「自作のモデルカーが欲しい」
「3Dプリンターでクルマの模型を作ってみたいけど難しそう」
と思ったことはありませんか?
そんな皆さんに朗報です! 本企画ではプロモデラーの秋葉征人さんに、全5回の連載でクルマの模型の作り方をお伝えいただきます。秋葉さんは3DCADを独学で学び、現在はテレビCMで模型を提供されたり『MODEL Art』で連載を持たれるなどご活躍中の方です。
今回は連載第5回目!とうとう最終回です!
第1回で大まかに製作したクルマの形状を、第2、3回目でフォームモードでしっかり作り込み、データを完成させ、第4回ではパーツを分割して入稿まで行いました。最終回では塗装仕上げを行います。
この記事を読んで、あなたもクルマの模型作りに挑戦してみませんか?
クルマの3DデータをDMM.make3Dプリントサービスに入稿して10日ほどして、宅配便でプリント品が届きました。今回依頼した素材は、最も価格が安いエコノミーレジンです。ちゃんとパーツがサイズ別に分けられチャック袋に入っており、破損しないよう気を配られているのがわかりますね。サポートを除去した状態で届くのもとてもありがたいです。
やっぱり一番気になるのは、ボディ表面の積層痕ですよね。造形色が白いこともあるとは思うのですが、ほとんど目立たず驚きました。
ライティングを工夫して、写真で積層痕が分かるようにしてみたのが次の写真です。ここまでしてようやくパーツを配置した方向がわかりました。内側、リヤ下部にサポートが付いていたと思われますが、ほぼわかりませんでした。印刷時の注意事項に、サポートがつく面は荒れると書いてありましたが、家庭用の光造形機と比べるとかなりきれいだと思います。
エコノミーレジンにはタッピングねじが使えるのもうれしいところ。UVアクリル樹脂系のレジンでは砕けてしまったのですが、今回の造形物では10回ほど「締める」「緩める」を繰り返してみても、これくらいでは問題なさそうでした。
組立て模型をプリントする際に気になるのが、パーツ同士のクリアランスです。ホイールがタイヤにはまらなくなると面倒なので、今回は保険の意味も含めて0.3mmのクリアランスを取りました。プリント品で確認すると、マスキングテープ(厚み0.1mm)を二重に巻いてちょうどいい感じだったので、次からはクリアランス0.1mmでよさそうですね。
パーツもじっくり確認したので、いよいよ組み立てていきましょう。思っていたより造形がきれいなので、このままサーフェイサーを吹いて下地にしてもいいのですが、せっかくなのでカーモデラーのめんどくさいところ(笑)も見ていただこうと思います。
ボディ表面はスポンジやすり#400を使って均しておきます。つや出し塗装仕上げにするカーモデルでは、本塗装前の下地をきれいにしておくのが大事です。
タイヤパーツをよく見ると、表裏で積層目の差があるようです。きれいな面が表になるようにしるしをつけておきました。裏側は全く見えなくなるからです。
ホイールは奥まっているので、やすりが届きません。ほぼほぼ諦めますが、リムのエッジは目立つのでスポンジやすりで平面にしておきます。
塗装をする前には、表面についたやすりカスを水で洗います。うちには3Dプリント洗浄用の超音波洗浄機があるのでこれを使ってます。お持ちではない方は歯ブラシなどで、溝の奥まできれいにしておきましょう。
本塗装前に、サーフェイサーで下地塗装をします。サーフェイサーは本来やすり傷を消すものですが、プリントの積層目も消すことができます。定着力を高める成分が入っている、タミヤのスーパーサーフェイサースプレーがおすすめです。
窓部分に濃いグレーを吹いてそこをマスキング、そしてボディをアイボリーで塗装します。このあとほぼ全部の塗装をスプレー塗装するので、塗りわけの時はすべてマスキングします。
サイドウインドウのシルバー塗装のためにマスキング。
ヘッドライト、エンブレムの塗りわけのためにマスキング。
ヘッドライトやウインカーでマスキングテープを丸く切り出すときは、サークルカッターが便利です。
サイドのラインもマスキングして赤を吹きます。
ライトレンズは白で表現するのでマスキング。
ドアノブ、サイドマーカーリム、フロントウインカーリムのシルバー用にマスキング。
これでだいたい塗り分けが完了しました。
つやつやに仕上げたいので、クレオスのスーパークリアー光沢スプレーで2回重ねて塗装しました。ここから1日以上乾燥させます。
ボディを乾燥させている間に、シャーシを組み立てます。といってもホイールとタイヤを接着するだけです。重いモデルなのでエポキシ接着剤を使います。ホイールが正しい向きになるように気を付けましょう。
ボディとシャーシをタッピングビスで固定し、前後バンパーを接着します。
レンダリングと同じ角度で写真を撮りましたが、なかなかそっくりにできたと思います。今回はFusion 360で3DCADデータを作り、DMM.makeさんの3Dプリンタで立体化していただき、自分で塗装仕上げをすることで、世界にひとつだけしかないカーモデルを作ることができました。皆さんも3DデータはPCにしまっておかず、3Dプリントして塗装して手に取れるモデルにすると楽しいですよ。
長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。
完成した作品!皆さんもぜひチャレンジしてみてください!
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