材料押出方式は、紐状のプラスチック(フィラメント)に熱を加えながらゆっくりと押し出し、冷えて固まった素材を重ねて形を作っていく方式です。フィラメント以外にも、ペレットと呼ばれる米粒のような樹脂の塊や、ペースト状の素材を利用できる機種もあります。

仕組みがシンプルで扱いやすい一方、造形精度は他の方式よりやや低め。趣味のアイテムや検証用のプロトタイプを素早く作る、といった用途におすすめの方式です。

メリット・デメリット

材料押出方式のメリットとデメリットを紹介します。

もっとも手軽で安価、家庭用の機種も多数

素材を溶かして重ねていく方式は、今回紹介する中で最もシンプル。特殊な素材や手間のかかる処理を必要としないため、もっとも導入しやすい方式です。

また、安いものであれば数万円から購入できます。電子レンジくらいの小型なサイズもあり、家庭で使ってみるにはぴったりの方式と言えるでしょう。

一部の産業用マシンは各辺数メートル以上の造形にも対応しており、他の方式では実現不可能な巨大な造作物を作ることも可能です。

造形クオリティは他方式にやや劣る

仕組みがシンプルな分、造形の精度は他の方式よりもやや低め。特に、素材を積み重ねた模様(積層痕)がはっきりと残るため、見た目を気にする場合は出力後の仕上げが必須です。

家庭で使うならこんな機種

自宅でも使いやすい、材料押出方式の3Dプリンター。なかでもはじめて3Dプリンターを購入する方におすすめしたいのがAdventurer3です。Adventurer3は低価格(5万円程度)ながらヒートベッド、Wi-Fi接続、モニタリング用カメラなど機能も多く、タッチパネル搭載で簡単に操作することができます。

業務で使うならこんな機種

Raise3D Pro3 Plus は造形サイズが大きく、最小の積層ピッチが0.01mmとかなり高精細 。国内の総代理店によるアフターサポートが充実しているため導入事例も多く、メールや電話での修理や相談のサポートが可能です。業務での導入にもおすすめの1台です。

光造形方式

次に紹介するのは、光造形方式。光の当て方によって、SLA(Stereolithography) とDLP(Digital Light Processing)と呼び分けられています。

仕組みと特徴

光造形方式

光造形方式は、液体状の樹脂(レジン)に光を照射して硬化させていく方式です。レジンを満たしたタンクにプレートを浸し、光を当てて固めたら一層分引き上げ、次のパターンの光を照射する…と繰り返していくことで、形を作り上げていきます。

光の精度で形を作っていくため、造形精度は他の方式と比べてもピカイチ。美しい仕上がりが求められるプロダクトの試作や、特殊なレジンを用いた宝飾品の原型制作などにおすすめです。他方、液体レジンの扱いや後処理には特別な準備が必要となるため、機材を導入する場合は環境に注意しましょう。

メリット・デメリット

光造形方式のメリットとデメリットを紹介します。

精度はピカイチ!家庭で使える機種もアリ

液体状のレジンに光を当てて硬化させていくため、高い精度となります。単一のレーザー光を動かすSLAに対し、DLPは光のパターンを平面画像として照射するため、高さが変わらなければ造形時間が変化しないことも特徴です。また、こうした高い精度を誇りながら、近年では数万円台で購入可能な機種も登場しています。これらの機種は材料押出形式と同じく、自宅などで使うことも可能です。

造形後には後処理が必須。素材の扱いにも要注意

光造形方式で3Dプリントしたものは、家庭で使う場合にも、造形後の後処理が必須。周りについた硬化前のレジンを落とす「洗浄」と、UVライトなどを当ててしっかり造形物を固める「二次硬化」を行う必要があります。機種によっては、専用の洗浄機や硬化マシンもあるので、環境に合わせて必要ものを取り揃えておきましょう。

液体レジンは直接手で触れるとリスクがあるため、操作時にはゴム手袋の着用が推奨されています。また、洗浄時にはIPA(イソプロピルアルコール)が必要だったり、廃液の処理手順も地域のルールに従う必要があったりと、使用時や処理時には繊細な注意が求められます。

家庭で使うならこんな機種

10万円以下で購入できる光造形方式の3Dプリンターでは、Sonic Mini 4Kがオススメ。通常、光造形3Dプリンターの造形物は後処理としてアルコールやエタノール等の有機溶剤による洗浄が必要ですが、Sonic Mini4Kに対応した水で簡単に洗浄することができる水洗いレジンを販売している代理店もあります。

業務で使うならこんな機種

Form3+はFormlabsが販売する3Dプリンターで、デザインスタジオや大学などに広く導入されています。独自技術による精度の高さや、レジンの自動加熱や温度や粘度の管理、自動補充など、低価格帯の光造形3Dプリンターには無い機能が備わった3Dプリンターです。

材料の種類も豊富で、耐熱や耐薬品の素材、ジュエリー用のロストワックスの素材などの取り扱いがあります。オプションにはなりますが、造形物の後処理のための洗浄機や二次硬化をする機材も販売されています。

インクジェット方式

仕組みと特徴

インクジェット方式は、紙にインクを噴射して印刷する普通のプリンターと同じように、インクジェットノズルから細かな材料を吐出し、それをUVライトなどで固めながら立体物を作っていく方式です。

複数のインクジェットノズルが搭載されているほか、材料となるインクやワックスなどを混ぜて使うこともできるため、複数の色合いや物性を組み合わせたアイテムも作ることができます。特に、フルカラーのフィギュアや模型などで高い効果を発揮するでしょう。

メリット・デメリット

インクジェット方式のメリットとデメリットを紹介します。

多様な素材や色を選べる

透明なものからフルカラーまで、選べる素材の幅広さがインクジェット方式の最大の特徴。色だけでなく、硬い材料と柔らかい材料を使い分けて、異なる特性を持ったモデルを作ることも可能です。また、造形精度も非常に高く、造形物をそのまま舞台や映像の小道具に使うことも可能です。

劣化や変色などが起こりやすい

紫外線で硬化させたインクは、それほど強度が高くありません。そのため、実働部品よりは、フィギュアや解説用の模型、看板などのディスプレイアイテム向きと言えるでしょう。また、物によっては紫外線による劣化なども起きやすいため、使う場所や期間などはあらかじめ確認しておきましょう。

 インクジェット方式の3Dプリンターの例

インクジェット方式の3Dプリンターは、基本的には業務用のサイズと価格で展開しています。

多様な印刷機を開発してきたミマキエンジニアリングが開発した、フルカラープラスチックを利用できる3DUJ-553。サイネージやフィギュアに使ってみましょう。

クリアアクリルや、ゴムのような特性を持つ素材も扱える、Staratasys社のJ750。タッパーのフタのような、柔軟性や透明性が求められるアイテムにも有用です。さまざまなパーツや、デザインアイテムの制作に使えるでしょう。

粉末焼結方式

次に紹介するのは、粉末焼結方式。粉末焼結積層造形や粉末床溶融結合とも呼ばれ、SLS(Selective Laser Sintering)と略される方式です。

仕組みと特徴

粉末焼結方式

粉末焼結方式は、敷き詰めた粉末状の素材をレーザーなどで加熱し固める(=焼結する)方式です。一層を焼き固めたら、次の層の粉末を敷いて慣らし、さらに焼き固めていく…を繰り返します。

 粉末として用いられる素材は、樹脂や金属など。元が粉末という特性上、仕上がりは単色かつザラザラとしたものになります。しかし一方で粉末の素材は高い精度と耐久性を持つため、見た目よりも機能性が重視される、工業製品の内部パーツや治具に向いた方式と言えるでしょう。

メリット・デメリット

粉末焼結方式のメリットとデメリットを紹介します。

高い精度と強度、素材のムダも少ない

レーザー光によって粉末を焼き固めることで、高い精度と強度を担保。また、他の方式では造形物の隙間を埋めるために必要となる「サポート材」がつかないため、複雑な形状の再現も可能。材料の再利用性が高いこともメリットの一つと言えます。

仕上がりはザラザラに

粉末を焼き固めていく特性上、完成品の仕上がりはザラザラに。目に見える部分や、直接手で触れる部分には不向きかもしれませんが、その性能を活かしてプロダクトの内部などに使うことがおすすめです。

粉末焼結方式の3Dプリンターの例

粉末焼結方式の3Dプリンターは、高音に熱したり、粉末を適切に処理する必要があるため、主に業務での利用が想定されています。

ナイロン粉末を焼き固めていく、 EOS GmbH社のEOSINT P760。ガジェットやインテリア、デザインアイテムなどの利用に向いています。

マルチジェットフージョン方式

最後に紹介するのは、HP社独自のマルチジェットフュージョン方式です。

仕組みと特徴

マルチジェットフュージョン方式

マルチジェットフュージョン方式は、インクジェット方式と粉末焼結方式を組み合わせたような、HP社独自の造形方式です。熱可塑性のパウダー樹脂を敷き詰めた上に、溶解促進剤と表面装飾剤を噴射。噴射部分に熱を加えて樹脂を溶融し、温度を制御しながら微細な造形をコントロールし、層を重ねていくことで造形します。

メリット・デメリット

マルチジェットフュージョン方式のメリットとデメリットを紹介します。

HP社独自の方式による高い生産性

マルチジェットフュージョン方式は今回紹介した5つの中では最も新しい方式。粉末積層方式のような精度と強度を持ちながら、造形スピードが速く、高い生産性を誇ります。物性の異なる複数の粉末素材を用いて、最終製品としてのプロダクトを作ることも可能です。HP社独自の方式ゆえに、使える機材が限定的であり、会社間での比較なども出しにくいかもしれません。

マルチジェットフュージョン方式の3Dプリンターの例

工業部品を得意とするHP Jet Fusion 4200。マルチジェットフュージョン方式に対応したMJFという素材のうち、PA12とその強化品であるPA12GB、非常に柔軟なPA11の3つの素材が選択可能です。

まとめ

目的やコストに応じて造形方式を使い分けよう

ここまで5種類の造形方式を紹介してきました。素材や仕組みの違いが異なると、出来上がるものの質も変わることがわかったのではないでしょうか。

何よりも大事なのは、使い道は適材適所ということ。まずは自分が作りたいものに必要な機能や条件を考え、それにぴったりの造形方式を選べると良いでしょう。

まずは少量での試作がおすすめ!

一部の低価格な機種を除き、3Dプリンターをいきなり購入するにはハードルが高いかもしれません。そんな時はまず「3Dプリントサービス」を利用して、少量の試作や必要に応じた量だけ作ることがオススメです!

3Dプリントサービスとは、3Dデータをアップロードして見積をとり注文をすると、3Dプリンターで造形して自宅へ造形物を郵送するオンデマンドのサービスです。

DMMの3Dプリントサービスでは国内で唯一のモデルチェック&見積システムがあるため、3Dデータのアップロードから5分程度でモデルの造形可否や素材毎のお見積金額を確認することができます。

こうしたサービスも活用しながら、つくりたいものにぴったりな3Dプリンターを見つけることができたら幸いです。

利用ユーザー数国内最大規模 3Dプリント造形サービス DMM.make 3Dプリントサービス
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自分が制作した3Dプリント作品が売れる DMM.make クリエイターズマーケット
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